Vol.43
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法務担当は、経営管理本部 総務部に所属。東京本社に大友潤弁護士(写真右)、栃木本社に池上英夫氏(主任/写真左)という2名体制で全社をカバー

法務担当は、経営管理本部 総務部に所属。東京本社に大友潤弁護士(写真右)、栃木本社に池上英夫氏(主任/写真左)という2名体制で全社をカバー

THE LEGAL DEPARTMENT

#50

株式会社TKC 経営管理本部

会計事務所と地方公共団体に専門特化。ICTサービスの提供を迅速に行うべく、法的側面から業務遂行を支援する

比重の高い契約審査を迅速に

1966年の創業以来、会計事務所とその関与先企業、および地方公共団体に専門特化したICTサービスを提供し続けている株式会社TKC。税法・会社法・民法・行政法などの法律と深くかかわりながら、1万名を超える税理士・公認会計士(組織化/「TKC全国会」)と、地方公務員の業務遂行を支援する。また、判例検索を含む法律情報データベースを法科大学院などに提供しているので、社名に馴染みが深い方も多いだろう。同社事業所は、システム開発研究所、データセンター、営業所などで、全国100カ所近くに設置されている。そのすべての法務を担当するのが、経営管理本部 総務部 法務担当課長の大友潤弁護士と、主任・池上英夫氏の2名だ。役割を大きく分ければ、営業拠点がある東京本社にて大友弁護士が法務全体を統括し、地方公共団体事業部とシステム開発研究所がある栃木本社にて、同事業部の専任かつ総務と重なる労務管理面を、池上氏が担当するという具合だ。

二人は法務担当が新設された2008年より、試行錯誤しながら、この体制を整えてきた。

「弊社でメインとなるシステムは、税務申告をするにあたっての会計システムや、法人税申告関連システム、企業内での利用となる様々な財務会計システム、そして自治体の基幹系システム(住民基本台帳・選挙・税務情報など)です。法務担当ができる前は契約に関する業務を総務部が行っており、営業部などから届く連絡につど対応していたので、大変だったろうと思います。法務業務で最も比重を占めるのが契約審査ですが、我々はまず〝契約審査におけるルール構築〞に着手しました。社員数も事業所数も、当然、契約数も多いので、迅速かつ確実に案件処理を遂行するためです。審査申請をメールに統一すること、〝審査依頼シート〞記入を徹底すること、それを元に我々が法的リスクを段階的に評価して、承認申請手続を踏むことと、ごく基本的な流れをつくりました」と、大友弁護士は語る。また、「新たなシステムが開発されるたび、取締役会の承認を得て〝標準契約書〞というものが作成されます。その際にも、法的側面からのアドバイスを行う」ということだ。

同社が提供するシステムやアプリケーションソフトは、基本的に〝ノンカスタマイズ〞。そのため、開発時のトラブルはほとんど発生しない。その代わり、利用をめぐるトラブルについては様々なものが想定されるため、契約前の審査(審査・調査・検討)を徹底することが、法務の重要な役割となっている。

株式会社TKC 経営管理本部
案件により、共同で調査・検討・協議を行うことも。通常は、電話で情報共有を緊密に行う

業務を俯瞰し、予防法務に努める

法務担当の、会社にとっての存在意義を尋ねたところ、「それはやはり予防法務」と、大友弁護士。

「全社の業務におけるリスクの予見可能性や回避可能性について、我々は常にそこを見ながら実務にあたります。まずは社内の様々な業務に精通し、それらに基づいて、より適時的に、迅速に物事の解決にあたることが務めです」

「弊社では、ある目標ができると、それに向かって全員が突っ走るという傾向があります(笑)。もちろんそれはよいことですが、時として主観的な判断になってしまう場合も。ですから法務としては、外部との関係においては100%会社側に立ち、社内に向けては全体を俯瞰するイメージで見ることが役割と考えます。会社がどういう方向に進み、その先にどんなリスクがあり得るのかを、まさに予見するということです」と、池上氏も言う。

法務担当には、契約審査や商標・特許の出願(特許事務所との連携)、株主総会の準備等以外にも、大事な職務がある。それが「社員を対象とした研修の実施」だ。「例えば、地方公共団体事業部の営業職の新人向けに、契約書や著作権の基礎知識、自治体との契約に用いられている標準契約書の説明会など、2日ほどにわたってみっちり行う研修を実施しています」と、大友弁護士。社是を「自利利他」とする同社ならでは、〝お客さまのため〞のサービスについて、法務担当業務の枠を拡げて、寄与している。

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    創業者・飯塚毅氏がドイツDATEV社を訪問。「情報通信技術で税理士の発展を支援する」の経営哲学を同じくすることから業務提携開始。簿記システム開発、ICTの技術的課題克服など、経営戦略を開示し合い、協力関係を継続