WEB限定記事

HOME法務最前線株式会社大都技研
  • ▼弁護士のブランディング支援サービス

    Business Lawyer's Marketing Service
  • ▼弁護士向け求人検索サービス

    想いを仕事にかえていく 弁護士転職.JP
  • 当社サービス・ビジネス全般に関するお問い合わせ

法務部に所属するメンバー8名のうち、4名がキャリア入社者。グループの経営管理を担う株式会社大都エンターテインメントに出向し、グループ各社の法務に携わる。写真のキャラクターも自社オリジナルIP(知的財産)の一つであり、多彩な事業展開を支える重要な経営資産となっている

法務部に所属するメンバー8名のうち、4名がキャリア入社者。グループの経営管理を担う株式会社大都エンターテインメントに出向し、グループ各社の法務に携わる。写真のキャラクターも自社オリジナルIP(知的財産)の一つであり、多彩な事業展開を支える重要な経営資産となっている

THE LEGAL DEPARTMENT

WEB#1

株式会社大都技研 管理部

多角化するグループの事業を支えながら、果敢に組織変革へ挑む“自走型”法務

異業種参入で海外事業も加速

大都エンターテインメントグループは、ぱちんこ・スロットなどの遊技機事業、スペシャルティコーヒーを取り扱う飲食事業、コーヒー豆を生産する農園開発を行う海外事業の3領域で事業を展開している。大都エンターテインメントの管理本部法務部に所属するメンバーは、それらの事業領域を横断するかたちでグループ各社の法務業務に携わっている。

管理本部法務部長の山崎聡士氏は、「多様な事業の法務に関与できることが、当部の特徴です」と語る。主軸となる遊技機事業には、事業の特性上、遊技機の“出玉性能”や広告宣伝に関する規制、業界団体の自主規制などが重層的に課されている。

「遊技機事業の法務では、法令の条文だけでなく、『不正や射幸心を煽らない』といったような業界団体の自主規制や、行政運用も踏まえた判断が求められます。『適法であればよい』ではなく、『社会通念に照らしてどうか』『遊技機のファンの信頼を裏切るものではないか』といった判断軸も不可欠。遊技機業界はどうしても、ひとたび不祥事が起きると『やっぱりな』と思われがちです。“社会的な目”が厳しい業界であるからこそ、自分たちの行動を常に律する姿勢が大切となります。また、厳しい規制を順守しながら競合との優位性を確立する前例のないスキームを構築するためには、私たち自身も柔軟な思考で対応していかなければなりません。ニッチな業界特有の高い専門性に加え、法令や自主規制、社会的な受容性など、多角的な視点で最適な判断を導く力を養える環境といえます」

一方、飲食事業は、2016年に参入した新規事業だ。一般にコーヒー業界では“水平分業”が主流とされるが、同グループは遊技機事業で培った、垂直統合的な一貫管理体制のノウハウを生かし、海外での農園開発から焙煎、抽出機器の開発、カフェ運営、商品の製造・販売までを自社で手がける独自のビジネスモデルを構築している。

「もちろん法務部も、海外農園の開発、食品・店舗関連の規制対応、マシン開発に伴う契約、ブランドのグローバル展開支援など、このバリューチェーン全体に関与しています。当社にとって初めて本格的に取り組むBtoC事業でもあり、国内のみならず海外での店舗展開も見据えているため、グローバル・コンプライアンスも含めた新たな法的知見を蓄積していく必要がある。例えば、国内独自の風営法という業法対応から、農園開発を含むグローバルなコーヒー事業支援まで、一つの法務部でこれほど広範な領域を経験できる環境は希少であり、当部で働く大きな魅力だと思います」

フロントローディングで事業成長を支える

同グループにおける法務部の主な役割を、山崎氏に聞いた。

「当グループの事業を支えるため、私たちは4つの法務機能を担っています。1つ目は、業法・コンプライアンス対応。具体的には、風営法や業界団体の自主規制への対応、各種法令の順守体制の整備です。2つ目は、契約・事業法務。遊技機開発や人気IPとのコラボレーション機種の版権利用に関する契約スキームの構築、契約作成・審査、および新規事業や海外事業の法的サポートと法務相談対応。3つ目は、反社チェック、腐敗防止、内部通報制度の運用などに関するリスク管理体制の構築と運用。4つ目は紛争対応で、紛争・訴訟などのトラブル解決や債権回収などの支援となります」

