弁護士会の取組み:バックナンバー

弁護士会の取組み

アトーニーズマガジン 弁護士会の取組み

地域司法計画を策定・推進する各地の弁護士会。地域に密着し、よりよいリーガルサービスの推進・向上のために活動を続ける各地の弁護士会の取り組みについて 、各弁護士会の会長よりお話を伺いました 。

徳島弁護士会

徳島弁護士会 会長 松尾泰三氏

消費者問題・刑事弁護・民事介入暴力などの精力的な委員会活動によって、若手に活躍の場を与えている弁護士会

長年の課題だったゼロワン解消。県民ニーズに応える体制ができた

すだちや鳴門金時(さつまいも)など全国的に有名な農産品を持つ徳島県。瀬戸内海と太平洋の豊かな漁場に面し海の幸にも恵まれている。阿波おどり・人形浄瑠璃など独自の文化でも知られている同県では、弁護士会も特徴的かつ独自の委員会活動を行っていた。全国の会長のなかでも47歳と若い松尾泰三弁護士に取材した。 当会は徳島本庁と県南部の阿南、西部の美馬の二つの支部で構成されています。いずれも本庁から車で1時間程度ということもあって、長い間いわゆるゼロワン地区でしたが、市民ニーズと過疎化解消の流れから2006年にひまわり公設事務所を開設。その後、開業した事務所と合わせて今は阿南支部に5名、美馬支部に4名が在籍しています。また簡易裁判所が置かれている池田と牟岐に法律相談センターを設けたことで、広く県民ニーズに応えられる体制が整いました。2009年末現在の徳島弁護士会の会員数は76名、なかに女性会員が5名含まれています。小さな弁護士会ですが、ここ数年で会員数が急増しており4年間で30名増という勢い。修習を終えた弁護士も迎え入れていることから、会の平均年齢は06年の50歳から09年の47歳(※1)へと大きく若がえっています。ここ数年の新規登録者には県外出身者が多く含まれていますが、若い弁護士が県内外から入会している理由の一つとして、当会が委員会活動を精力的に行っていることがあると思います。司法制度調査委員会、人権擁護委員会、消費者問題対策委員会、民事介入暴力被害者支援センター、刑事弁護委員会、公害対策環境保全委員会、子どもの人権保護委員会…などさまざまな活動が熱心に行われており、例えば消費者問題対策委員会では、無料相談会・クレサラ110番で市民の声に応えながら、県の消費者情報センターと研究会を設けて問題解決を継続的に協議しています。また公害対策環境保全委員会では、吉野川の環境保全について県に意見書を出すなど行政に影響力を及ぼす活動も展開。これら各種委員会では登録2年目以降の若手弁護士を積極的に委員に選任しており、若くして日弁連の会議に参加できることも、魅力としてとらえられているのではないでしょうか。

扱う案件の多くは一般民事。裁判員制度で予想外の動きも

徳島県で弁護士が扱う案件は一般民事が大半です。県内企業は、ほとんどが中小のため企業法務のニーズは高くありません。なかには発光ダイオードをはじめとした精密化学品のトップメーカーや、医療・健康分野の全国的に知られるメーカーもありますが、知財関連を専門に扱う弁護士がいないため、訴訟などの大型案件は大阪や東京の弁護士に依頼されるのが現状です。損害保険会社の顧問になっている事務所などは案件に特徴がありますが、民事事件を広く扱うというのが全体としての傾向になっています。 そんな徳島県における弁護士活動にも、最近ちょっとした動きが現れています。裁判員制度が2009年5月にスタートしてから今年の3月初頭までに県内における対象事件が16件あり、放火・殺人・強姦(ごうかん)致傷…とすべての罪名があがっているのです。制度施行にあたっては、もちろん会として事前から備えており、日弁連の研修を受けた若手を中心に勉強会を開き、外に向けても企業や団体に制度説明をしてきました。しかし私たちが予想した以上のスピードで、対象事件が増加しているため、今後さらに取り組みを強化する必要があると考えています。 そのほか当会の特徴として、法テラスへの取り組みが積極的に行われていることがあげられます。76名中63名の弁護士が法テラスと契約。この比率は四国でも高い数字だと思います。内訳は被告人国選60名・被疑者国選58名・国選付添人63名…。弁護士会では、被疑者国選・当番弁護士について待機制を設けており、平日3名の弁護士が担当しています。実は徳島県ではかつて「3年勤務弁護士をやったら独立」と言われていました。支部の国選弁護をすべて若手でローテーションしていたので、語弊があるかもしれませんが「国選で尋問を練習し」さらに「経済的なベースを作る」ことができたのです。一気に若手が増えた今は難しくなった慣例で、また若い人も勤務弁護士志向が強いようですが、その気になれば独立開業がしやすい環境があると思います。開業している人の多くは、自分のビルや戸建て住居に事務所を構えており、例えば地代などの条件が、間借りではなく自分の城を持つことを促しているようです。県内の事務所数は37。潜在的なニーズからしても、その数はまだ少ないと思っています。
※1 平均年齢47 歳は福井県と並んで全国で一番若い弁護士会

会の特徴を生かし、ベテランから若手へ継承していきたいこと

委員会活動の一端については先述しましたが、もう一つユニークなものに全国で当会だけの「阿波おどり委員会」があります。徳島県最大のイベントといっていい阿波おどりは毎年8月に行われ、この時期は県外に出ている修習生はもちろん、全国からたくさんの観光客が訪れるため、たいへんなにぎわいを見せます。阿波おどりには当会も「ひまわり連」として参加。委員会はメンバーにそろいの浴衣を用意し、日程を調整しながら練習を組み、当日は運営のサポートを行うのです。若い弁護士が増えて活動はさらに盛り上がっており、その勢いは阿波おどりにとどまらず「何か一緒にやろう」というときの団結にも結びついています。そういう風土のなかで、若手弁護士(30名)と大ベテラン弁護士(6名)の懇親会を始めました。ベテラン1名に対し若手5名を付けて食事会を開催。世代を超えた交流を図ると同時に、ベテランに若手のスキルアップをサポートしてもらおうという狙いを持っています。若い弁護士にはテクニックはもちろん「相手の気持ちに立って弁護活動をする」姿勢や、「依頼人と相手の双方が納得する紛争解決」の視点を、ベテランから学んでほしいと思っています。 当会としては会員が増えている現状を踏まえ、今後さらに若手弁護士の支援と指導を強化していく考えです。そして「後輩の面倒見が良い」会の風土も、次の世代に確実に伝えていきたいと思っています。

■プロフィール

  • ● 所在地
  • 〒770-0855 徳島市新蔵町1-31
  • http://www.tk2.nmt.ne.jp/~tokuben/
  • ●会員数:76名(2009年12月末現在)
  • 徳島本庁………67名
  • 阿南支部………5名
  • 美馬支部………4名