弁護士会の取組み:バックナンバー

弁護士会の取組み

アトーニーズマガジン 弁護士会の取組み

地域司法計画を策定・推進する各地の弁護士会。地域に密着し、よりよいリーガルサービスの推進・向上のために活動を続ける各地の弁護士会の取り組みについて 、各弁護士会の会長よりお話を伺いました 。

沖縄弁護士会

沖縄弁護士会 会長 宮國英男氏

沖縄にある意義を自らに問い、“沖縄視点”を考える弁護士会

233名の会員を擁する弁護士会背景には独自の歴史と制度がある

美しい海や自然を求めて、多くの観光客が訪れる沖縄県は、49の有人島と多数の無人島で形成されている。最東端から最西端までは約1000キロ、最北端から最南端まで約400キロ。広大な県域の一部は国境と接しており、尖閣諸島問題や在日米軍の最重要拠点などでも広く知られている。これらの地理的・政治的条件をはじめ、歴史や伝統文化に特徴を有する同県では、弁護士会活動にもまた独自色が濃い。沖縄弁護士会ならではの特徴や活動について、宮國会長にお話を伺った。 当会には現在233名の会員が在籍しています。その内訳は正会員222名、特別会員10名、外国特別会員1名となっていて、会員の多さが一つの特徴です。沖縄は1972年5月までアメリカ合衆国の施政下にありました。復帰前は、ほぼ沖縄県内で弁護士を供給していました。そのような状況が復帰後も続いていましたが、近年は他都道府県からの入会者も急増中。2000年以降の新規登録は100名、その他に登録替えの入会者も多数います。そのほとんどが、沖縄県以外の出身の弁護士です。年齢構成をみると20代が10名、30代54名、40代37名、50代10名、60代19名、70代以上103名というバランス。かつては60代以上が70%近くを占めていて、課題とされていた弁護士の高齢化も少しずつ改善されてきたといえます。

社会情勢を反映した事件の他、沖縄独自といえる事案も多数

沖縄で弁護士が扱う事案もやはり過払い問題が圧倒的に多くなっていますし、その他では交通事故の損害賠償をはじめとした一般民事事件が中心です。離婚率が高い県なので離婚訴訟が多いですが、他の失業問題・学力問題・貧困問題などの課題やそれに伴う事件は、全体的に他都道府県と大きな差異はないでしょう。とはいえ国内施設の約74%が置かれている米軍基地の問題は沖縄独自です。 また自然環境保護もきわめて重要な課題。沖縄本島の山原(やんばる)と呼ばれる森林にはノグチゲラ、ヤンバルクイナ、ヤンバルテナガコガネなどの天然記念物が生息し、辺野古には貴重なアオサンゴとジュゴンの存在があります。さらに西表島と石垣島にはマングローブ林やイリオモテヤマネコなど他にはない自然・生物があるのです。弁護士会ではこれらの生物や環境を保護する目的から環境委員会を設置し、開発・建設予定地の視察や、それに基づいた各種提言を行っています。 米軍基地問題では2010年12月に「新たな米軍基地建設に反対する決議」を発表しました。政治色を強める意思はありませんが、この時点で県民が弁護士会に最も期待する行動を起こしたいという思いからのものでした。また尖閣問題でも決議には至りませんでしたが、弁護士会として「何かすべき」という声があがりました。このように当弁護士会では沖縄にある意義を自らに問いながらアクションを起こそうと考えており、それを2010年から2011年の行動指針としています。会長になってから、弁護士会の広報役として、地元のテレビ・ラジオ・新聞・雑誌などに出る機会が増えました。それらの機会に、この行動指針のお話をさせていただいています。 私は弁護士会館に出所し、毎朝、メーリングリストのやりとりなどから委員会活動をチェックしていますが、その他民事介入暴力対策特別委員会、刑事弁護委員会、犯罪被害者支援に関する委員会、消費者問題対策特別委員会、人権擁護委員会、高齢者・障害者等権利擁護特別委員会などの活動も活発に行われています。また司法修習で沖縄に来た人に当地を好きになってもらおう、スキルアップを支援しようという司法修習委員会の活動も精力的。その結果が近年の会員急増に結び付いていると捉えています。

他県出身者の視点も参考にして、会の存在意義を高めたい

数多くの島からなる沖縄では、いままで特に宮古島と石垣島圏内の弁護士過疎が課題でした。そこで両島にひまわり公設を誘致し、さらに2010年には宮古島に法テラス4号事務所もオープンしました。これにより偏在問題はおおかた解消されたと考えています。それでも沖縄本島から飛行機や船を利用して周囲の座間味・渡嘉敷など離島を訪れる機会は多く、弁護士の活動範囲は広域です。また島での交通手段はほとんど車移動になります。 そんな沖縄で弁護士活動をする魅力は、亜熱帯地域ならではの気候と自然、人情味あふれる人柄、独自の文化や伝統に触れられることでしょう。また事務所開設時の費用が低く抑えられるというのは一つのメリットだと思います。大ざっぱな計算ですが、100万円あれば事務所が借りられ、必要なOA機器もそろえたうえでの開業が可能ではないでしょうか。もっとも、最近は即独は多くありませんが、それでも登録替えで沖縄に来る会員は、即独してやっているようです。先輩弁護士の面倒見がいいという点は、当会の伝統です。そういう弁護士間の交流は、例えば野球チーム「沖縄ゲラーズ」の活動や、有志によるゴルフコンペなどで盛んに行われています。また当然ながら委員会活動も交流の大事な機会です。 私は生まれも育ちも沖縄ですが、これからの沖縄弁護士会は、県出身者と他都道府県出身者が、知恵を出し合って活性化してほしいと思っています。「沖縄が好き」で来てくださった若い他県出身者の方には、かつて独立国であった沖縄独自の文化や伝統を大事にしていただきたいと希望する一方、外から沖縄を見て感じていた客観的な感想や、地元で育った人間が気付いていない斬新なアイデアを積極的に発表してほしいと思います。そういう県外出身者の意見を積極的に取り入れて、新たな沖縄アイデンティティーともいえるスタイルを弁護士会内に構築したい、そして当地における弁護士会の存在意義を高めていきたいと考えています。

■プロフィール

  • ● 所在地
  • 〒900-0014 沖縄県那覇市松尾2-2-26-6
  • http://www.okiben.org/
  • ●会員数:233名 (2010年12月現在)
  • 那覇本庁………180名
  • 沖縄支部………39名
  • 名護支部………4名
  • 平良支部………3名
  • 石垣支部………7名