法務最前線:2015年3月号 Vol.44

法務最前線

アトーニーズマガジン 法務最前線

経営そのものに深くかかわる企業法務部。現場からの相談に瞬時にかつ的確に判断することが求められる組織に必要なファクターとは、その精鋭が弁護士に期待することとは何か?各社の法務部長へ伺いました。

新時代のWork Front

法務最前線

プルデンシャル生命保険株式会社 法務チーム

立ち返るべきは社の存在意義

同社は、世界最大級の金融サービス機関であるプルデンシャル・ファイナンシャルの一員として、1987年に設立された。そのビジネスをサポートする法務チームは、ジョナサン S・マラマド氏(チーフ・リーガル・オフィサー)、西辻啓介氏(チームリーダー)以下6名の社員からなる。知的財産権関連と立法動向のチェック、取締役会事務局などに関しては専門の担当者を置くものの、法務相談や契約書関連、訴訟対応などの日常業務に関しては、特に専門の担当者を設けることなどはせず、全員がフォローできる体制を敷いている。「あえて当社法務チームの仕事の特徴を挙げれば、レベルの高い法務相談が頻繁にあることでしょうか」と西辻氏は言う。
同社は、ライフプランナーというクオリティの高い営業社員によるコンサルティングセールスをベースに、オーダーメイドの保険を提供する。それだけに、顧客の要望を満たすためにクリアにすべき法的課題は、多種多様だ。「他社がやらないようなビジネスモデルの検討なども常に行われていますから、それが関連法規に抵触しないか、といった問い合わせもよくあります。法令に明確な定めがなく、簡単には結論を出せないことも多いのですが、常にどうしたらビジネスを実行できるか、お客さまの役に立てるのか、という視点で対応するように心がけています」
法務チームのバックボーンにあるのは、「我々はプルデンシャル生命のミッションを支えているのだ、という使命感」だとマラマド氏は説明する。「当社のミッションは、顧客の一人ひとりが経済的な保障と心の平和を得ることができるように、最高のサービスを提供すること。『生命保険の魔法の力』を知っていただき、お届けすることなのです。簡単な業務ばかりではありません。けれども、常にそういう当社の目的、存在意義に立ち返ることで、法務として何をすべきなのかがおのずと明らかになってくる、と私は確信しています」

外資系の強みも生かす

「当社には、グローバルに展開する外資系企業だからこそ提供できるサービスもあります」とマラマド氏は言う。
同社が他社に先駆けて開発した商品もある。「最近では、保険金が契約者の意志に沿ったかたちで使われるために、生命保険を信託と組み合わせた商品を信託銀行とともに共同開発しました。分厚い約款の〝電子化〞も、かなり早い方でしたね」(西辻氏)
新たなサービスの提供に、法務チームのサポートが大いに貢献したことは、いうまでもない。
質の高い仕事を遂行するのに、人材育成は不可欠だ。マラマド氏は「我々は法務の専門性を高めてもらうことを基本にしています。外部のセミナーなどにも積極的に参加してもらうほか、チームとしては他社の法務との情報交換、米国親会社の法務部門との交流なども行いながら、レベルアップを図っています」と話す。
ところで、マラマド氏は80年代から日本の法律事務所で働き、その後、証券会社でアジア全体を担当する弁護士として勤務した経験を持つ。「アメリカは、弁護士数が多く、企業の法務部員のほとんどが弁護士です。日本でも、コマーシャルローに対する関心が高まってきていますね。弁護士をめぐる環境には、複雑で困難な部分もありますが、新しい分野に挑戦しようという気持ちがあれば、チャンスは大いにあると思いますよ」

■企業概要

  • プルデンシャル生命保険株式会社
  • 設立 : 1987年10月
  • 代表者 : 代表取締役社長兼最高経営責任者
  • 一谷 昇一郎
  • 資本金 : 290億円
  • 従業員数 : 4613名(2013年度末)
  • 本社所在地 : 東京都千代田区永田町2-13-10プルデンシャルタワー
  • ■プロフィール
  • ジョナサン S.マラマド
  • チーフ・リーガル・オフィサー
  • 1984年 ワシントン大学卒業(LL.M.)
  • 1991年 11月 プルデンシャル・セキュリティーズ・インク入社
  • 2004年 4月 プルデンシャル生命保険株式会社
  • 執行役員
  • チーフ・リーガル・オフィサー