弁護士の肖像:2012年5月号 Vol.27

弁護士の肖像

アトーニーズマガジン 弁護士の肖像

日本のリーガルサービスを牽引する、著名な弁護士の素顔や仕事観・人生観をご紹介。

※掲載記事の内容は取材当時のものです。

Human History

弁護士の肖像

西村あさひ法律事務所
 代表パートナー
 松嶋英機

ゴーイングマイウェイ。夢多く、自由奔放にすごした青春の日々

40年以上にわたり企業の再建・整理に携わってきた松嶋英機は、その道の第一人者として高名である。日本最大規模の「西村あさひ法律事務所」の代表パートナーであり、他方、事業再生実務家協会をはじめとする数々の公的機関や委員会においても、要職に就く。が、それら肩書が醸し出すイメージに反して、松嶋はいたって気取りがない。「どこか事大主義に思えて、弁護士バッジはほとんどつけない」という具合で、実に直截的だ。人の信頼は絶対に裏切らず、人の期待には必ず応える。信念はこの一点。それが、今日の地位と評価を築いた。熊本県出身の松嶋は、まさに〝肥後もっこす〞らしく、我が道を突き進んできたのである。 球磨川の河口に近い村で生まれて、大学で東京に出てくるまではずっと熊本です。小・中・高と、違う行政区域の学校に通っていたので、それぞれにたくさんの友人がいるんですよ。よく遊んだし、昔から僕は、好きなことを好きにやってきた。優等生だったのは中学校までで、熊本高校に入ってからは、進学校にもかかわらず、ほとんど学校の勉強はしていませんでした。思い返せば、以降の学生生活はずっとそんな感じで、気ままなもの(笑)。 中学生から始めた剣道は、高校1年の時に県大会で3位になったのを機に辞めて、やりたかった山登りに熱中。突然学校を休んで、阿蘇の原野に出かけていったりしたものです。子供の頃からチベットに魅せられて、もともとは探検家になりたかったぐらいですから。あの神秘の国。これまで何度か旅をしましたが、今でもチベットは、僕にとって最大の〝趣味〞です。 そんな僕に、強い影響を与えたのが、高校2年の時に下宿していた先で出会った男性。下宿を営むお婆さんの孫で、この頃、仕事で派遣されていたブラジルから帰国したばかりでした。彼と毎晩のようにする貿易の話が面白くてね。世界地図を広げて、ここでは鉄が採れる、石油が採れるなんて教えてもらいながら……。将来は経済学部に進んで、貿易の仕事に就こうと思うほど感化されました。それに、世界を股にかけるような壮大な話をしていると、じっと机に向かうのがバカバカしく思えて、全然勉強しなくなった。ある日、勉強机の電気スタンドにクモの巣が張っているのを見つけた時は、我ながら呆れました(笑)。 一方で、松嶋は多読家でもあり、高校時代にとりわけ凝ったのは太宰治。3年生で下宿先を移って環境が変わったことも加わって、この頃は小説家になろうと考えていた。自ずと、大学は文学部志望へと様変わりするが、ここで、父親と対立。当時、松嶋の父親は八代市で建設会社を経営しており、松嶋に別の道を諭していた。「お前は弁護士になったらどうだ」。 兄貴が2人いて、ともに一級建築士ですから後継ぎの問題ではなく、「三文文士になっても飯は食っていけないぞ」というわけです。そして、もう建築士はいらないからと、親父から出てきた職業が弁護士。それでも僕は文学部に行きたくて、兄貴たちに相談したら、長兄が「金を出すのは親父だろ。ひとまずいうことを聞いておけ」と。まぁもっともな話なので、結局、中央大学の法学部に進学したわけです。 でも心中では、弁護士を目指すつもりは全然なく、あわよくば、在学中に小説家デビューしようと考えていたんですけどね。今度はサルトルに凝り、友人と酒を酌み交わし、マージャンをやり……。いずれにしても、勤勉な学生ではなかった。通学には中央線を使っていたんですけど、朝のラッシュが凄まじいでしょ。田舎では、そんな電車に乗ったこともないから耐えられなくて、少なくとも、1時間目は行かないと決めていました(笑)。 だから、出欠を取る授業は単位ギリギリ。およそ成績優秀とはいえず、僕はほとんど「可」ですよ。で、卒業試験の後、発表を見に行ったら僕の名前がない。なぜ落ちたかというと、必須科目である民事訴訟法の教授の顔を間違えてしまったんです。あまり学校に行ってないから。友達につられて、違う教授の民事訴訟法の試験を受けていたという話(笑)。本来の試験は受けてないんですから、そっちは0点。卒業者名簿に名前がないのは当然です。それでも、ヤマが当たって答案には自信があったので、学務課に頼みに行ったんですよ。「問題は違うけれど、いい答案を書いているから見てください」って(笑)。教授には手紙を出し、結果、追試の機会をもらって、みんなから1カ月遅れの4月末に、僕は卒業証書を手にしたというわけです。

入所した法律事務所で関与した倒産事件が、行く道を決定づける

松嶋が司法試験に向けて受験勉強を始めたのは、4年生になってからである。友人たちが就職活動に勤しむなか、さすがに「俺も何とかしなきゃ」と腰を上げた。小説家になる夢は断ち、未練が残らないよう、積んであった本は古本屋に引き取ってもらい環境を切り替えた。経営者を親に持つ子供の多くがそうであるように、松嶋もまた、会社勤めをする気はまったくなかったという。この段階では、あくまでも〝職に就く〞ために臨んだ受験勉強だった。...(以下略) 続きをご覧になりたい方は、バックナンバーをお取り寄せ下さい。すでに在庫がない号もありますので、予めご了承下さい。

■プロフィール

  • 松嶋 英機 まつしま・ひでき
  • 西村あさひ法律事務所
  • 代表パートナー
  • 東京弁護士会(1971 年登録)23 期
  • 1943年4月19日 熊本県八代市生まれ
  • 1966年3月 中央大学法学部卒業
  • 1968年9月 司法試験合格
  • 1971年4月 司法修習修了、弁護士登録(東京弁護士会・23期)
  • 清水直法律事務所入所
  • 1976年3月 松嶋法律事務所(後の、ときわ総合法律事務所)開設
  • 1991年4月 東京弁護士会法律研究部 倒産法部会部長
  • 1997年4月 日本弁護士連合会 倒産法改正問題検討委員会委員
  • 2003年4月 事業再生実務家協会代表理事
  • 2004年1月 事務所合併(旧・西村ときわ法律事務所)
  • 2007年7月 事務所合併(現・西村あさひ法律事務所)
  • 2008年12月 金融庁金融機能強化審査会委員(現会長)
  • 2012年3月 株式会社東日本大震災 事業者再生支援機構社外取締役
  • ■主な編著書
  • 『良い倒産悪い倒産』(講談社)、『注釈民事再生法(上)』(共著・金融財政事情研究会)、『企業倒産・事業再生の上手な対処法全訂二版』(共著・民事法研究会)、『条解 民事再生法 第二版』(共著・弘文堂)、『民事再生法入門改定第3版』(商事法務)、『企業倒産・事業再生の上手な対処法 全訂二版』(共編著・民事法研究会)、『新しい時代の民事司法』(共著・商事法務)、『倒産法改正展望』(共著・商事法務)ほか多数。
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