弁護士会の取組み:バックナンバー

弁護士会の取組み

アトーニーズマガジン 弁護士会の取組み

地域司法計画を策定・推進する各地の弁護士会。地域に密着し、よりよいリーガルサービスの推進・向上のために活動を続ける各地の弁護士会の取り組みについて 、各弁護士会の会長よりお話を伺いました 。

宮崎県弁護士会

宮崎県弁護士会 会長 松岡茂行氏

市民に近い「弁護士」のあり方を考え、さまざまな取り組みを推進する弁護士会

出張相談や夜間電話窓口開設で、市民の利便性向上を図る

太平洋に面した雄大な海岸線を擁し、気候も年間を通じて温暖な宮崎県は、完熟マンゴー、伊勢エビ、マグロなどの特産品を持つ。また畜産も盛んで、宮崎地鶏・宮崎牛はブランド銘柄として有名だ。この地で活動する宮崎県弁護士会は、会員92名の小規模弁護士会ながら精力的な活動を行っており、過疎解消、市民の利便性向上に向けた試み、口蹄(こうてい)疫対策などに成果をあげている。その活動について松岡茂行会長に伺った。 当弁護士会は宮崎市に県弁事務局を置き、都城、延岡、日南の支部には事務局を設置しておりません。 近年までは本庁管内に弁護士が集中し、県土全域に法サービスが行き届かない状況があったため、過疎対策特別委員会を設置し課題解決に取り組んできました。その結果、日南、日向、小林、西都の各市にひまわり公設事務所の誘致を実現。また2007年の九州弁護士会連合会・宮崎大会では、地方過疎解消をテーマに取り上げました。その事前調査においてアクセス障害が浮き彫りになったので、「夜間テレホン法律相談」を開設しました。事前調査は弁護士5人が他県境に位置する串間・えびの・高千穂に赴いて、出張法律相談と並行して実情の聞き取りをしたもの。そこで、若い人は弁護士に会う時間がない、高齢者は交通手段がないという実態が分かったのです。「夜間テレホン法律相談」は毎週水曜日の午後7時から8時30分に実施しています。「遺産相続人に該当するか」などの簡単な質問は電話で済むので実に好評です。電話相談の契機になった出張相談会も、年2・3回のペースで行っています。そんな宮崎県弁護士会に若手会員が急増しています。ここ3年間の新入会員は30名。会員の半数以上が50期以降の弁護士になりました。会員増は修習で来た県外出身者が多数就職したためです。宮崎が好きで残った人が大半ですが、修習スケジュールが過密だったため出身地で就職活動ができなかったケースもあるようです。いずれにせよ若手会員が増加したことで、委員会活動が活発になりました。人権擁護委員会には救済申し立てが殺到して大忙し。また裁判員裁判に関する活動にも精力的に取り組んでいます。裁判員裁判では若手弁護士を中心に勉強会がたびたび開かれていますし、日弁連の会合にも積極的に出席。会としても旅費の補助で、これら一連の活動をサポートしています。

口蹄疫問題で揺れた2010年は、会にとっても特別な1年だった

2010年、県最大の出来事は、やはり口蹄疫の問題で、弁護士会も各種民間団体と協力し支援活動に取り組みました。まず発症間もない5月、会が500万円を出資してボランティア支援基金を設立。そのうえで全国からの募金を仰ぎました。集まった募金総額は2000万円にのぼります。これらを原資にした活動は、感染防止段階では主に経済支援。「殺処分・埋却」にかかわった人の報酬を負担しました。さらに復興段階ではボランティア連絡協議会の一員として「尾鈴ふれあいの居場所」の設置をサポート。「尾鈴ふれあいの居場所」は被害に遭った方がいつでも立ち寄れるボランティア施設です。そして現在でも、中小企業家同友会などと連携を取って、さらなる復興支援の勉強会を開いています。2010年はそのほか修習生への給費存続を求める署名活動や集会にも注力しました。振り返ってみると近年になく忙しい1年だったと思います。 行政や他団体との連携は前述した突発的なことに限らず、日常的に行われています。例えば宅地削り取りの被害者救済で協力したことを契機に警察と非常に強い関係ができました。そして県警・暴追センター・弁護士会の三者が協力して民事介入暴力対策を推進しています。日ごろから協議会で講習を行い、ひとたび事件が起きれば三者が団結して解決に当たるのです。そのほか弁護士会では、犯罪被害者の弁護費用を負担する制度も作っていて、会を挙げて民事介入暴力と犯罪被害者救済の取り組みを行っていることが特徴です。

若手弁護士に活躍の場を与えるため、各種団体への働きかけを強化

宮崎県で弁護士が扱う案件は一般民事・刑事が中心です。自己破産や債務整理を含めた消費者問題や離婚問題、相続問題、交通事故など幅広い事件を取り扱いますが、最近は過払い問題が突出して増えています。私は福岡県で弁護士登録し、20年前に所属換えをしました。自身の経験から宮崎県は案件が多彩で、市民の弁護士への信頼が厚い土地柄だと感じています。もう一つ特徴をあげれば、訴訟に抵抗感を持つ県民が多いことです。実際に宮崎では和解率がきわめて高くなっています。そんな宮崎での弁護士活動は自動車移動が中心。JRは日豊線と日南線などがありますが、ダイヤが1時間1本程度と公共交通の便は良くありません。しかし空港へのアクセスは抜群に良いので、福岡や東京への出張はスムーズ。さらに物価が安く魚・肉・果物が新鮮で、冬でも暖かい生活のしやすさは自慢したいところです。うれしいことに、この地で頑張ろうという若手が増えていますので、弁護士会も活躍の場を広げるために精力的に動いています。執行部が医師会など各種団体に出向いて弁護士の仕事をPR。その一つの成果が税理士会との合同勉強会です。法律税務研究会という名称ですでに2回開催。直近の会では相続にかかわる問題を取り上げ、弁護士が遺言書や遺留分の講義を行い、税理士サイドからは税務に関する報告があげられました。税務の実情は弁護士にも勉強になります。会合は当初60人規模を想定し、弁護士会館で開く予定でしたが、80人が出席を希望したため急きょ広い会場を借りることになりました。そして勉強の後は懇親会で弁護士・税理士の交流を図っています。私がこの先に期待するのは、税理士が顧問先との仲介役になってくれて、企業と弁護士の間にパイプができることです。さらに顧問弁護士契約につながれば理想的だと考えています。そして今後も弁護士会が積極的に動くことで、弁護士の仕事を少しでも広げていきたいです。

■プロフィール

  • ● 所在地
  • 〒880-0803 宮崎県宮崎市旭1-8-28
  • http://www.miyaben.jp/
  • ●会員数:91名 (2010年11月1日現在)
  • 宮崎本庁………70名
  • 都城支部………9名
  • 延岡支部………10名
  • 日南支部………2名