まず「勉強の場」は、日中の法律について特定の専門分野に傾注している律師が、それぞれの専門分野の法改正や法律理論の進展について情報交換や研究を行う機会の提供が主。「中国の法律は毎日のように変わるといわれていて、専門外の分野はなかなか追いつけない。そこでお互いにキャッチアップし合う場が必要になる」わけである。また、総合商社の法務部長を招いて、日本企業の法務の現状を学ぶといったセミナー形式の勉強会も行っている。
次に「交流の場」。在日中国律師同士はもちろん、本国の律師会や日本の弁護士会との交流を取り持つ役割も果たしている。例えば、日本の弁護士会と共同で、「日中法律シンポジウム」を開催したり、中国法の現状について非会員向けに勉強会を開くなどの活動実績もある。また、本国で活動している律師たちが来日する折に、在日律師との交流の場をつくるといったサポートも実施している。
さらに、Webサイトを立ち上げ、会員限定の掲示板を設置。会員間で情報交換をスムーズに行える仕組みも用意した。
「法律用語を翻訳するのにふさわしい言葉がわからないといった時に教え合うなど、実務に即したコミュニケーションの場となっています」
昨今では、日本で仕事をしたいという中国律師に就業の場を紹介したり、逆に中国律師を求める日本企業、法律事務所などに会員を紹介するといったコーディネートサポートも増えているそう。
東日本大震災の発生後には、有志を募り、被災地である南相馬市で、がれき撤去のボランティア活動を行った。
「日本は第二の故郷です。日本で仕事をさせてもらっている恩返しと、被害状況をこの目で見ておきたいという気持ちがありました。被災地で実際に目にした想像以上の厳しい状況に、できる限り力になりたいという思いを強くしましたね」
そして、最後が「息抜きの場」。
「日本の弁護士と同様に、我々の仕事はハードでストレスがたまります(笑)。たまには同胞の皆で仕事を忘れてリフレッシュしようと、軽井沢や伊豆などのリゾートに出かけたり、花見や紅葉狩りを楽しんだりしています。もちろん、友人や家族の参加もOKです」と鄭氏は笑う。