事務所探訪:2019年10月号 Vol.70

事務所探訪

アトーニーズマガジン 事務所探訪

多種多様な「働く場」としての法律事務所を、読者に代わり、編集部が取材します。事務所の理念・方針・特徴・こだわりや工夫が凝らされた事務所の“日常風景”を分かりやすくお伝えします。

※掲載記事の内容は取材当時のものです。

神戸をベースに、グローバルな視野で、さらなる進化と人材育成に挑戦し続ける

事務所探訪

弁護士法人東町法律事務所

組織づくりに先見の明あり

 弁護士法人東町法律事務所は、国内外の多様な文化、経済、人材を受け入れ発展してきた神戸の町で、1924年に産声を上げた大白法律事務所を前身とする。93年、東町法律事務所へと改称し、阪神・淡路大震災を乗り越え、2010年に法人化。その後、東京と今治(愛媛)に支所、中国・上海にコンサルタント事務所を開き、ドイツの法律事務所と業務提携するなど、神戸を基点にサービス内容の拡充に努めてきた。当時、法人化を提案した上谷佳宏弁護士に、その背景をうかがった。「創設者の大白慎三弁護士は商社勤務の経験を持った人物で、息子の勝弁護士はIBA(国際法曹協会)の日本代表理事を務めるなど、海外の法律事務所から様々な情報が入ってくる環境でした。日本もいずれ欧米のように法律事務所が巨大事務所化していくだろうと予測し、早くから法人化を見据え〝パートナーを育てる事務所〞を目指していました」
 兵庫県を中心とした上場企業や金融機関、地方公共団体などを主な顧客にしていたが、「神戸の新たな地場産業の育成・活性化のために法律事務所は欠かせない存在で、そのために様々な事業分野に対応できる弁護士を揃えた総合法律事務所化が必要という思いもあった」と上谷弁護士。アメリカの法律事務所を視察し、先進的な組織構成・運営についても学んできた。「アメリカの法律事務所では〝1人のパートナーに2人のアソシエイト〞が基本形で、その組み合わせで業務を回していること、クライアントの維持・増加は当然として、どんな人材を育て、パートナーにするかが事務所運営におけるキーポイントだと聞き、我々もそれに倣おうと決めたわけです」〝イソベン〞が入所しては独立するという旧来型の法律事務所の在り方が当たり前の当時、「パートナーとなることを前提に弁護士を採用し、かつその人材力で総合法律事務所化する」という永続性ある組織づくりに神戸でいち早く着手した事務所というわけだ。

海事・物流はじめ独自分野で躍進

 同事務所の業務分野はコーポレート、事業再生・倒産、海事・物流、危機管理・不祥事対応、医療・ヘルスケア、国際法務、税務、労務、金融、行政、IT・知的財産、損害保険など多岐にわたるが、中心となるのは海事や事業再生・倒産を含む広義の企業法務と行政案件だ。なかでも不祥事対応や事業再生・倒産、私的整理、国際取引などが増えている。海事法務や国際取引を得意とする手塚祥平弁護士に、やりがいをうかがった。「私は内航船と外航船の案件の両方を取り扱っています。契約上の紛争や衝突事故といったトラブル対応、船舶売買やファイナンス、傭船契約、造船契約に関する契約書の作成・検証などです。各国の弁護士とやりとりをしながら、共通のゴールに向かって走れることが、この仕事の醍醐味です」
 海事・物流を得意とし、即戦力で入所した吉田伸哉弁護士が事務所の風土を教えてくれた。「一番は、キャリアやポジションではなく、〝個〞を尊重する点です。入所間もない頃、『これは君に頼みたい』とすぐに仕事を任せてもらいました。大きな責任を伴いますが、〝任せてもらえること〞は私にとって大きな喜びでした。また、物流や造船はニッチな分野ですが、ほとんどの場合、国内外の大手法律事務所がライバルとなります。そんな手強い競合が居並ぶなか、我々が出した意見書がクライアントから評価され、選ばれる――海事・物流分野で長く経験を積んできた、当事務所ならではの強みであり、面白さといえます」
 同事務所に集う人材は、実に多様。例えば、ヘルスケア事業を専門とするファンド運用会社へ出向し、ストラクチャードファイナンス、メザニンファイナンスなど金融取引案件に注力する三瀬崇史弁護士、任期付公務員(国税審判官)の経験を生かして租税法分野に注力する羽柴研吾弁護士、理学博士の博士号を有し、IT・テック関連、さらには宇宙法に取り組もうと目論む松宮慎弁護士など、意欲的でユニークな人材が揃う。「若手が中心となって、新規性が高い分野に、積極的に取り組んでいってもらいたいと思っています。〝興味あること〞に躊躇なく挑戦していける風土を維持していきたいですね」と上谷弁護士は語る。

