Vol.69
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森倫洋弁護士(47期)、木村寛則弁護士(60期)、鯉渕健弁護士(62期)

森倫洋弁護士(47期)、木村寛則弁護士(60期)、鯉渕健弁護士(62期)

STYLE OF WORK

#125

AI-EI法律事務所

企業間紛争、労働法務、事業再生を柱とする“新設”ブティック・ファーム

独立は、次なるステージへの布石

裁判官として10年間勤務し、弁護士に転身。その後、西村あさひ法律事務所にて企業間紛争、労働法務、事業再生などで活躍した森倫洋弁護士。2019年4月、同事務所から独立し、AI-EI(アイエイ)法律事務所を開所。オフィスは日比谷公園の緑を望み、裁判所にもほど近い内幸町に置いた。森弁護士は、争訟分野で100億円単位の損害賠償請求案件や税務訴訟、および1000億円単位の商事関係紛争や債権回収などに関与し勝訴を重ね、労働法務や事業再生分野でChambers Asia Pacificなどのランキングに度々選出されてきた。裁判官時代に倒産法改正を担当したことから倒産法制に精通、これまで日本航空の会社更生申立代理、バイオメーカー林原の会社更生申立代理・管財人代理などを務めてきた。そんな森弁護士に、独立の背景をうかがった。

「50歳を機に、3つめのキャリアとして事務所をつくりたいと考えた。あと20年は〝現役〞として挑戦し続けたいし、弁護士として次のステージに進みたいと考え、独立しました。また、私が強みとしている大型企業間紛争や外資系を含む労働法務分野で独立独歩でやっていける後進を育成したいと思ったことも理由です。加えて前事務所のような大手では、どうしてもコンフリクトが生じるため、企業間紛争案件を容易に受任できないケースが増えていました。大型の企業間紛争に長けたリライアブルな法律事務所があまり多くないと感じており、それならば自分で新事務所をつくり、その依頼を引き受けることがクライアントのためにもなると考えたのです」

現状、同事務所での業務は前事務所から引き続き関与する案件が約6割、新規が4割。新規のなかには、前事務所の弁護士仲間から依頼される案件もある。

「事務所名のAI-EIは、AIのように〝過去の大量のデータを的確に類型化しながら、EI(感情知性)つまり人間力や感性の視点も大事に案件処理に臨む〞という思いを込めました。もう一つの意味は〝相栄〞――互いに栄える、ということです。依頼者である顧客はもちろん、お世話になった西村あさひも含め、共に栄え、相乗効果を高めていきましょうと。実際に複数の案件で、協働が始まっています」

AI-EI法律事務所
大会議室にも、ビデオ会議ができるようモニターを設置。内装や什器は森弁護士のセンスが反映され、シックに統一されている

森弁護士から得られる学び

  • AI-EI法律事務所
    森弁護士の個室ではビデオ会議が可能。国内外の他事務所との会議や顧客打ち合わせに活用。なおサーバをオフィス内に置き、ITセキュリティ面も万全
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    個室ドアは全面ガラス張り。「防音性高く、それぞれの顔が見える、明るい環境に」と森弁護士

同事務所には現在、木村寛則弁護士と鯉渕健弁護士の2名が所属。前事務所時代、森弁護士のもとで多くの案件に尽力してきた弁護士だ。両氏に森弁護士との仕事で学んできたことについてうかがった。

「当然ですが、紛争案件や労働案件では、必ず利害の対立があります。しかし森弁護士が担当した案件では、適正な内容で和解する、話し合いで決着するケースが比較的多かったように思います。クライアントから『裁判に持ち込みたい』と強く言われても、慎重に依頼者の利益を考えた結果、早期決着を図るという具合です。裁判になったとしても闇雲に自分たちの言い分を主張せず、裁判官が何を重視して判断するか、そのポイントを的確に捉えて進めていく。10年の裁判官経験をもつ森弁護士ならではの〝視点と勘所〞を、自分も身につけたいと思います」(木村弁護士)

