Vol.73-74
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前列左より、グリアーとも弁護士(ニュージーランド弁護士)、森幹晴弁護士(57期)、山田広毅弁護士(59期)、クリストファー・スチュードベーカー弁護士(米国ワシントン州/ニューヨーク州弁護士)。後列左より、岩崎大弁護士(60期)、飯島進弁護士(65期)、荒井陽二郎弁護士(67期)、岡田孝太郎弁護士(60期)、越田雄樹弁護士(72期)、関本正樹弁護士(61期)

前列左より、グリアーとも弁護士(ニュージーランド弁護士)、森幹晴弁護士(57期)、山田広毅弁護士(59期)、クリストファー・スチュードベーカー弁護士(米国ワシントン州/ニューヨーク州弁護士)。後列左より、岩崎大弁護士(60期)、飯島進弁護士(65期)、荒井陽二郎弁護士(67期)、岡田孝太郎弁護士(60期)、越田雄樹弁護士(72期)、関本正樹弁護士(61期)

STYLE OF WORK

#140

東京国際法律事務所

クロスボーダーM&A・国際紛争などをリードする“日本発”のグローバルファーム

弁護士業に新たなビジネスモデルを!

決算短信・有価証券報告書で国別セグメント情報を開示している日本企業の海外生産・海外売上高の比率はすでに5割を超え、現在も拡大傾向にある。東京国際法律事務所の設立者、森幹晴弁護士と山田広毅弁護士は、ほぼ同時期に米国留学し、世界トップクラスの米国法律事務所で経験を積んだ。その経験から「今後も日本企業の海外進出は確実に増えるが、リードカウンセルとなり得る日本人弁護士・法律事務所が不足している」という危機感を抱いたことが、同事務所設立のきっかけとなった。

「私や森が米国にいた2010年頃、世界における日本のプレゼンスが下がり始めていました。しかし、海外進出する日本企業は増加傾向にあり、企業にその意欲があるうちに“世界と伍する力”をつけないと日本経済がたちゆかなくなると思いました。そのためには日本の弁護士が、企業に対してしっかりとしたリーガルサービスを届けなければいけない。それができなければ日本の弁護士業界も先細る。当時、そうした使命感がみなぎりました」(山田弁護士)

「山田弁護士の使命感とアイデアは、同じ危機感を抱いていた私の“三歩先”を行っていました。日本企業の海外売上高比率の上昇を鑑み、アウトバウンドマーケットに弁護士人生を懸けてみたい。それは日本の弁護士業界で新たなビジネスモデルの創出につながるに違いない。彼とならば、その思いを実現できそうだ。そう確信しました」(森弁護士)

世界で戦う日本企業に、より優れた“法的武器”を提供したい。そのためには同じ志を持ち、共感してくれる同志と一から“自分たちのチーム”をつくる必要がある――意気投合した二人は19年4月、同事務所を設立した。主な取り扱い分野はクロスボーダーМ&A、国際紛争、規制・当局対応などだ。森弁護士は言う。

「昔の渉外事務所では、日本人弁護士は、外国企業のインバウンド(対日投資)案件をサポートするわけですが、リードカウンセルである本国の弁護士の指示を受けて動くローカルカウンセルというポジションにつくわけです。これに対して、今私たちがターゲットとするのは、ハイバリューなアウトバウンドマーケットです。日本の大手企業の多くが海外進出を進める際、当該国の現地法律事務所か国内の外資系法律事務所に仕事を依頼するケースが多い。しかし、リードカウンセルとなる外国人弁護士には、文化の違いなどから、日本企業特有の商習慣、ビジネス上の深い目的などを理解しきれないケースが多々ある。日本人弁護士がリードカウンセルをとれば、よりスムーズに海外への挑戦をサポートできるし、ニーズを十分に満たすことができる。ゆえに事務所の基本コンセプトとして、『日本発のグローバルファーム』を掲げました」

これまで誰も積極的に攻め込みきれていなかった分野に挑む、同事務所。しかし、法律事務所としては当然ながら“後発組”であるといえる。

「スタートアップ企業と同じ発想です。現時点で我々が最も強みを発揮できるアウトバウンド案件に注力して顧客を獲得し、インバウンド案件にも関与していく。“市場創造型のゲームチェンジャー”となっていきたい」と、山田弁護士は目を輝かせる。

東京国際法律事務所
海外との業務が多いこともあり、電話会議やリモートワークのためのITインフラ整備・オペレーションの体制構築は万全だ。所員全員の“働き方の多様性”も重視している

クライアントが寄せる期待

両弁護士は勤務時代に、「アウトバウンド案件で頼れる弁護士がいない」「海外における複雑な問題について正面から向き合ってくれる弁護士がおらず、本当に困っている」など、多くの顧客から不満の声を聞いてきた。そうした顧客にとって、同事務所は救世主となり得る。

