Vol.22
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PIONEERS

インハウスロイヤーの可能性を、企業と後進に発信し続ける先駆者

本間 正浩

株式会社新生銀行 法務部長
弁護士/東京弁護士会所属(41期)

#22

新時代のWork Front 開拓者たち

法律事務所勤務10年を経て選んだインハウスロイヤーの道

「インハウスロイヤーになる以前は、英国留学を挟んで、二つの法律事務所に勤務しました。M&Aや各種契約、訴訟までの企業法務全般を経験。二つ目の事務所で、ボスから『パートナーにならないか』と言われ、ふと気付いたらキャリア10年になっていました。パートナー、あるいは独立という道も検討しましたが、一足先にGEの子会社に入社した同期の友人から、『GEが買収した企業で、法務部を立ち上げる人材を探している』と紹介され、1999年、GEエジソン生命保険に入社。ジェネラル・カウンセルとなりました。このとき、まだ日本にはインハウスロイヤーは数えるほどだったと思います。新たな道に進むことを決意したのは、面接の過程において、インハウスロイヤーの意義を力説され、感じるものがあったからです。それは、『法務リスク/オポチュニティー(機会)を積極的に発見していくこと』だけでなく、『どのように対応するべきかの判断を行い、リスクの回避/オポチュニティーの利用という結果を出さなければならない』ということでした」

金融業界のインハウスロイヤーで〝買う側・買われる側〞を体験

「その言葉通り、コンプライアンスの立ち上げや、法務リスクにかかわる判断など重要な業務を担当し、責任の重圧を感じながらもやりがいを感じていましたが、GEの戦略転換でAIGに売却されることになりました。後始末をすませて買収の1年後に退職。短期間でしたがオリックス勤務を経て、デルに移籍し、日本と韓国を統轄するチーフ・カウンセルとなりました。全世界的に事業を展開する同社では、インハウスロイヤーの役割にGEと共通する点が多いと感じました。しばらくして、GEから再度オファーがあり、消費者向けの金融事業を展開するGEコンシューマー・ファイナンスに戻りました。しかし、会社は新生銀行に売却されることになり、その後、私はグループ内異動で現職に就いています。所属した企業が2度も買収される、めずらしい体験をしましたが、GEでは金融機関の買収も担当したので、買収/被買収双方の立場を経験し、その都度、統合作業の中枢にあり、特に、新しい環境の中で法務機能の体制構築を行いました」

企業内弁護士の働き方、可能性をさらに精力的に発信していく

「私のキャリアで、一番のターニングポイントはGEエジソン生命保険への入社だったと思います。企業の意思決定に参加し、その結果を目の当たりにできる〝インハウスロイヤーの醍醐味(だいごみ)〞を味わいました。新生銀行においては、まだ入行半年なので、行内における法務部の位置付け、あるべき機能も含めて全てがこれからですが、当行には新しいものを受け入れる企業風土があり、優れた法務機能の構築が可能だと感じています。実務の大半は部員に任せており、私が担当する業務はその中で部下が迷うような場合の判断とか、困難に直面している場合に、仕事の進め方の方向性を指導し、また、そのための社内調整を行うといったマネジメント関係の業務が大半を占めています。ときには重要な法務リスクに対応するために、法務部主導でプロジェクトを立ち上げ、私がプロジェクト・マネジメントを行うこともあります。私個人の活動としては、インハウスロイヤーの多様な働き方と可能性を、弁護士社会内外に向けて積極的に発信していきたいと考えています。この関係で日本組織内弁護士会(JILA)の理事を仰せ付かっているほか、日弁連の委員会で企業内弁護士関係の座長を務めております。

インハウスロイヤーを目指す方にアドバイスしたいのは、逆説的な言い方ですが、最初のうちは『インハウスロイヤー』に対するイメージを過度に狭く考えないこと。与えられた仕事を受け入れ、むしろ法律事務所では体験できない、仕事の多様性・幅広さを楽しんでください。特に、『企業に入ればその業種にかかわる法分野の専門家になれる』という考えに過度にこだわるのは禁物です。『専門家』になるためには、自覚的な独自の努力と研さんが必要です。また、弁護士資格があるというだけでなく、司法修習などの独自の経験をどのように生かすかを考える必要があります。また、企業には長期的な人事上の柔軟性という課題もあり、一つの専門法領域専任で弁護士を雇用する企業は少数です。一つの専門分野だけをやることができると思っていると失望します。現実のところ、日本において『これがインハウスロイヤーだ』という理念形は存在しません。それはこれからみんなで作り上げていくものです。それを前提としつつ、私に関する限り、インハウスロイヤーの醍醐味は、単なるアドバイザーではなく、企業を動かしていく要素となっていくことだと思っています。そのためには、社内調整や説得、業務のロジスティクスはその本質的な仕事です。

現状、企業の意思決定にかかわるようなシニアなポジションには、長期にわたる法律事務所経験者が多く、この数年で急速に増加している若手インハウスロイヤーたちとの間に大きなギャップがあります。まだそのような人たちがシニアなポジションに就くほどの経験を積んでいないことが大きな要因ですが、そのギャップをどのように埋め、キャリア・パスを作っていくか、このあたりが大きな課題だと思います」