Vol.13
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あらた監査法人法務グループのみなさん。写真前列が大野法務グループリーダー(左)と岩崎弁護士

あらた監査法人法務グループのみなさん。写真前列が大野法務グループリーダー(左)と岩崎弁護士

THE LEGAL DEPARTMENT

#7

あらた監査法人 リスク管理・コンプライアンス室 法務グループ

倫理観の高い組織をさらに高い意識でけん引する、監査法人の法務グループ

監査法人の法務業務には、内・外に向けた2種類がある

151カ国に16万人以上のスタッフを擁する会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(以下PWC)。そのメンバーファーム「あらた監査法人」は、日本の四大監査法人の一つと称される。巨大監査法人の特殊性や、そこで行われる法務業務を法務グループリーダーの大野功氏が説明してくださった。

「監査法人の法務には『内・外』二つの業務があります。一般企業の法務と同様に法人内部の案件を処理するほかに、もう一方で外部クライアントへのサービス提供に伴う、さまざまな法務問題への対応を行うのです。クライアントサービスに伴うリスク対応は、日常的にはリスク管理グループが担当していますが、法的対応を要する可能性があるもの、リスクが高いと判断された事案について、リスク管理グループと連携して対応しています」

法務グループが担当する業務について、さらに詳しく説明していただく。

「所管業務のなかで大きなウエートを占めるものの一つが契約書レビューです。クライアントとの契約が、機密保持契約やホールドハームレスレター、覚書といった付随する契約も含めて年間約3000件あって、そのほか賃貸借契約など一般的な契約がおよそ1000件。クライアントとの契約書は基本的に日本公認会計士協会のひな型をベースとし、またアメリカの監査基準や国際会計基準に基づくサービスにはPWCの英文書式を使用します。ひな型があるといっても種類は100種類以上。クライアントの各種要望を受け和文・英文でモディファイするので仕事量は膨大です。また当監査法人の特徴に、内部からの相談案件が多いことがあります。公認会計士という職業柄から、リスクやコンプライアンスに対する意識が高く、『何かあったらまず法務やリスク管理に相談する』アクションが定着しているのですね。そのなかには人事・労務や知的財産、広報、個人情報など、いわば法律よろず相談も含まれます。またPWCのメンバーファームとして求められる高度な基準への対応もあります。マネーロンダリングや不正競争防止、贈収賄などに関する厳格な規程を作成し、内部徹底を図る役割です。さらに一般企業の株主総会にあたる社員総会や監視委員会などガバナンスの事務局機能も担っています」

あらた監査法人 リスク管理・コンプライアンス室 法務グループ
写真右・大野法務グループリーダー 左・岩崎弁護士
Integrity(誠実)・Intelligence(知性)・Innovation(革新)の三つの“In”を行動指標とする「あらた監査法人」のゲートキーパーとして、すべてのステークホルダーを見据えながら、監査やアドバイザリー業務をサポートしていきます。(大野氏談) 弁護士3名の法律事務所に所属していた時は十数億円単位の訴訟も事実上一人で担当。グループ協議で仕事を進める環境を求め転職しました。会計監査の分野は大野に教えてもらうこともありますが、自分の法律知識が生かせる場面が多く、励みになっています(岩崎弁護士談)

監査法人が法務組織にインハウスロイヤーを置く理由

そんな法務グループが2007年、弁護士を迎え入れた。その背景には、どんな事情があったのか。

「監査法人としての公共性の高さから、判断した“結果”の妥当性だけではなく、その“プロセス”における透明性も重視しています。そのため業務の各段階で、必要に応じて外部の大手法律事務所のアドバイスを仰ぎながら判断に万全を期するのですが、監査という特殊な業務において発生する事案を、外部の法律家に説明するには、独特の難しさがあります。外部法律事務所の知識や能力をフルに引き出しつつ、事案を効率的にハンドルするためには、監査法人の業務を内側から理解している弁護士が必要でした」

採用した弁護士の仕事ぶりをどう評価しているのだろうか。

「法務グループに初めて採用した岩崎は、監査法人という特殊な業務における法務問題を私と協力しながら適切にハンドリングしています。さらにほか2名のメンバーと契約関係業務や各種の法律相談も担当。その仕事ぶりを見て実に優秀だと感心しています。法的知識が豊富だということはもちろん、案件のポイントを的確につかみ、速やかに処理する。リーダーの私は、監査などのクライアントサービスも兼務しているため、留守にすることも多いのですが、法務グループがいつも和やかなのは、彼女の明るい性格や存在が大きく影響していると感じています」

その法務グループを、リーダーはこれからどう導いていくのだろうか。

「あらた監査法人が2006年に業務を開始し、わずか3年でここまでに成長した背景には『会計不祥事を二度と起こさない』という強い決意を持った運営への信頼があると思います。企業に内部統制をアドバイスする集団ですから、倫理観やコンプライアンス意識の素地はもともと高い。法務グループはこの組織にあって、より高い意識で『ゲートキーパー』の役割を果たしたいと思います。わが国で最高の品質を持った監査法人を確立し、また、サービスを依頼する企業経営者が『あらた監査法人の監査を受けている』ことをプライドに感じていただけるような、そして同時にクライアントの健全なる成長に資するバリューを提供できるように、約2000名のプロフェッショナル集団を強力にサポートしていきたいと思っています」

インハウスロイヤーの今を紹介

岩崎弁護士(59期)

法務グループ シニアアソシエイト
入所後の業務はPWCグローバルのデータプロテクションにかかわるプロジェクトに参画するなど、初めての経験ばかりでしたが、各種法律相談や契約書レビューのみならず、内規作成など法人内のコンプライアンス体制作りに携われることにやりがいを感じています。チームで仕事を進めプロジェクト全般にかかわれること、休暇や福利厚生が充実していることなどを含め、今の企業法務の仕事が私に合っていると思います。私は未知だった会計監査という世界に飛び込みました。法曹人口が増え弁護士業務も多様化するなかで、特殊分野の知識を身につけたかったからです。これからは法律知識に加えて、これと言える専門性を持つことが重要だと思っています。