実際、両弁護士は、メガバンクによる海外の金融サービス企業グループへの出資・業務提携・買収、海外企業買収後のPМI、大手機械メーカーによる米国企業グループの株式取得など、すでに数多くのM&A案件に関与している。また、国内企業同士のМ&Aにも多数関与。昨今は、アジアなど海外ファンドからの投資案件・インバウンド案件も増えているという。

「顧客からの大きな期待を日々感じています。М&Aであれば、顧客のビジネスニーズやリスクアペタイトなどを十分に理解し、それを踏まえて遂行可能なプランに落とし込み、現地の弁護士を動かす。あるいは私たち自身が動く。そうした戦略策定から実行まで、ディール全体を効率よくかつ効果的に回す、リードカウンセルの役割を期待されています。『私たちをこう使ってほしい』と思っていたことを、実際に求めてくれている。それが本当にうれしいですね」(山田弁護士)

「海外・国内関係なく、ビジネスおよびディールのスピードが非常に早くなり、関係する国や人といった“変数”も増えています。六法と判例を参考に質問に答え、リスクを指摘するという、“伝統的な弁護士の仕事の仕方”では、もはやクライアントが期待する問題解決はできないということです。私たち弁護士は、仕事の内容と質を、変えなくてはならない時期にきています。クロスボーダー取引の流れに乗れるスピード感しかり、顧客自身が気づいていない問題を発見し、定義づけ、どう解決すべきかを提示し、実行に移すことしかり。また、複数の国に散らばる“変数”をマネージし、リスクを排除することに加え、“ビジネスを前に進める推進力”も期待されています。そのバランスを取ることはとても難しいのですが、そこにこそ私たちの存在価値があると考えています」(森弁護士)

〝知恵の付加価値〟にタックルし続ける

同事務所では、日本人弁護士と外国人弁護士が協働する“マルチナショナルなワンチーム”で高度なソリューションを提供し続けるべく、今後も日本法の弁護士資格者に限らず人材を増やす予定だ。

一方で「グローバルアライアンス戦略」として、世界数十カ国にまたがる提携法律事務所および海外弁護士との緊密な協力関係を強化し、海外支店設置と同等の価値・サービスをクライアントに提供していく。ただし、どれほど人が増えようとも、同事務所にはメンバーの“チーム分け”という考え方は存在しない。

「チーム分け=プラクティスに特化したグループと捉えるなら、個々に得意分野はあってもいいが、限定はしないという考え方です。日本の弁護士は、コーポレート、紛争、知的財産などと、専門化が進んできました。しかし複数国にまたがる問題に対応する時、“〇〇の専門家”は、あまり解決に役立ちません。例えば海外のМ&Aなどは紛争に結びつく可能性が高いので、私たちは“М&Aも紛争も両方わかる弁護士”、つまり“統合的な視野で問題解決ができる弁護士”を必要とします。クライアントが本当に困った時に頼るのは、その弁護士の“専門分野・専門知識”ではなく、全人格的・統合的な要素になると考えるからです」(森弁護士)

そんな同事務所のバリューの一つに「チームの力を信じること」がある。森・山田両弁護士に、どのようなチームを育てていきたいのか、最後にうかがった。

「私たちがクライアントに提供すべきは、問題を発見し、現実的な解決策を提示すること。言い換えれば“知恵の付加価値の提供”です。繰り返しになりますが、それは顧客の話を聞き、真の問題がどこにあるかを発見し、それに対してリスクの指摘ではなくソリューションを提示して、ビジネスを一歩先に進める、ということ。そもそも私たちが提供できる“付加価値”には“知識・実行・知恵”の3つがあると考えます。このうち、知識と実行は、専門化・先鋭化すれば自ずと能力が磨かれます。しかし、知恵は、自分の頭をフルに使って生み出すもの。複雑に絡み合った複数の問題の解は、問題を一つ発見し、掘り下げて、一つの解を提示するだけでは解決しません。ですから私たちは、常にチームで“知恵の付加価値”にタックルするという心構えで臨んでいきたい。仮に特定の専門分野に明るいメンバーがいれば、それを“チームの知恵”に昇華させていきます。そうして互いの“熱量”を感じ、切磋琢磨し合って、チームとしてクライアントに最良の成果を提示する。そんな同志と一緒に働いていきたいですね」

※取材に際しては撮影時のみマスクを外していただきました。

Editor's Focus!

「事務所の本質的付加価値の底上げにつながる投資なので、弁護士の留学を積極的に支援する。日本企業が世界でどう戦っているかも体感してほしい」(森・山田両弁護士)。“グローバリゼーション&イノベーション”というキーワードが心に響く方には働きがいのある場所だろう

東京国際法律事務所