Vol.86
HOME事務所探訪弁護士法人 若井綜合法律事務所
  • ▼弁護士のブランディング支援サービス

    Business Lawyer's Marketing Service
  • ▼弁護士向け求人検索サービス

    想いを仕事にかえていく 弁護士転職.JP
  • ▼弁護士のキャリア形成支援サービス

    弁護士キャリアコンシェルジュ
  • 当社サービス・ビジネス全般に関するお問い合わせ

前列左から、鳴海裕子弁護士(67期)、小師健志弁護士(69期)、若井 亮弁護士(65期)、澤田剛司弁護士(69期)、小菅哲宏弁護士(70期)。後列左から、長谷川達紀弁護士(69期)、松本佳朗弁護士(70期)、古市英志弁護士(74期)、中澤克彦弁護士(72期)、近藤健介弁護士(73期)、松平和茂弁護士(67期)、内原祥里弁護士(74期)。(写真提供/若井綜合法律事務所)

前列左から、鳴海裕子弁護士(67期)、小師健志弁護士(69期)、若井 亮弁護士(65期)、澤田剛司弁護士(69期)、小菅哲宏弁護士(70期)。後列左から、長谷川達紀弁護士(69期)、松本佳朗弁護士(70期)、古市英志弁護士(74期)、中澤克彦弁護士(72期)、近藤健介弁護士(73期)、松平和茂弁護士(67期)、内原祥里弁護士(74期)。(写真提供/若井綜合法律事務所)

STYLE OF WORK

#177

弁護士法人若井綜合法律事務所

柔軟な発想と対応力で“未踏の地”を開拓しつつ、各人の自主自立をサポート

依頼者のニーズに全力で応える

大手企業の営業職から弁護士を目指し、司法試験勉強中の体力づくりで始めたボクシングではプロテストも受けた――そんなユニークな経歴を持つ若井亮弁護士。都内法律事務所で実務を学んだ後、2019年に若井綜合法律事務所を開業した。若井弁護士に事務所の特徴をうかがった。

「一般民事案件のなかでも、DV、金銭トラブル、ストーカー被害といった男女トラブル、不当要求・クレーム対策が特に多いです。事務所の土台づくりのため、個人クライアントにフォーカス。さらにターゲットを絞り込み、詐欺被害金の返金、繁華街でのトラブル、ホストクラブの売掛金整理といったサービスも開発しました。実績がない事務所なので、まず“依頼してもらえるお客さまを探して、斬りこむ”ことからスタートせざるをえなかったのです。そうした類型をベースに、不貞慰謝料請求・被請求の事案、離婚、刑事事件、相続、不動産トラブル、インターネット上でのトラブル、債権回収と、幅広く展開し、毎月約1500件の新規ご相談があります」

これまで取り扱ってきた案件の一例を若井弁護士が教えてくれた。

「詐欺被害金返金について、警察に被害相談しても対応してもらえず、証拠がないことを理由にほかの事務所では依頼を受けてもらえなかったという相談者がいました。相談者の話を聞くなかで、プロによる組織的犯行ではなく、回収可能性もゼロではないと判断して受任。身元の特定と証拠の収集をすべく、相手を喫茶店に呼び出してもらい、隣席で待機。依頼者にチャットツールで指示を送りながら、詐欺の全容について録音・録画をして証拠を収集し、収集が完了した段階で隣席より介入、身分証明書の提示と返金を求めて全額回収しました。そのように『証拠がないから無理』と簡単に諦めず、少しでも可能性のある案件においては『証拠がないならこれから見つける』『客観的な証拠を一丸となって集めていく』というスタンスで業務に臨んでいます」

反社会的勢力からの恐喝案件では、警視庁の組織犯罪対策課と連携しつつ、依頼者による恐喝の証拠収集を支援。結果、暴対法上の中止命令に結び付けて相手方との関係遮断に成功した。相手方の属性によっては“警察をいかに動かすか”が重要で、同事務所にはその知見がある。ほかに、ネット上で知り合った相手方(18歳未満)の親族を名乗る人物から身の危険を感じるほどの嫌がらせを受け、和解金を恐喝されているという依頼者に対応したこともある。

「まず、依頼者の身の安全を守るべく所轄の警察と協力し、相手方の行為について刑事事件化。代理人として相手方の要求をブロックしました。一方、依頼者の行為も条例に触れるものだったので、依頼者自身の刑事事件の弁護も行いました。そのように我々は現場に出向き、相手方と対峙するケースが多々あります。心身の負担は大きいものの“依頼者のニーズに最も応えられる手段を選択する”といった思いが原動力。知恵を絞り、工夫をこらして、粘り強く、結果を出す。そして新しい情報を取り入れ、自らの業務を客観的に分析し、さらなる価値を生み出す――それらを可能にする“固定観念にとらわれない柔軟性”を、所員全員が常に意識しています」

  • 同事務所が対応するトラブルや不当要求への対応などは「すぐに安心したい。早急に対応してほしい」という案件が多い。そのために24時間相談可能とした。「ですが、相談はコールセンターに集積され、そこから緊急度に応じて順次対応しますので、決して無理な働き方とはなりません。それぞれ自分の時間を十分に確保できています。何よりも自己裁量で仕事を進められるので、弁護士の負担感はほぼないのです」(古市弁護士)

