法務最前線:2015年11月号 Vol.48

法務最前線

アトーニーズマガジン 法務最前線

経営そのものに深くかかわる企業法務部。現場からの相談に瞬時にかつ的確に判断することが求められる組織に必要なファクターとは、その精鋭が弁護士に期待することとは何か?各社の法務部長へ伺いました。

新時代のWork Front

法務最前線

株式会社ミツウロコグループホールディングス 経営監理部

社内弁護士採用で時間とコスト節減

創立90年のミツウロコ。2011年に持株会社制へ移行し、ホールディングスとして新たな歴史を刻み始めている。同社の法務機能は、法務審査担当として経営監理部内に置かれる。グループCLO(最高法務責任者)の竹内亜起弁護士に、体制について伺った。「現在4名が所属し、うち法務専任は私を含めて2名です。業務内容の割合としては、契約書等の作成・チェック5割、対外的な広告や文書の内容審査2割、各社からの業務相談3割といったところ。グループ各社に独立した組織としての法務部を置いていないので、全社の法務的な相談・問題がすべて集まってくる形です」竹内弁護士は13年に、同社初の法務系の有資格者として採用された。弁護士が社内にいることで及ぼした効果とは一体何だろうか。「顧問弁護士やコンサルタントへの相談を、まず社内で検討するようになり、時間とコストが短縮できました。また、社内で事案の蓄積を行うようになったことも良かった点だと思います」と竹内弁護士。法務審査兼務、経営監理課主任・藤田洋希氏も「竹内が入社した頃は、経営側にも社員にも、コンプライアンスへの理解が定着してきていた。『これで本当に問題ないか』と不安になったときは、必ず法務に相談する風土が醸成されるようになった」と語る。躊躇なく相談できることは〝事業スピード〞を落とさないことにもつながる。例えば、同社では14年末にアメリカ大手ハンバーガーチェーン・カールスジュニアと業務提携をし、日本国内の出店独占権を取得。ちなみに発表時の東証一部値上がり率は、第6位。向こう10年間で国内150店舗展開を目指す新規事業だ。この業務提携では、もちろん顧問先の協力を得たものの、竹内弁護士が契約書のチェックを担当した。〝社内で進められることは、まず社内で〞によって、素早くプロジェクトを成功に導いた一例である。

事業の実現に寄与する法務体制を構築したい

竹内弁護士は法律事務所に勤務していた頃の経験から、「顧問先の立場では、安全策しかとれないことも多い。しかし社内の人間なら営業部門等の現場の意図を汲んで、事業を共に進めるための、〝ギリギリの線まで攻めたアドバイス〞ができる。そこが社内弁護士のやりがいかもしれません」と、語る。「ただし安易に『大丈夫ですよ』と言ってしまうと現場が突っ走る可能性があるので(笑)、どこまで走らせ、どこでセーブするかは慎重に判断する必要がある。『本来はダメだけど、こうしたい』という社内の要望に対して、リスクを説明し、場合によっては止めたりということもせざるを得ない。法的にできない理由は、具体的に説明できるようになりましたが、柔軟な代案が出せるまでにはまだ至っていません。各事業の理解を含め、それは私自身が勉強中です」竹内弁護士のような専門職を除き、同社では人事異動が多いという。つまり専門知識を得た人材が他部署へ異動していくわけだ。そうした状況下で、どんな法務体制を目指すかを尋ねた。「藤田も元は営業職で、内部監査やコンプライアンスに関する部門を経て、今は法務審査兼務。1日何件もかかってくる相談電話を受けて答えています。彼が再び営業へ異動し、営業で問題が起きたときには、法務で得た知識や経験が生かされ、彼自身でまず対処することができるでしょう。そのように法務的素養を持った人がいろいろな部署・ビジネス現場に展開していくのは素晴らしいことです。一方、法務はそれ以上の役目を果たせなければいけません。様々な新規事業に取り組む当社の、その実現に寄与すべく、戦略的なアドバイスもしていける法務体制を構築していきたいです」

■企業概要

  • 株式会社ミツウロコグループホールディングス
  • 設立 : 1926年5月10日
  • 代表者 : 代表取締役社長 兼 グループCEO 田島晃平
  • 資本金 : 70億7700万円
  • 従業員数 : 1698名(連結)
  • 本社所在地 : 〒104-0031 東京都中央区京橋3-1-1

  • ■プロフィール

  • 竹内 亜起(たけうち・あき)
  • 株式会社ミツウロコグループホールディングス
  • グループCLO 兼 社長室部長
  • 弁護士(57期)
  • 2004年10月都内法律事務所入所
    2013年2月ミツウロコグループホールディングス入社