全員がパートナーとなるための教育体制

 上谷弁護士、木下卓男弁護士、幸寺覚弁護士(3名は代表社員弁護士)はじめ13名のパートナー、10名のアソシエイト、および外国法事務弁護士、顧問が所属する。手塚弁護士いわく、「風通しが良く、言いたいことがしっかり言える環境」だそう。若手の教育体制はどのような仕組みなのか、上谷弁護士に教えてもらった。「先述のとおり、〝個〞を伸ばすことを重視しているため、グループ制やディビジョン制は敷いていません。組織のセクショナリズムに陥ることなく、アソシエイトが様々なパートナーと組み、そのなかで自ら独自性を見つけ、育んでいってほしいと考えています」
 そんな同事務所が掲げる理念は、「チームワーク・クオリティー・コミュニケーション」だ。「我々は早期から全国規模の案件を対象とし、かつ国際化にも対応できる総合法律事務所となるべくこの理念を掲げてきました。一人で一つの案件を抱え込まず、必ずチームで取り組む。時には非効率となるケースもありますが、教育効果を第一に考え、続けているのです。若手はベテランから学び、逆にベテランが若手から学ぶことも多い。双方にとって教育効果は高いと考えます」
 教育体制の一環であり、国際化への対応を図るため、留学も支援している。近年では手塚弁護士がロンドン大学、松宮弁護士がサウザンプトン大学でLL.М.を取得し、2年目は現地法律事務所で実務研修を積んできた。〝個〞を伸ばす試みは、パートナーとなる力を育むことでもある。それには経営者感覚も必要だ。同事務所では、アソシエイトもパートナーも、個々の売り上げをオープンにする。「若手の頃は、自分の給与額は今の働きに値するのかと悩むこともありますが、ただ事務所運営や経営参画という意識が若いうちから高まるという利点は大いにある」と手塚弁護士。上谷弁護士も、次のように語る。「たまたま報酬のいい案件を担当した結果として給与に差が出てしまうこともあるので、合理的ではないと考える弁護士もいるでしょう。ただ、一時的な差は生じても、長い目で見れば業績は平準化されていきますし、そうやって客観的な視点を持つことで〝稼げる人には稼げる理由がある〞ことが見えてくるのです。それが、各自の足りない点を伸ばすヒントになります。なによりも、〝事務所運営は全員で行う〞という事務所のポリシーを、アソシエイトに理解してもらうきっかけにもなっていますね」
 東町法律事務所は、その前身も含め、95年の歴史を持つ〝老舗〞法律事務所だ。歴史に裏付けられた実績があり、信頼もある。しかし、そこにたのむことなく、多様な人材を集め、先進的な組織づくりを行い、未来を見越した挑戦を忘れない――そうした柔軟な発想や対応、進取の気風が、〝事務所の永続性〞を支えているのだろう。

■プロフィール

  • 弁護士法人東町法律事務所
  • 所在地/〒650-0034 
  • 神戸市中央区京町80番 
  • クリエイト神戸9階(神戸事務所)
  • TEL/078-392-3100(代)
  • URL/https://higashimachi.jp/
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