「紛争系の仕事の際、相手方の主張にどう反論していくのかという法的分析力もさることながら、全体の戦略の組み立て方、組み立てるにあたっての視点が素晴らしいと、いつも感じます。論点ごとに様々な戦略があるなかで、どんな構成で反論すれば目指すゴールにたどりつけるのか――その過程で出てくるアイデアが非常に豊富なのです。そうした〝戦略構築力〞をいつも勉強させていただいています」(鯉渕弁護士)

木村弁護士は訴訟以外に、調停や執行保全関係、ADRなどの裁判所手続を得意とし、係争金額が数十億から数百億円にのぼるインパクトある案件を多く扱ってきた。鯉渕弁護士は事業再生の経験が豊富で、そこで培ってきた経営者などとの対話力、相手の本音を引き出す力を磨いてきた。

両氏とも、新株発行差止仮処分や林原の倒産案件など森弁護士の〝仕事〞を間近で見ながら、弁護士として進むべき自分の道筋を見いだしてきたわけだ。

森弁護士は、過去の大型案件で、国内外の法律学者はもちろん、システム、金融、失敗学など様々な専門家から意見書を集めた。そのアカデミックな交友関係の広さも森弁護士ならでは。また、M&A契約における表明保証違反に関する裁判では、泥臭い事実調査の積み重ねで成果を収めたともいう。アメリカやイスラエルの〝クラスアクション〞などに関与する国際的な顔を持つ一方、〝現場百遍〞ともいうべき地道な作業を厭わない別の顔も併せ持つ。共に働く弁護士にとって、森弁護士のそんなギャップも、大きな魅力の一つのようだ。

ただ、森弁護士は言う。

「初任でお世話になった裁判長がおっしゃっていたのは、『自分(裁判長)が教えるわけではなく、事件が先生だ』ということ。本当にそのとおりだと思います。私が誰かに何かを教えているわけではなく、その人の学ぶ姿勢の問題だと。ですから、木村・鯉渕両弁護士が何かを学んでいるとしたら、それは二人に、自ら学び、吸収したいという強い意欲があるからでしょう。彼らのような意欲や好奇心に満ちた弁護士をぜひ、採用していきたいと思っています」

力を結集し、シナジーを発揮

4月に開所したばかりの同事務所がスケールアップしていくのは、まさにこれから。今、参画する弁護士は、〝要石〞となれるのだ。

「私たち3名、および8月末に加わる1名も西村あさひ出身。それぞれ十分な経験を積んできた弁護士ですから、当事務所では、仕事、知識・技術などを大手法律事務所のレベル感で体得できるでしょう。またスタートアップなので、若手であっても任せる範囲は広く、各自が果たす役割や責任は、自ずと大きくなります。成長スピードが速い事務所であることは間違いありません」と森弁護士。

とはいえ、〝絶えず〞働き続けることを、森弁護士自身は決して望んでいない。

「もちろん、必要な時は私自身も時間勝負で仕事をします。しかし当事務所では、ダイバーシティ&インクルージョンを大切にしたい。例えば、リモートアクセスを活用して在宅勤務を可能にするなど、その人に最も合った働き方ができるプラットフォームを提供していきたいと思っています。案件にはフルコミットしてもらいますが、事務所に対してフルコミットする必要はないという考え方ですね」

森弁護士に、事務所をどのように育てていきたいかうかがった。

「企業間紛争、外資系を含めた労働法務、事業再生を得意とするのが当事務所の見え方でしょう。それにしっかり応えられるよう、特に企業紛争に強いブティック・ファームとしてクライアントから信頼いただける事務所、弁護士各自の力を出し合って高め合い、大きなシナジー効果を生み出せる事務所にしていきたいと思います」

  • AI-EI法律事務所
    オフィスはパートナー個室、ジュニア、シニアの部屋で、全8室(中央が事務局スペース)
  • AI-EI法律事務所
    事務局スタッフの着替え・プライベートスペースとして、木村弁護士の発案でロールスクリーンを設置。少人数・アットホームな事務所ならではの心遣いだ

Editor's Focus!

バックオフィス整備は、3名の有能な事務スタッフもサポート。「彼女たちには本当に感謝です」との各弁護士の言葉が印象深い

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