もう一つ、同社の法務で重視される点について、栗山氏が次のように語る。
「ベンチャーに共通だと思いますが、〝スピード感〞は必須。新規事業に携わりながら、定例的な法務業務もこなします。ある程度、契約書のひな型などはありますが、あてはまらないものはアレンジする必要があり、これも私の担当です。また、当社では若い営業メンバーが自らのアイデアで、お客さまにどんどん新たな提案をします。そのスピードに私たちも合わせていかねばなりません。実際に、営業が現場で新しい商品をつくってくるケースもありますから(笑)。ネット広告業界はまだまだ整備・改善が不十分な側面があって、時には自分たちで試行錯誤しながらルール自体をつくる必要が生じます。もちろん大変ですが、それがこの仕事の面白さでもあります」
今後、法務に必要となるであろう能力を和田氏に聞いた。
「海外でのサービス展開はすでに〝規定路線〞で、アジア圏を中心に進出していくことは間違いありません。ネット広告業界特有なのかもしれませんが、アドテクノロジーを活用する場合、海外製品が多いため、契約などに関して、ますます英語力が必要とされるでしょう」
同社のクレドには、「批評家にならず、行動家であれ。」「全員営業 全員メディア 全員経営者。」「新しい、面白いを探し続ける人であれ。」といった言葉が並ぶ。日々の進化を余儀なくされる同社では、法務であっても、前に進む行動力が求められる。また、経営者視点も、自然と身につけることができそうだ。