こうした法務機能をベースに、近年は 「コンプライアンス体制強化プロジェクト」の推進に力を入れているという。

「特定商取引法、個人情報保護法、景品表示法、食品表示法など、消費者向け事業にかかわる法令への対応状況を事業横断で総点検し、社内体制の整備と強化を進めています。特に、コーヒー事業などのBtoC領域が拡大するなかで、規程・運用の整備から法令対応状況を継続的に点検するモニタリングの仕組みづくりまで、“攻めの事業展開”を支える“守りの基盤”を再構築しているところです」

併せて、「法務業務改善プロジェクト」も強化中だ。契約の受付管理からレビュー、締結・管理まで、業務プロセスの各ステップを対象に、リーガルテックや生成AIの導入と活用を進めている。これらの取り組みは、26年1月に法務部長に就任した山崎氏が主導している。山崎氏はそれまで、ゲーム、電機、半導体、ITなど多様な業界で企業法務に従事し、法務・知財部門の責任者やCLOを務めながら、グローバル法務、知財戦略、コーポレートガバナンスなど幅広い領域を経験してきた人物。そんな山崎氏が、最初のキャリアから現在に至るまで、変わらず持ち続けている信念がある。

「『事業の合法性・合理性を確保したうえで、ビジネスソリューションを提供し、企業価値の最大化に貢献する』ことです。いわゆる“アクセルとブレーキ”をうまく利かせ、事業に伴走していく法務であることを私個人の信念としつつ、それを法務部のミッションとしてメンバーに共有しています」

そのミッションを実行していく際のキーワードは、“フロントローディング”だと山崎氏は言う。

「特に当グループの場合は経営陣との距離が非常に近く、意思決定のスピード感と大胆な判断が、事業推進の要となっています。だからこそ法務部も、意思決定のスピードに遅れることなく、タイムリーに価値を提供できることを期待されています。こうした共通認識のもと、“前のめり”に事業の企画・開発の初期段階から関与し、法的NGによる手戻りを防ぎ、経営陣をはじめとする当グループの各事業部門・各事業会社の事業推進を支えています」

こうした考え方のもと、同部には“柔らかい段階”の相談が数多く寄せられる。そうした相談が寄せられた際に同部のメンバーは、まずは“壁打ち”の相手となり、論点を整理する“交通整理役”を務める。一人ひとりが“ビジネスを創り上げる当事者”の意識を持って、開発・営業・管理部門とワンチームになって、事業目標の達成を支えていく。「単なる管理部門ではなく、“事業成長を牽引する組織”でありたい」。それが同部の目指す法務組織の姿だ。

自走する組織で次代の法務を担う

「付加価値創造への挑戦」を企業の使命として掲げ、新規事業に挑戦し続ける同グループ。その企業文化は、同部が掲げる組織づくりにも通じている。山崎氏は、「AIの発展などにより、法的な専門性自体はコモディティ化しつつある。だからこそ法務も、付加価値を創造する存在でなければならない。まさにそれが、私たちの行動原理です」と語る。

この行動原理を体現していくうえで欠かせないのが、“自走できる組織”づくりだ。

「私たちは、誰かの指示に従ってプレーする“管理型(野球型)”の組織から、メンバー一人ひとりが自己肯定感とオーナーシップを持ち、戦略に基づいて主体的かつ自律的に判断と行動ができる、“自立・自走型(サッカー型)”の組織への進化を目指しています。さらにその先で、ビジネスのスピードと統制を両立させる“ハイプレス・サッカー型”の組織を目指します。そのために、メンバー一人ひとりに活躍の場を与え、主体性を引き出すことをマネジメントとして心がけています」

山崎氏は、今を“組織づくりの過渡期”と位置づける。「これから仲間に加わっていただく方にとっては、完成された仕組みに乗るのではなく、仕組みそのものを一緒につくっていけるフェーズにある。組織変革を自ら担う面白さを味わえるタイミング」と語る。

「新規事業への挑戦だけでなく、自走し、自己進化する法務組織づくりにも挑戦できる環境がある。そうした取り組みを楽しめる仲間とともに、次代の法務を担う組織づくりを進め、“業界ナンバーワンの法務部”を築いていきたいと思います」

同グループの新規事業である“コーヒー事業”。飲食・サービス業への参入に伴い、法務にも新たな知見が求められる。写真はスペシャルティコーヒーを提供する日比谷(左)と京都の店舗。今後、海外展開も視野に入れている(写真提供/株式会社GESHARY COFFEE)