ワンストップサービスが強み。ISDAのリーガルカウンセルを任される

リンクレーターズは20カ国29カ所に拠点を構え、2100名超の弁護士を擁する、世界有数のグローバル・ローファームだ。佐々木弘造弁護士が、その東京オフィスの特徴を語ってくれた。
「日本法、英国法および米国法すべてにおいてバランスの取れた強さを持っており、ワンストップサービスを提供できることが最大の強みです。加えてISDA(国際スワップ・デリバティブ協会)のリーガルカウンセルを任されるなど、政府機関や業界団体とも、強固な関係を築いています」
最近の案件例を、マネージング・パートナーのジョン・マクスウェル弁護士に聞いた。
「日本の大手企業および金融機関がドイツのある企業を買収した際、コーポレート/M&Aおよびバンキングの観点からアドバイスを提供しました。山﨑寛也弁護士率いる東京チームを含めて、18ものオフィスが協働した大型案件となりました。また現在は、アフリカ数カ国におよぶインフラ・鉄道事業において、レンダーのアドバイザーも務めています」
彼らが得意とする、クロスボーダー案件や規制対応への助言の機会は増加の一途だ。
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マネージング・パートナー、ジョン・マクスウェル弁護士はエネルギー関連案件のスペシャリスト -
デリバティブ、ストラクチャード・プロダクツなどを担当する藤田元康弁護士 -
投資ファンド、プライベート・エクイティ、不動産ファンドなどを担当し、金融市場規制に精通する坂田絵里子弁護士
「大手金融機関と地方銀行・保険会社が連携し、複数の海外プロジェクト・ファイナンスに投資可能となる日本の信託を活用した仕組みの開発案件に関与しました。また、新規のリパッケージ取引の開発などを扱うことも多く、そうした時には日本法と、英国法や米国法などの外国法との整合性を取るために、国内外の弁護士と頻繁にディスカッションをします。グローバル経済の中で日本はどうしていくべきか、自分はどんな貢献ができるのかという視点が持てるようになりましたね」と、仕事の醍醐味を語るのは、藤田元康弁護士。
坂田絵里子弁護士も、「日本企業の海外投資案件も増えています。本格的に当該国の市場に参入するため、新たな商品を、というニーズもあります。また規制対応の一環ですが、日本企業が海外当局から罰金を課せられ、行政処分を受ける場合があり、金融庁および海外当局と各国同時展開で交渉する機会も増えています」と語る。

グローバルな環境での仕事においては、法的知識はむろんコミュニケーション能力が問われる。そのためリンクレーターズでは、入所後4カ月間にわたる英国での英語研修や、各国の弁護士を集めた研修を定期的に開催している。各国弁護士が協働する案件が多いことから、重視するのはチームワークだ。佐々木弁護士は言う。
「全オフィス共通の価値観として『優れ、秀でていること/チームワーク/想像力/決断力/ビジネスにおける判断力/正直かつ高潔であること』があります。そして、東京オフィスではそれに加え、『日本法の豊富な法律知識/法的思考力/ソリューションが提供できること/チームプレイを尊重し、よき同僚になれる/チャレンジ精神』を掲げています。この絶対的な価値観を全員で共有しているのです。ファイナンスやコーポレートなどに興味があり、常に〝新しい流れ〞をつくり出していきたいと考え、かつ我々の価値観に共感できる人と、働けることを願っています」
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キャピタル・マーケッツ部門担当のピーター・フロスト弁護士(右)。OJTを基本として、チームメンバーの教育にも力を入れる -
資料室にはバンキングなど業務分野別に専門書が揃う。業界研究のための雑誌も充実
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休憩室は、メンバー交流の場にもなる -
メンバー各自、ボランティア活動に熱心に取り組む。事務所全体での活動例として、本やCDなどを収集のうえNPOに提供し、募金活動などに活用。休憩室内に専用の棚を設置するなど、日常的に、さりげなく、個々の意識向上を図る取り組みもなされる -
ほぼ毎月、「フライデードリンク」という所内イベントを開催
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「東京オフィスがグローバル・ローファームとしての地位を確立できている証が『Finance Asia Japan Achievement Awards』での受賞歴。過去9回中7回、Best Law Firmを受賞しています」(マクスウェル弁護士) -
公益活動にも積極的に取り組む。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や社会福祉法人子どもの虐待防止センターから感謝状が贈られた。各自の取り組み例は、佐々木弁護士の難民支援協会サポート、坂田弁護士のダイバーシティをテーマとしたトレーニングコース企画・実施など -