弁護士会の取組み:バックナンバー

弁護士会の取組み

アトーニーズマガジン 弁護士会の取組み

地域司法計画を策定・推進する各地の弁護士会。地域に密着し、よりよいリーガルサービスの推進・向上のために活動を続ける各地の弁護士会の取り組みについて 、各弁護士会の会長よりお話を伺いました 。

岡山弁護士会

岡山弁護士会 会長 東 隆司氏

進取の精神を原動力に地方初となるさまざまな取り組みを展開

会員の約9割が岡山本庁に北部の過疎対策がこれからの課題

山陽本線、伯備線、瀬戸大橋線、新幹線――中四国地方の幹線が交わる交通の要衝、岡山県。人材育成に熱心な教育県としてもその名を全国にとどろかせている。その県民性同様、岡山弁護士会は進取の精神と会員の強い結束力でさまざまな取り組みを展開。詳しいお話を東会長に伺った。 当会は岡山本庁と倉敷、津山、新見の三つの支部で構成されており、 現在261名の会員が在籍しています。管轄内人口の割合でみると会員の9割が集中する岡山は約3600人に1名、倉敷は約5万人に1名、津山は約4万人に1名、新見は約3万4000人に1名となっており、大きな偏りがあります。倉敷管内は距離的な近さから岡山の弁護士がカバーしていますが、問題は県北部の津山と新見。なかでも津山は昔から争い事の多い地域で人口当たりの事件数も多く、2年前に公設事務所の支所を設立し弁護士を3名増やしてもまだ足りない状況となっています。 新見は日弁連のひまわり基金で設立した事務所に岡山から弁護士を派遣して運営しています。裁判官が常駐していないため、事件への対応はとても不便。日弁連のゼロワン地域になっているので、もう一つ以上事務所が必要だと指摘を受けていますが、新見市とほぼ同じ人口を持つ近隣の高梁市、あるいは人口4万9000人を擁する津山管内の真庭市に事務所を設立すべきなのか。また、ひまわり基金を使うのか、岡山パブリック法律事務所の支所として設立するのか、検討している最中です。

市民の駆け込み寺として誕生した地方初の都市型公設事務所

「弁護士法人岡山パブリック法律事務所」は当会の大きな特徴の一つで、東京、大阪に次いで3番目、地方では初となる都市型公設事務所です。2004年の定期総会で2700万円の開設資金が承認され、同年8月に誕生しました。活動理念は①市民のための駆け込み寺②弁護士過疎地への弁護士派遣③法科大学院への協力④弁護士任官者の育成⑤被疑者国選・裁判員制度への積極的な取り組み――という五つ。どんな事件でも引き受ける市民の駆け込み寺としての役割を中心に、多重債務や闇金への対応などを数多く手がけています。弁護士は当初4名でしたが、津山と岡山大学内に支所ができ、現在は15名に増加。今後の中期計画では新たに支所を作っていこうという方針を打ち出しました。また、岡山パブリックでは公益活動の事務局などさまざまな試みも行っています。たとえば成年後見制度では、年金だけで生活する方や生活保護を受けている方が費用を払うのは大変なため、NPO法人の事務局を岡山パブリックが引き受け、難しい場合には弁護士が担当するという仕組みを作りました。ほかには虐待などの理由で行き場のない子どもの緊急避難先や共同生活の場を確保し、子ども自身の選択による自立を支援することを目的としたN P O 法人(子どもシェルター)の事務局を担当。これも地方都市では初の試みだと思います。 もう一つの特徴が「法律相談センター」です。今では全国の至る所に開設されていますが、当会ではいち早く法律相談センター設置に取り組み、1995年に第一号が誕生。現在は10センターが稼働しています。運営にあたっては毎週1回、4名が週替わりで担当。弁護士は2年間固定とすることで、継続的に相談できる体制を整えています。しかし、相談件数の減少は当会も例外ではありません。早急な対策が必要だと考え、法律相談の市民の方々への認知向上に向け、昨年11月からTVCMの放映をスタートさせ、これを見て相談に来られる方がどのくらいいらっしゃるか、効果測定から始めていきます。 また、当会では量的なリーガルサービス拡充だけでなく、「相談から解決まで」を視野に入れたプロセスを実施する体制づくりにも取り組み、訴訟や調停など裁判所によらない裁判外紛争解決手続き(ADR)として、1997年に「岡山仲裁センター」を立ち上げました。さらに2007年には自治体と住民の紛争解決を行う「行政仲裁センター」を、昨年には医療機関と患者側との間で生じたトラブルについて和解あっせんを行う「医療仲裁センター」を設立。医療仲裁センターでは、事案によっては中立の立場の医師も仲裁人に入ってもらいますし、医学上の専門的知見が必要な場合は複数の専門医(医療専門員)から意見を述べてもらうなど画期的なシステムを採っています。 最後にもう一つ、当会の自慢すべきものとして「財団法人リーガル・エイド岡山」があります。当会の会員や岡山県内の経済会、市民の皆さまからいただいた多額の寄付金を基金として運用し、岡山弁護士会と(財)法律扶助協会との共助によって活動してきました。高齢者・障がい者支援センターやおかやま犯罪被害者支援センター、少年人権支援センターなど八つの組織があり、法テラスから弁護士費用が出ないときには基金でその費用をまかなうなど、司法福祉の増進をはかるためにさまざまな活動を行っています。

当会の伝統とやり方を、急増する新規会員にどう伝えていくか

このようにほかでは見られない活動を展開してきたのは、当会ならではの進取の精神の表れだと思います。中心になって動く弁護士が数人いれば、それをみんなで応援しようという気風が根づいているのです。 新規会員はここ数年で61期が30名、60期が25名と急増。新62期の申し込みは現在21名ですから、2010年には300名を超える勢いです。会員と事件数との需給バランスについては、岡山では勤務弁護士がほぼ全員採用されていますし、今後も人口規模の大きい倉敷、ニーズの高い津山など、全体を通じて掘り起こしができると思っています。 そうしたなか、いかに若い会員に当会の伝統、やり方を吸収してもらうかがこれからの課題だと感じていますが、結束の固さを強みに新人を積極的に受け入れ、一致団結して教育していこうと意気込んでいます。

■プロフィール

  • ● 所在地
  • 〒700-0807 岡山市北区南方1-8-29
  • http://www.okaben.or.jp/
  • ●会員数 261名(2009年10月現在)
  • 岡山本庁………239名
  • 倉敷支部………14名
  • 津山支部………7名
  • 新見支部………1名