法務最前線:2015年3月号 Vol.44

法務最前線

アトーニーズマガジン 法務最前線

経営そのものに深くかかわる企業法務部。現場からの相談に瞬時にかつ的確に判断することが求められる組織に必要なファクターとは、その精鋭が弁護士に期待することとは何か?各社の法務部長へ伺いました。

新時代のWork Front

法務最前線

日産自動車株式会社 法務室

フラットでグローバルな連携を日々実践

現在、日産自動車のグローバル本社・法務室の陣容は19名。少数に思えるが、担当部長齊藤義雄氏は次のように語る。「当社は、ビジネス市場を北米、中南米、ヨーロッパ、AMI(アフリカ、中近東、インド)、アジア&オセアニア・日本、中国、インフィニティ事業と7つの領域に分けてマネジメントしています。各地域や事業の文化・風習に根付いたビジネスを展開するにあたり、そのための法的サービスを速やかかつ適切に提供することをミッションに、各地に法務室を設置。近年、各拠点との連携・協力が強固になり、当然、我々もグローバルファンクションの一つとして機能する。つまり、世界各拠点の法務室社員、総勢150名が我々のメンバーということです」 齊藤氏を含めたグローバル本社・法務室のジェネラルカウンセルが7つの領域の法務室リーダーから主な紛争や取引あるいは人事などのリポートを毎週受け、共にマネジメントを行う。また、一つの会議に4〜5カ国の社員が参加するのも日常の風景だ。「我々の組織ではトップダウンだけで管理することは決してありません。各法務室のリーダーがお互いにうまく情報共有し合い、各自の自主性・アイデアを重んじる環境を構築しています。そのリージョナルリーダーシップと個々人の意欲の高さにより、グローバルで円滑にコミュニケーションを取れる土壌を形成していることが、当社の強みです」

求めるのはグローバルマインドと胆力

そして、グローバル本社・法務室は、3つのグループに分けられる。アシスタントジェネラルカウンセルの竹内デイビッド氏と永長勉氏に、その構成と特徴を尋ねた。「1つめは、取締役会その他経営会議の議題検討・運営、内部統制などに携わるコーポレート。2つめは、開発・生産を中心としたモノづくり、および外国企業との提携の所管。3つめは、販売戦略にかかわるマーケットパフォーマンス。モノづくりとマーケットパフォーマンスのグループには、それぞれに前述の7つの領域が割り振られ、マネジメントします。
グローバルファンクション全体で見た時の最大の特徴は、特定の専門領域に関与するリーダーが配置されていること。例えば、フランスの法務室に所属するある弁護士は、独禁法が専門。また、もう一人の北米の弁護士は、輸出管理が専門です。そして、それぞれの弁護士のもと、各地区の法務室社員および外部法律事務所の弁護士が加わり、スペシャリストグループを編成。該当の法領域に関する案件については、そのグループが全世界のどこにおいても対応できるという点が、非常に特徴的です」
同社は組織のみならず、業務についても〝マトリックス〞な構造をしいている。例えば齊藤氏はルノーやダイムラーとの法務案件を担当するが、「会社ごと、プロジェクトごと、および各国事情もある中で、考え方や慣習などの違いも考慮しつつ関係当事者が納得する提携上のルール・ポリシーで交渉・決着していくことは、とても難易度の高い仕事。かつ社内からも各国のスタッフが加わるので、二次元、三次元で物事を捉え、考える必要がある。非常に大変だが、その分、やりがいは大きい」と言う。
こうしたグローバル企業の法務室が求めるのは、どのような人材なのか。齊藤氏に聞いた。「国際的な案件に対しての興味・意欲があることはもちろん、〝頑固なくらいに自分自身を見失わない胆力〞が必要です。単に文化・考え方の違いを理解するだけでなく、そこに自分の意見をしっかり発信できる能力ということです。また、先の独禁法や輸出管理のような、自分が打ち込める法的専門領域を見つけようという気概がある方も望ましい。先例のない、挑戦しがいのあるグローバル案件が多数ありますので、ぜひそうした方と共に働きたいと思います」

■企業概要

  • 日産自動車株式会社
  • 設立 : 1933年12月26日
  • 代表者 : 社長兼最高経営責任者(CEO) Carlos Ghosn(カルロス ゴーン)
  • 資本金 : 6058億1373万円
  • 従業員数 : 14万2925名(連結)
  • 本社所在地 : 神奈川県横浜市西区高島1-1-1
  • ■プロフィール
  • 齊藤義雄(さいとう・よしお)
  • 日産自動車株式会社
  • 法務室 担当部長
  • 1987年4月 日産自動車株式会社入社
  • 2001年4月 法規部 主担
  • 2001年5月 ルノー・法務室 出向
  • 2003年5月 欧州日産・法務室出向
  • 2008年4月 法務室 主管
  • 2010年4月 HQファシリティマネージメント部 部長
  • 2014年4月 法務室 担当部長