同グループにおける法務部の主な役割を、山崎氏に聞いた。
「当グループの事業を支えるため、私たちは4つの法務機能を担っています。1つ目は、業法・コンプライアンス対応。具体的には、風営法や業界団体の自主規制への対応、各種法令の順守体制の整備です。2つ目は、契約・事業法務。遊技機開発や人気IPとのコラボレーション機種の版権利用に関する契約スキームの構築、契約作成・審査、および新規事業や海外事業の法的サポートと法務相談対応。3つ目は、反社チェック、腐敗防止、内部通報制度の運用などに関するリスク管理体制の構築と運用。4つ目は紛争対応で、紛争・訴訟などのトラブル解決や債権回収などの支援となります」
こうした法務機能をベースに、近年は 「コンプライアンス体制強化プロジェクト」の推進に力を入れているという。
「特定商取引法、個人情報保護法、景品表示法、食品表示法など、消費者向け事業にかかわる法令への対応状況を事業横断で総点検し、社内体制の整備と強化を進めています。特に、コーヒー事業などのBtoC領域が拡大するなかで、規程・運用の整備から法令対応状況を継続的に点検するモニタリングの仕組みづくりまで、“攻めの事業展開”を支える“守りの基盤”を再構築しているところです」
併せて、「法務業務改善プロジェクト」も強化中だ。契約の受付管理からレビュー、締結・管理まで、業務プロセスの各ステップを対象に、リーガルテックや生成AIの導入と活用を進めている。これらの取り組みは、26年1月に法務部長に就任した山崎氏が主導している。山崎氏はそれまで、ゲーム、電機、半導体、ITなど多様な業界で企業法務に従事し、法務・知財部門の責任者やCLOを務めながら、グローバル法務、知財戦略、コーポレートガバナンスなど幅広い領域を経験してきた人物。そんな山崎氏が、最初のキャリアから現在に至るまで、変わらず持ち続けている信念がある。
「『事業の合法性・合理性を確保したうえで、ビジネスソリューションを提供し、企業価値の最大化に貢献する』ことです。いわゆる“アクセルとブレーキ”をうまく利かせ、事業に伴走していく法務であることを私個人の信念としつつ、それを法務部のミッションとしてメンバーに共有しています」
そのミッションを実行していく際のキーワードは、“フロントローディング”だと山崎氏は言う。
「特に当グループの場合は経営陣との距離が非常に近く、意思決定のスピード感と大胆な判断が、事業推進の要となっています。だからこそ法務部も、意思決定のスピードに遅れることなく、タイムリーに価値を提供できることを期待されています。こうした共通認識のもと、“前のめり”に事業の企画・開発の初期段階から関与し、法的NGによる手戻りを防ぎ、経営陣をはじめとする当グループの各事業部門・各事業会社の事業推進を支えています」
こうした考え方のもと、同部には“柔らかい段階”の相談が数多く寄せられる。そうした相談が寄せられた際に同部のメンバーは、まずは“壁打ち”の相手となり、論点を整理する“交通整理役”を務める。一人ひとりが“ビジネスを創り上げる当事者”の意識を持って、開発・営業・管理部門とワンチームになって、事業目標の達成を支えていく。「単なる管理部門ではなく、“事業成長を牽引する組織”でありたい」。それが同部の目指す法務組織の姿だ。