Vol.62
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前列左から、在間文康弁護士(62期)、新谷泰真弁護士(58期)
後列左から、菅野浩平弁護士(69期)、鈴木穂人弁護士(62期)、瀧上明弁護士(58期)

前列左から、在間文康弁護士(62期)、新谷泰真弁護士(58期)
後列左から、菅野浩平弁護士(69期)、鈴木穂人弁護士(62期)、瀧上明弁護士(58期)

STYLE OF WORK

#112

弁護士法人 空と海

リーガルアクセスを必要とする市民のために、公設事務所経験者が弁護士過疎地問題に挑む

弁護士過疎地域の解消。活動で地域が変わり、社会の仕組みそのものも変えている可能性も

弁護士法人 空と海
新谷弁護士
東京事務所に所属

弁護士法人 空と海は、弁護士過疎といわれる地域で公設事務所の所長を経験した弁護士が設立した事務所。設立のきっかけを、新谷泰真弁護士に伺った。

「出身事務所の後輩の鈴木穂人弁護士と私には、『公設事務所への赴任終了後、赴任地域を継続的に支援していきたい』という共通の思いがありました。その思いに共感してくれた在間文康弁護士、瀧上明弁護士と共に4名で事務所を設立しました」

法人化したのは、「一つのチーム・運命共同体として、ご縁ができた地域の方に、継続的かつ安定的な法的支援をする覚悟を示したかった」から。鈴木弁護士が付け加える。

「もう一つは多様性への対応です。各地域に様々な問題があって、自分一人の能力では限界を感じることもあります。しかし相談者・依頼者の思いに何とかして応えたい。そこでメンバー間で協力し、切磋琢磨し合い、よりよい解決の道を探り出す。それができるのは、やはり〝一つのチーム〞だと思うのです」

弁護士法人 空と海
瀧上弁護士
陸前高田事務所に所属

拠点の1つである陸前高田は、震災復興支援の比重が高い。瀧上弁護士に業務内容を伺った。

「市の委託で、仮設住宅を巡回して被災ローン減免制度の手続きの相談に乗り、その先にある住宅再建支援金・補助金などの情報を伝えたりしています。震災以降、陸前高田では約30の被災地復興を掲げるNPO法人が活動しており、彼らへの法的アドバイスも多いですね」

弁護士法人 空と海
在間弁護士
東京事務所に所属

震災に関する法律知識や情報は、震災当時から被災地で活動していた弁護士でないとわからないこと、地域の状況に精通していなければうまく進まないことも多いそうだ。地域との深いつながりをどう築いてきたか、在間弁護士が教えてくれた。

「陸前高田の地元言葉で、茶話会を『お茶っこ』と言います。仮設住宅の巡回活動は『法律相談』と言わず、『今から弁護士が集会所でお茶っこやるから来てね』、と。生活再建の支援金・補助金の受け取り方を紙芝居で見せ、お茶を飲みながら参加者と話す。参加者は、そこでようやく『実は家のローンが残っていて』と話し出す。弁護士として真正面からアプローチするのではなく、『その地域の中で役に立つ一人の人間だ』と知ってもらえて、初めて弁護士としての仕事が始まるのです。弁護士への心理的なハードルを下げ、自ら出向くことで物理的なハードルを下げる。これを意識して、地域とのつながりを深めました」

一般市民にとっては、法的紛争と普通の悩み事の境界線は曖昧だ。「悩み事が生じた時、法的に解決可能なのか、気軽に聞ける人という役割を果たしたい」というのが全員の願いだ。

弁護士法人 空と海
鈴木弁護士
奄美事務所に所属

「弁護士過疎地に暮らす人々にとって、弁護士という存在や法的な解決を行うことが、本当に遠いものだということを、我々はいまだに実感しています。同じ国の住民であるにもかかわらず、住んでいる地域によって、守られるべき権利が守られず、果たされるべき義務が果たされないことが問題だと思います」と、鈴木弁護士。

そんな問題解決を急ぐ事務所を今後、どう発展させていくのか。新谷弁護士に伺った。

「当事務所の発展とは、20年30年先も、『困ったことがあったら〝そらうみ〞に相談に行こう』と地域住民に信頼され、気軽に利用してもらえる存在であり続けること。それを他の弁護士過疎地域にも広げていきたいです。本来、弁護士が介入して法的に解決されるべき問題が放置されているというのは、人権問題そのものだと思います。我々メンバーは、その共通の思いを抱きながらこの問題に取り組んできました。事件解決を通じ、目の前の依頼者の幸せを取り戻すことを、弁護士であれば日常的に経験するものです。ただ、弁護士の仕事はそれだけではなく、自分の活動で地域が変わり、あるいは社会の仕組みそのものも変えていける可能性を持っている。それを体現していきたいと思います」

  • 弁護士法人 空と海
    2016年入所の菅野弁護士は18年から奄美に赴任。鈴木弁護士の指導のもと奮闘中
  • 弁護士法人 空と海
    事務所を立ち上げる際に明文化した行動指針。「私たちは、相談者・依頼者にとって、事務所に電話すること、事務所を訪れることが、人生の一大事であることを忘れない/私たちは困っているといえない人こそ最も困っている人であることを忘れない」などを「8つの約束・8つの行動」として掲げる。弁護士過疎地と呼ばれる地域の相談者・依頼者の立場になって、その気持ちを思いやり、司法アクセスをどうしたら容易にできるかを全員で考え抜いた
  • 弁護士法人 空と海
    鈴木弁護士は奄美群島を飛び回る。新谷弁護士も月1回は支所に出向き、相談を受けたり共同受任したりとサポートする
  • 弁護士法人 空と海
  • 弁護士法人 空と海
    在間弁護士と瀧上弁護士は仮設住宅を年間50カ所ほど巡回し、相談を受ける