相談が寄せられる経路は、他士業や知人からの紹介、Webサイトなど。相続などの注力分野については専門のWebサイトも運営しており、それを見て問い合わせてくださる相談者も多いという。なお、Webサイトから問い合わせがあった時は、基本的に最初に相談対応をした弁護士が担当し、受任を判断する。
「依頼者に寄り添って1対1で伴走したほうがよい案件は単独受任、複雑な案件や今後事務所の成長につながるような案件は共同受任のかたちを取ります。単独受任・共同受任のどちらにするかは、二人で相談しながら決めています」(阪口弁護士)
両弁護士は考え方も性格も異なるが、学生時代から勉強熱心で、仕事に対しても真面目に取り組む姿勢が共通している。そんな二人の強みが存分に生かされたのが、約2年かけて、1000万円を超える債権をほぼ全額回収した事件だ。
この事件は、とある団体の先輩・後輩の間で起きたもの。後輩が、総額1000万円を超える現金を先輩に預けていたところ、先輩がある日、所在不明に。後輩の方から相談を受けたものの、相手方である先輩は無職であったうえ、他に把握している情報も少なすぎたので、受任当初は回収できるほどの資産が相手方にないように見受けられた。二人は事件を振り返って、こう語る。
「個人間の債権回収で、一見して相手方が“無一文”の状態だったので、一般的には法律事務所としては受任をためらうたぐいの事件だったと思います。しかし、相談者はとても良い方で、なんとか助けになりたいという思いで受任しました。相手方の自宅などの現地調査を行ったりしながら、自分たちの足で粘り強く調査を続けました。そうしているうちに、過去に不透明な財産処分行為があったことを突き止めることができ、詐害行為取消請求権の行使により、なんとか回収にこぎ着けることができました」(池本弁護士)
「回収可能性がほとんどなく、諦めかけてしまいそうな事件でしたが、どこかに手がかりがあるはずだと、資料やデータを細かくチェックしていきました。そうしているうちに新たな事実が判明したことから、訴訟手続きを経て、ほぼ全額回収に成功。二人で粘り強く事件と真剣に向き合い続けたからこそ、やり遂げられたのだと思います」(阪口弁護士)
個人間の貸金事件などの典型的な紛争類型の事件でも、一つひとつ真摯に向き合い、依頼者が満足する成果を出すことが、両弁護士のやりがいだ。「弁護士は小さな頃から憧れていた職業。これまで勉強してきたことが生かせて毎日がとても楽しい。典型的な紛争類型であっても真剣に取り組むことで、『自分たちだからこそ良い解決ができた』という実感があり、充実している」と、池本弁護士は言う。
「今はまだ弁護士2人の事務所だが、志を同じくする仲間を増やしていきたい」と、両弁護士。「参画してくれる弁護士には、案件の最初から最後まで主体的にかかわってもらい、方針なども一緒に考えながら進めていきたい。仕事に丁寧に向き合うことが楽しいと思える仲間とともに、事務所を成長させていきたい」と、池本弁護士は将来を見据える。