弁護士会の取組み:バックナンバー

弁護士会の取組み

アトーニーズマガジン 弁護士会の取組み

地域司法計画を策定・推進する各地の弁護士会。地域に密着し、よりよいリーガルサービスの推進・向上のために活動を続ける各地の弁護士会の取り組みについて 、各弁護士会の会長よりお話を伺いました 。

第二東京弁護士会

第二東京弁護士会 会長 澤井英久氏

進取の気風と自由闊達(かったつ)な風土から、全国初の取り組みが次々と生まれる弁護士会

「魁(さきがけ)の二弁」といわれる弁護士会の風土と特徴

東京には、東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会の東京三弁護士会がある。このうちの第二東京弁護士会は、どのような経緯で誕生し、いかなる特徴があるのか。澤井英久会長に伺った。 第二東京弁護士会は、東京三弁護士会のなかで最も若い会です。最初に東京弁護士会が設立され、そこから分離する形で第一東京弁護士会ができました。さらにこの二つの会から有志が集まって、1926年に設立されたのが当弁護士会です。三者鼎立(ていりつ)による健全化を目指して設立されたこともあり、当初は「二弁には良識派、リベラル派が多い」といわれたようです。しかし85年の歴史を経た現在では、上下関係なども全くなく三会が協力して市民のための法サービスを提供しています。それでも第二東京弁護士会ならではといえる気風は確かに残っており、それが「進取の気風」と「自由闊達(かったつ)な風土」だと捉えています。そして、その特徴的な気風が原動力となって各方面で全国初の取り組みを展開しているのです。いくつか例をあげれば、まず「仲裁センター」の設立があります。民事上のトラブルを簡単な手続きで早期かつ公正に解決することを目的として、全国で初めて裁判外紛争解決機関を立ち上げました。また法科大学院(ロースクール)設立の提言もほかの弁護士会に先んじて行っています。当時の会長・川津裕司氏の英断で1999年に会としてロースクール構想を発表し、法曹人口の拡大とロースクールの必要性を訴えました。さらには、埼玉の教育機関と提携して法科大学院の設立に全面的に協力。2004年に開校した大宮法科大学院で教壇に立つ実務家教員の大半は当会出身者です。そのほか、都市型公設事務所の開設に乗り出したのも全国で二番目です。新宿区に「東京フロンティア基金法律事務所」を構え、一般民事相談や事件を積極的に取り扱っており、都市における法サービスの充実を図ると同時に、弁護士過疎地のひまわり公設事務所や法テラスに赴く弁護士を養成・支援しています。

若手会員が急増し、委員会・研究会の活動がさらに活性化

また、当会には組織構成における顕著な特徴もあります。会員数4301名※1は東京弁護士会に次いで全国第2位の規模。外国特別会員148名は全国最多です。女性会員は851名※2で、女性会員比率も全国でトップクラスです。会員の中に大手事務所勤務の弁護士が多いことも特徴といえるでしょう。 そして近年、若手会員が急増しています。54期以降の会員数は2000名を超え、入会10年目までが半分を占めています。それも、この4年で1000名以上と急ピッチで若手会員が増加。そんな中で、若手会員との交流に委員会・研究会の活動が大いに役立っています。 委員会活動では、消費者問題対策委員会、子どもの権利に関する委員会、環境保全委員会、民事介入暴力被害者救済センター運営委員会などが特に精力的。さらに、法律相談センター運営委員会、仲裁センター運営委員会、高齢者・障がい者財産管理センター運営委員会、犯罪被害者支援委員会なども熱心な活動を行っており、これらの委員会には若手会員が多数参加しています。また「労使紛争や労働者の貧困問題も看過できない」と、労働問題検討委員会も新設しました。 研究会活動も精力的に行われています。先ごろ、先端的な医療技術などの確立を目指して、先端医療技術研究会が発足しました。スポーツ法政策研究会も比較的新しくできた研究会です。これには二弁会員以外にマスコミ・スポーツ機関などからの参加もあり、スポーツ関係者を招いて熱心に勉強しています。また、会社法・知的財産法・倒産法・税法などの研究会は、業務拡大に直接関わるところでもあり、「仕事の領域を広げたい」と考える会員が積極的に参加しています。

震災対策を最優先事項とし、四つの施策に取り組んでいく

現執行部が真っ先に着手すべきことは、「東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)」への取り組みです。日弁連が3月11日に災害対策本部を作ったのを受け、当会も3月22日に対策本部を立ち上げました。既に実施している支援としては、まず「法律相談」があります。電話法律相談が始まっているほか、被災者がいる土地に赴いての法律相談を計画・実行しています。経済的支援としては、会員に義援金への協力を呼びかけています。そして今後は被災者のための法的な提言も検討していきます。今回の災害は、地震・大津波・原子力発電所事故と、今までになく大規模かつ複雑なもの。「こういう法律が必要だ」「この法律は改正すべきだ」という法律の専門家の視点からの提言が必要です。 震災対策を最優先にしながらも、2011年度はやるべきことが多く、四つの活動の柱を定めました。一番目は前述した震災対策で、二番目は若手会員支援。三番目・四番目に財務問題と「多摩支部の本会化問題」を据えています。 若手支援については、まず新人サポート事務所(仮称)の設立です。当会に寄贈された都内の土地と現金を原資とし、就職困難あるいは開業資金の手当てが難しい新人弁護士に活動の場を提供するとともに、あわせて高齢者・障がい者のための法律相談を行います。この施設は2011年度中に完成する予定です。そして若手をサポートするために先輩弁護士を付けるOJT制度もスタートする予定です。若手に一般民事事件を多く担当させる制度も検討したいと考えています。 財務問題では、会員が増えていることを受け、会財政の適切なあり方・使い方を考えていきたいと思っています。多摩支部の本会化は長年の懸案事項です。現在、東京23区を除く多摩地区には約400万人の市民が住んでいます。しかし裁判所は本庁ではなく立川支部という位置付けで、弁護士会も東京三弁護士会の各支部になっています。400万市民のニーズに応えるために、裁判所を本庁にして、多摩支部も本会にステップアップさせる必要があるのです。地域住民の方ともよく話し合い、国や最高裁への働きかけも不可欠です。難しい取り組みですが、東京三弁護士会が協議会を立ち上げ、2011年度から本格的に活動を行っていきます。このように東京三弁護士会が協力して大きな懸案の解決に向けた動きを推進しつつ、二弁の特徴である「魁(さきがけ)」の取り組みを、若手支援などにさらに展開していきたいと考えています。

■プロフィール

  • ● 所在地
  • 〒100-0013 東京都千代田区霞が関1-1-3弁護士会館9F
  • http://niben.jp/
  • ●会員数:4301名 (2011年3月末現在)
  • (うち弁護士法人:34法人、外国特別会員:148名)