Vol.33
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常にビジネスの初めから事業部門とともに汗をかく、法務室9名のメンバー

常にビジネスの初めから事業部門とともに汗をかく、法務室9名のメンバー

THE LEGAL DEPARTMENT

#37

テルモ株式会社 法務室

海外でのM&Aなどに即応できる「本社機能」を強化。人材育成とともに、専門職採用も積極化させる

現場とともにビジネスをつくる

体温計や血圧計でおなじみのテルモだが、心臓血管関連や血液システムをはじめとする高度な医療機器から栄養補助食品まで、同社が手がける事業領域は実に幅広い。

「各事業カンパニーが提案してくるビジネスモデルは千差万別で、いきおい我々の仕事も、その都度、約款のような“ひな形”を当てはめていくスタイルとは、一線を画します。ビジネスの最初の段階から現場に顔を出し、“どうすればその案件がリーガル的に問題なく進むのか”を考えながら、事業部門とともに戦略をつくり込んでいくイメージです」と、中島慎一郎法務室室長は語る。

同社もここ数年、大型の企業買収など、グローバル展開を加速させている。

「今後さらにM&Aや提携が同時進行で動くケースも増えるだろう、と想定しています。そうした状況に即応しながら、グローバル本社の法務としてグループ全体のリーガルリスクを管理できる体制強化を急ぐ必要があります。現在、欧米には地域を統括する拠点があり、彼らとの連携をさらに強化したい。他方、アジアに関してはまだ法務担当者が不在なので、我々が自らリスクを把握し、コンプライアンス体制などの整備を図っていく計画です」

そんな法務室は、現在9名の陣容。加えて、海外経験が豊富で米国の法規制や運用にも明るい担当役員で構成されている。昨年10月に、それまでのチーム制をなくし、「契約もコンプライアンスも全員が担当できる、より機能的な組織につくり替えた」そうだ。

「やはり海外関連の案件が増えており、またM&Aなどにはそれなりの専門知識が必要になる。中途採用を含め、人員強化を図っています」

テルモ株式会社 法務部
チーム制を廃し、誰もが様々な案件に対応できる組織に改組。ベテランと若手が組むことで「教育的効果」も

“法務の役割”の理解が大事

テルモ株式会社 法務部
「事業部門にも法務の重要性が認知されてきた」と語る須藤課長

「法務の資産は“人”のみ。どう厚みを増して事業の成長に貢献していけるかが一番の課題です」と、中島氏は強調する。人員補充とともに、メンバー個々のレベルアップが不可欠なことはいうまでもない。

「主としてベテランと組んで仕事をすることによるOJTや、外部セミナーで研修をフォローしています。またグローバル案件に対応できる人材を育てる意味で、海外子会社への短期の法務実務研修を企画しているところです」。

ところで現在、同社法務部には2名の法科大学院修了者が在籍している。

「実際、一緒に仕事をしてみると、やはり専門知識や法的思考力のレベルが高い。改めて、法科大学院でしっかり学んだ人は即戦力になり得る、と実感しています。企業法務にとって“人材の有力な選択肢のひとつ”といえるかもしれません」

最後に、法曹あるいはインハウスロイヤーを志す人たちへのメッセージを尋ねると、「私は外部弁護士と企業法務の違いは、あくまで役割の差だと考えています」という答えが返ってきた。

「前者は法律解釈の正確なアドバイス、豊富な経験に裏打ちされた実践的なアイデアの提供が任務。後者はそうした意見も参考にして、会社に合った解決策を立案し、実行するのが仕事。法的側面だけではなく、ビジネスとしてのリスクとメリットを理解したうえで、ものごとを前に進める実行力が求められるのです。企業法務の専門性とは、専門家を使いこなす能力といえるかもしれません。そうした役割の違いをきちんと理解して、どちらが自分に向いているのか、考えるといいですね」

中島氏の片腕である須藤龍也課長は「企業の中では、経営判断に必要な法的提言を行います。採用された時の達成感は、何ものにも代えがたいですよ」と、インハウスのやりがいを“補足”してくれた。

ちなみに「弁護士資格者を採用しても、ずっと法務の仕事を継続するかどうかは、本人の希望と資質次第」(中島氏)という。

「海外では弁護士資格を持った経営者が珍しくありません。法律の専門家という強みを持った社会人として、企業の経営陣を目指してみるのも面白いと思います」

  • テルモ株式会社 法務部
    成分採血システム(2)や、脳動脈瘤治療用コイル、薬剤溶出型冠動脈ステント(3)など、高度な医療機器を取り扱う
  • テルモ株式会社 法務部
    (2)成分採血システム
  • テルモ株式会社 法務部
    (3)薬剤溶出型冠動脈ステント