裁量を幅広く持たせる

「弁護士と事務局の一人ひとりが“柔軟性”を有することが、当事務所の風土であり強みです」と、若井弁護士。同事務所では、弁護士がその“柔軟性”を持ち続けられるよう、個人の裁量を広く認めている。例えば、新規の問い合わせから終件までを、受任を決めた一人の弁護士が受け持つ。基本的に途中交代もしない。つまり、依頼者に「業務を通じてどのような価値を提供し、その結果どのような対価をいただくか」は、担当した弁護士が決定する。入所2年目の古市英志弁護士は、事務所の風土について次のように語る。

「入所1年目の時に、恐喝的側面のある不当要求案件を担当しました。反社組織に属する相手方でしたが、毅然とした態度を崩さず、相手の土俵に乗らずに法律的観点から問題を整理し、裁判ではなく交渉で好結果を残せました。難しい属性の相手方への接し方や心構えなどは、周りの先輩弁護士を見て、自然と学んできました。とはいえ、いきなり一人で対応することはなく、入所から約半年間はパートナー弁護士と協働できますし、新人弁護士の教育担当である小師健志弁護士は、『今の電話対応なら大丈夫だ』とか、『気分転換に散歩してきては』など細やかな声かけもしてくれます。所内がアットホームな雰囲気なので、厳しい状況でも心が折れることなく、前に進むことができています」

「風通しが良く、弁護士の関係性はフラットで、一体感のあることが我々の自慢です。代表やパートナー弁護士は、弁護士一人ひとりの日常的な業務に目配りしますし案件の進捗情報などを共有しているグループウェア上でも、所属弁護士同士が気軽に相談し合い、自分の担当以外の案件について頻繁に、ほかの弁護士にアドバイスをしています。いつでもすぐに相談できる環境を整えることと、案件を担当する弁護士の負担が過大にならないよう、最大限の配慮をしています」と、小師弁護士。

なお、同事務所での案件の割り振りは、本人の意思を尊重。Webサイト経由で集まる新規の相談を全員で共有し、「やってみたい」と手を挙げた弁護士に優先的に任せる。新たなサービスが立ち上がった際は、企画や準備にかかわった弁護士に集客も担当してもらい、優先的に当該案件を割り振る、報酬のインセンティブ料率を高めるなどして、処遇に反映させる。

「本人の意思を尊重する一方で、若いうちは取り扱い分野に偏りがでないよう、私やパートナー弁護士が注視しつつ案件を割り振ります。当事務所では1、2年目で将来ビジョンを描き、3年目からはそのビジョンに従って注力分野や“仕事のスタイル”を見つけて実践し、5年目頃から独立か転職か、事務所でパートナーになるか――といったキャリアを考えてもらっています。いずれのタイミングでも、その弁護士の“やってみたい”という思いと、自主自立の精神をサポートし続けたいと思っています」(若井弁護士)

「入所間もない頃、若井弁護士の誘いで平日に富士登山をしました。仕事・プライベートでトップ自ら若手との距離を縮めようとしてくれる姿勢がうれしいですね!」(古市弁護士)

弁護士の幸福度を追求していきたい

同事務所は現在、東京の池袋と新橋の2拠点に、12名の弁護士を擁する。若井弁護士は「今、所属している弁護士の幸福度がどうしたら高まるか」を常に考えていると語る。

「キャリアのイメージは弁護士一人ひとり異なるので、『それぞれの自己実現のために事務所を利用してください』が、事務所の基本的なスタンスです。その過程で、弁護士個人と事務所双方で、Win-Winの関係を築いていけたらいいですね。当事務所でパートナーになりたいと言ってくれる弁護士のために、モチベーション維持やポジション確保の目的もあって、関東以外の新拠点を増やす計画です。また、現在は個人の依頼者が中心となっていますが、当事務所が得意とする“相手方の属性に難のある類型”への対応実績を基に、法人クライアントにおける不当要求への対応、経営者の個人的事件の弁護や不当なクレームへの対応など、法人分野の割合を増やしていきます。そのように、新しい案件・分野・エリアにどんどん挑戦しつつ、所属メンバーそれぞれの満足度を高めるには何が必要か、そのために事務所はどうあるべきか、考え続けることが私の使命だと思っています」(若井弁護士)

相談者・依頼者のニーズが多様化していくなか、クライアントが求める価値を提供し、支持を得るには、法的知識だけでは足りない。若井弁護士は、「一人の人間として多様な価値の存在を理解すること、新しい領域に踏み込んでいく勇気を持つこと――そのために柔軟性を持ち続けること。これが“私たち所員全員が守るべき姿勢”と認識しています」と、締めくくった。

Editor's Focus!

日頃から、飲み会などアンオフィシャルなコミュニケーションの機会が多い同事務所。「超絶フラットな関係で、役職や、弁護士・事務局の区別なく全員が意見を言い、その意見を尊重する風土です。売り上げは全公開、経費や案件進捗も共有し、その関係性を維持しています」(若井弁護士)