事務所探訪:2016年9月号 Vol.53

事務所探訪

アトーニーズマガジン 事務所探訪

多種多様な「働く場」としての法律事務所を、読者に代わり、編集部が取材します。事務所の理念・方針・特徴・こだわりや工夫が凝らされた事務所の“日常風景”を分かりやすくお伝えします。

Style of Work

事務所探訪

土屋総合法律事務所

建築紛争、労働事件、企業法務などのプロフェッショナルが結集し、伝統をつなぐ

土屋総合法律事務所は、1965年、日弁連会長を務めた故・土屋公献弁護士が開所した事務所だ。土屋弁護士は、過払い金返還請求が一般的ではなかった68年に、最高裁判決を勝ち取り、過払い金返還請求が広く認められるきっかけをつくった人物。現在は高谷進弁護士、鶴田進弁護士、高橋謙治弁護士が代表弁護士として、事務所をけん引する。高谷弁護士が、今の事務所の風土につながる土屋弁護士の人となりを語ってくれた。「土屋弁護士は常々、人の権利を擁護するのが弁護士の仕事だと言っておりました。過払い金返還請求の問題も、弱い立場に置かれた人を守るという活動成果の一つ。周囲が驚くほど、依頼者を守るために大胆な行動を取ることもありましたが、一件一件に全力で取り組むという土屋の気風・志に惹かれ、多くの弁護士がこの事務所に集まり、巣立ちました。今の事務所のメンバーも、そうした土屋の理念を受け継いでおります」

かつては、土屋弁護士の方針で「7年経ったら弁護士は独り立ち」が不文律だったという。「今は組織の強化・発展に注力すべきタイミングなので、そのルールは取りやめました。中堅・若手ともに、事務所の次のステージを担う人材となってくれるよう、研鑽してもらっています」と、高谷弁護士。

守り続けている伝統もある。「(若手でも)任せて自分で考えさせる」が、それだ。中田貴弁護士は言う。「上の弁護士からの〝あれやれ、これやれ〞がなく、かなり自由です。そのため、各々関心ある分野の事件を自然と多く取り扱っています。それで、建築紛争なら高橋弁護士、私は労働事件・家事事件、交通事故なら荒木弁護士、刑事事件は中村弁護士という具合に一人ひとり得意分野ができていく。若手についても、上の弁護士は『この線で行こう』と指示はするものの、なるべく本人のやり方や判断に委ねます。今では中堅の我々も、そんな環境だったから早く成長できたと感じています」

民事・刑事、多様な分野に対応できる同事務所。少し変わった分野として、寺社からの相談・事件が多くあるという。「事務所の歴史が長い分、お付き合いが長いお客さまがたくさんいて、そこからご紹介が広がります。寺社などはその一例。大きな寺社の法的支援をすると、その配下の寺社からの相談も増えるというかたちです。以前、神社の不動産登記に絡む一種の詐欺事件に関与しました。神社にとって必要な参道や境内地などの不動産をある人物が不当に死因贈与の形式で取得したため、その土地を我々が取り戻したという事件で、かなり複雑でした。これは高谷弁護士のご友人で大きな神社におられた方が、その〝姉妹神社〞の管理をするなかでご相談くださったものでした。付け加えれば、この事件の時も高谷弁護士は、おおむね私の判断を尊重してくれました。もちろん何度も相談には乗っていただきましたが(笑)」と、中田弁護士。

もう一つ〝ならでは〞なのが、事務局長の長年にわたる貢献。「事務局長は、当事務所が開所した頃から勤務しており、古い付き合いの依頼者は、まず彼に連絡します。私たちより依頼者に詳しく、背景事情の説明もしてくれます。寺社関連は、特にその流れで進むことが多いですね」と、語る高谷弁護士。

弁護士・事務員一体となって、先代からのご縁をつなぐ一方で、中堅が中心となり、Webサイトのリニューアルにも取り組むなど、営業経路の拡充を試みる。守るべき伝統と次代への挑戦の融合が事務所の未来を切り開いている。

■プロフィール

  • ●所在地
  • 〒104-0061
  • 東京都中央区銀座1-8-21
  • 第21中央ビル6階
  • TEL/03-3567-6101
  • http://www.tuchiya-law.com/
  • ●1965年、土屋公献弁護士が日本橋に前身となる事務所を開所。取り扱い分野は、建築紛争・欠陥住宅、債権回収・企業間トラブル、不動産トラブル、相続問題・成年後見、離婚問題、交通事故被害、人事・労務問題、企業再生・整理・借金問題、企業における予防法務など。獣医師会や寺社とのつながりによる案件にも多く関与。9名の弁護士と6名の事務員が、「一件一件に全力で取り組む」という創設者・土屋公献弁護士の理念を継承し続ける