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緒方 絵里子 Eriko Ogata
長島・大野・常松法律事務所 パートナー弁護士
第一東京弁護士会所属

緒方 絵里子

労働法を軸に「人的資本経営」の最適解を提案。
日本企業の価値・競争力向上に向けた、
変革の重要局面をワンストップでサポート

長島・大野・常松法律事務所
パートナー弁護士

2021年6月のコーポレートガバナンス・コード改定により、上場企業には“人的資本”に関する情報開示が義務づけられた。近年、人的資本への投資による中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方、つまり“人的資本経営”への注目が一層高まっている。上場企業に限らず、あらゆる企業において市場競争力や価値を高めるために人的資本経営は有効だが、“多様な個人”を組織でどう生かしていくか、どのようなルール整備を行っていくか、企業にとって悩みの種だ。こうした問題に労働法の観点から挑んでいる緒方絵里子弁護士の、“これまでとこれから”を聞く。

弁護士の道

弁護士として“人とかかわる仕事”を求めて

弁護士 緒方 絵里子

高校入学直前の3月に起きた地下鉄サリン事件と、坂本堤弁護士ご一家再捜索開始のニュースなどを見聞きし、検察や弁護士といった“法曹の仕事”に興味を持ちました。高校生向けの法律入門書などを読むうちに興味が深まり、進路選択をする頃には「法学部に進んで司法試験を受ける。弁護士になる」という目標が明確に。そんな私がイメージしていたのは一般民事系の弁護士で、企業法務という分野に興味を持ったのは、司法試験合格後、長島・大野・常松法律事務所に事務所訪問した時でした。

当事務所への入所を決めた時、「まずは何でもやってみよう」と、当初はファイナンス関係の仕事の多いグループに所属しました。しかし、元々は一般民事や刑事事件に興味があって、人と直接かかわれる分野で仕事がしたいと思っていたことから、入所1年も経たないうちにプラクティスを変更したいと直談判しました。この、わがままともいえる新人弁護士の思いを親身になって聞いてくれてチャンスをくださったことをとても感謝しています。結果、希望するプラクティスグループへの異動が叶い、今では労働法と紛争解決を得意分野として、国内・海外の多様な企業をサポートしています。

得意分野

企業価値向上のサポートをワンストップで

弁護士 緒方 絵里子

私は主として企業の側に立ち、労働法に関するアドバイスと労働争訟に関与しています。解雇や懲戒処分を契機とする労使紛争、セクシャルハラスメント・パワーハラスメント、過重労働・メンタルヘルスにかかわる問題、労務問題に関する調査対応などに携わってきました。また、外資系企業が日本市場に進出する際の雇用に関するご相談対応の経験も豊富です。

私の一番の強みは“チーム力”で、これは事務所の強みでもあります。固定のチームがあるわけではなく、案件ごとにベストなチームを柔軟に構築しています。例えば、所内のM&Aプラクティスなど別分野の弁護士と協働することもあるのですが、チームが変わっても、自分の役割を一人ひとりが理解して、パートナーと、その下の“番頭”と言われるシニアアソシエイトがリーダーシップをとって案件を進めます。クロスボーダーの紛争についても、当事務所の海外拠点の弁護士と連携して、ワンストップでサービス提供が可能な範囲を拡大しています。とりわけ大規模訴訟の場合、近年はメールやチャットなど大量の電子データ資料を読み込み、関係者にヒアリングして事実関係を把握する“事実関係チーム”と、法律問題をリサーチしてロジックを組み立てる “法律チーム”に分けてチームを編成することもあります。訴訟でも調査案件でも、規模に応じて所内の弁護士・スタッフの協力を得て、スピーディかつきめ細やかに対応できるというわけです。これはひとえに、当事務所の優秀かつ勤勉な弁護士、パラリーガル、秘書といった、仲間がいてくれるおかげです。

弁護士 緒方 絵里子

近年携わった国内の労務案件の中で、先進的な取り組みの例として、 “人生100年時代”に備えて、会社を早期退職して個人事業主として活躍する場を提供し、新規事業創出のきっかけづくりを目的とする――といったことがありました。70歳までの継続雇用が努力義務となり、“働き続けられる環境の整備”が国内企業に求められている昨今、将来の最適な組織運営のための準備として、ミドルからシニア社員の雇用のあり方を検討・議論し、労働法の観点から助言しました。労使間の紛争といった事後的な処理も多い中で、前向きな新しい取り組みに関与することができ、刺激をもらいました。

