法務最前線:2017年1月号 Vol.55

法務最前線

アトーニーズマガジン 法務最前線

経営そのものに深くかかわる企業法務部。現場からの相談に瞬時にかつ的確に判断することが求められる組織に必要なファクターとは、その精鋭が弁護士に期待することとは何か?各社の法務部長へ伺いました。

新時代のWork Front

法務最前線

コカ・コーライーストジャパン株式会社 法務本部

統合プロジェクトに能動的にかかわる

コカ・コーライーストジャパンは、2013年に関東・東海地域の〝ボトラー〞と呼ぶ製造・販売会社4社の経営統合により発足。15年にも1社(仙台)を事業統合、17年4月にはコカ・コーラウエストとの経営統合を予定する。これにより売上高で世界第3位のコカ・コーラボトラーが誕生することとなり、統合後3年間で200億円規模のシナジー創出を見込む。これらの統合プロジェクトには、法務本部も交渉から統合実現に至るあらゆる段階に深く関与している。仙台のボトラー統合に携わった横井祐子氏は、次のように語ってくれた。

「当社は発足以来、大規模な統合を常に進めてきました。それらのプロジェクトと、製造・販売など業務そのものに対する法的支援や日々の相談対応などを並行して行う環境にあることが特徴です。統合のまっただ中にあるため、様々なルールや仕組みを新たに一からつくり上げることが求められます。〝法律的な正解〞をアドバイスするだけでなく、多くの人たちと協働しながら、その後の実行フェーズにまで深くかかわっていける――まさに事業ダイナミズムを体感できることが、仕事の醍醐味です」カルチャーが異なる複数の企業を統合したこともあり、法務の役割・重要性の認知度を全社的に高める施策を講じてきた。法務本部長の尾関春子氏は言う。「社内のイントラネットやニュースレターなどを用いて情報発信することはもちろん、人事、ファイナンス、営業など他部門のリーダー会議に法務本部のメンバーが参加し業務に精通することで、部門が抱える〝課題の芽〞を見つけて法務本部に持ち帰り、解決策や改善策を検討、部門にフィードバックする作業を継続しています。法務へ気軽に相談してもらうためには、まず自分たちの〝顔〞を知ってもらい、法務がどんな場面でかかわる必要性や意義があるか、事例を積み重ねて各部門に理解浸透させていく取り組みが必須です。フットワーク軽く動けて、法的知識とチームワークを生かし、新しいものをつくっていくこの仕事に、やりがいを見いだせるメンバーを集めています」

事業拡大をけん引する

法務本部は現在、倫理・コンプライアンス、営業部門担当、製造配送部門担当、管理部門担当、株式・取締役会等を担当する5チームで構成されている。「上下関係が厳しくなく、アットホーム。自分の功績だけを追い求めるのではなく、他者を助けて一緒に成果を上げていこうというマインドのメンバーばかりです」と横井氏。

同社は、18年末をゴールに「成長に向けたОne+ロードマップ」というアクションプランを走らせてきた。「新しいビジネスモデルを明確化し展開する/新しいビジネスモデルの質の向上と最適化」を終え、今年以降は「世界の有力なボトラーと肩を並べる〝グローバルボトラー〞の水準に近づく/世界で通用するワールドクラスの日本のボトラーになる」ことが目標だ。「法務本部も当然、これらの目標を達成するための重要な役割を担います。倫理・コンプライアンスの啓蒙・強化は大きな柱の一つ。企業規模が拡大するほど、〝一企業市民〞として社会から尊敬される企業であるために、私たちが果たすべき役割も大きくなるはずです。その役割をきちんと担うことを使命として、法務が〝組織をひっぱっていく存在〞でもありたいと考えます」と、尾関氏。

今後も大きな変革・拡大が続く同社。法務に携わるメンバーにとって、〝実行力〞を鍛えられる機会が多く訪れることは間違いないだろう。

■企業概要

  • 設立:2001年6月29日(13年7月1日商号変更)
  • 資本金:64億9900万円
  • 連結従業員数:8355名(2015年12月31日現在)
  • 所在地:〒107-0052 東京都港区赤坂6-1-20 国際新赤坂ビル西館

  • ■プロフィール

  • 尾関春子(おぜき・はるこ)
  • ニューヨーク州弁護士
  • コカ.コーライーストジャパン㈱
  • 取締役 常務執行役員
  • 法務本部長
  • 上智大学法学部卒業。ミシガン大学ロースクールLL.M.修了。日本光学工業(現ニコン)、日本コカ・コーラにおいて企業法務の経験を積んだ後、外資系のeコマース、製薬、機器メーカーの法務部門の長を経て、2013年9月コカ・コーライーストジャパンに常務執行役員・法務本部長として入社。15年3月に取締役就任。

  • 横井祐子(よこい・ゆうこ)
  • 弁護士(53期)
  • コカ.コーライーストジャパン㈱
  • 法務部本部
  • コーポレート法務部長
  • 東京大学法学部卒業後、椿法律事務所入所。2002年、伊藤見富法律事務所(モリソン・フォースター外国法事務弁護士事務所)に転じ、M&Aや一般企業法務を手がけた。06年、日本マイクロソフトに入社。インハウスロイヤーとして7年勤務したのち、14年4月コカ・コーライーストジャパンに入社。15年4月、法務本部コーポレート法務部長に就任。