現在、日本企業は“少子高齢化による労働人口の減少”“長時間労働の増加”“物価上昇するも賃金は上がらず”“正規雇用労働者と非正規雇用労働者の賃金格差”など、様々な課題に直面しています。そして「働き方改革関連法」(2018年)の公布、「コーポレートガバナンス・コードの改訂」(2022年)、「人的資本の情報開示」のための「人的資本可視化指針」(2022年)、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂」といった、日本経済と日本企業の価値・競争力を高め、直面する課題を解決していくための法整備や指針の打ち出しが継続的に行われています。また、有価証券報告書を発行する上場企業においては、2023年3月期決算から人的資本の情報開示が義務化されるなど、経営における“人的資本”の重要性が注目を集めています。経営戦略としての新しい人事制度の導入を検討される企業も増えてきていますが、人事制度の変更においては労働法の規制にも目を配る必要があります。紛争対応や危機管理的対応はもちろんですが、人事面での新しい取り組みについても、法務・人事・労務、経営層などの連携を促す橋渡し役となり、提案していきたいと思っています。

弁護士 緒方 絵里子

こだわり

“察する力”を生かす

私個人としての強みは、相手の話をじっくり聞いて、察する力だと思っています。「法的にどうか?」が曖昧な初期の段階から話をうかがい、どんな資料が必要かを伝え、その資料を読み込んで事実関係を把握し、法的に主張できるポイントをつかみ、法務部の方や経営者にアドバイスをしています。この時、その方々が求めるのは、“法的な結論”だけではないはずです。その人が本音で求めていること――背中を押してほしいのか、止めてほしいのかなど――や社内の様々な事情も察しながら、依頼者が適切な方向に進むことができるよう手助けすることを心がけています。

とはいえ、依頼者の立場や状況を慮るばかりでは弁護士の仕事は成り立ちません。例えば、いわゆる危機管理案件の調査や、その後の人事的な処分にあたっては、厳しく処分せざるを得えない場面も多々あります。担当者としては「穏便に収めたい」という意向を持つこともありますが、事案にもよりますが、再発防止とガバナンス強化の観点から必要と考える時は、「きちんと最後までやり抜きましょう」と強くアドバイスします。これは訴訟事案でも同様で、訴訟になる前の丁寧な調査・ヒアリングを徹底的に行ったうえで、訴訟となれば、最後まで闘い抜くという覚悟で臨んでいます。

弁護士 緒方 絵里子

展望

企業と労働者の幸せのために

弁護士 緒方 絵里子

私は使用者側の弁護士ではありますが、企業活動のなかで、労使両方のバランスをとることを大切にしたいと思っています。例えば、問題のある社員を解雇するという厳しい判断をした際は、労働組合が会社のオフィス前で街宣活動を行い、「不当解雇だ!」などと訴えることもありました。これに対して会社が公に反論することは躊躇されますし、裁判の場で反論するにとどまります。外からは見えにくいのですが、その背景には“会社としても時間をかけて丁寧に対応を続けていたけれども、問題が改善されず解雇に踏み切ることしかなかった”ということも多くあります。周囲の社員――所属部署の同僚、人事部、法務部のメンバーなど――の負荷が非常に大きくなり、会社として適切に対応しないと、ほかの社員の気持ちが疲弊し、離職につながるといったリスクもあります。仮に訴訟に発展した場合は、企業のリスクを最小化しつつ、和解も含めて労使双方が納得できる解決を見出すことを常に考えています。

弁護士 緒方 絵里子

私の父は、勤めていた製粉会社を退職し、そば粉の卸事業を行っていました。仕事が趣味のような父で、お客さまからの急なオーダーにもできるだけ応え、早朝から、時には夜まで、母と二人三脚で仕事をしていました。母には「手に職をつけるといいよ」と教えられ、やりくりしながら、両親は教育には惜しまず投資し、「法曹になりたい」という夢をいつも応援してくれました。こつこつ働く両親の背中を間近に見て育ちましたので、その姿が私の仕事の原点です。私は、誠実に努力する人が働きに見合った収入を得られる社会、キャリアを自分で選択して“人生100年時代”を生き抜き、多少回り道をしても再起できるようなチャンスが平等にもたらされる社会を望みます。社会の変容に合わせて、おそらく変わっていくであろう労働分野の法制度の動きを注視しつつ、これからも企業側に助言しつつ、そこで働く皆が自己実現できる道を探っていきたいと思います。

Message

労使紛争、ハラスメント、過重労働、不祥事など、典型的な労働問題への対応はもちろんのこと、「人的資本経営」に労働法の観点からアプローチする経営戦略、人材戦略へのアドバイスも行っています。コーポレートやM&A、税務など当事務所のほかのプラクティスグループの弁護士と協働し、情報と知見の共有も行いますので、労働問題と紛争解決以外の問題も、ぜひ気軽にお尋ねください。

弁護士 緒方 絵里子