現在、法務部は総勢30名の陣容。基本的に旧2社の法務のメンバーがそのまま“合体”した。部内は国内法務、国際法務、それにコーポレートガバナンス関連、総会などをフォローする法務企画に分かれている。
ところで前家氏は、住金の出身。「さすがに国内トップの新日鐵だけあって、海外案件も非常に多く、それを20名弱でこなしているのには驚いた」そうだ。
「当然、企業文化の違いなどはありましたが、統合に向けて2年間近く一緒に仕事をするなかで、部内は自然に融合できたと思っています。我々は法務パーソンである前にビジネスパーソン。法的なアドバイスのみならず、事業部門とともに考え行動する、という基本姿勢を最初から共有できたのが大きいですね」
経営統合の狙いの一つがグローバル化の一層の推進。法務にとっても、増加する海外案件への対応が急務だ。
「ここ数年、若手を積極的に採用しましたが、彼らも含めて“外で通じる”能力を身につけてもらいたい。今年は1名を米国ロースクール留学に出す予定ですが、これを続けていきたい。当社にとってアジアも重要ですから、中国などでも研修の仕組みをつくろうとしています」
何よりも「国内は国内、海外は海外という時代ではありません。国内、国際とセクションは分けていますが、できるだけ両者の垣根は低くし、ローテーションを活発にして、みんながどちらもできる法務が目標です」。
同部には法律事務所から出向中の弁護士4名が在籍している。
「即戦力として、旧新日鐵では7年ほど前から受け入れています。2年くらいで別の方にバトンタッチするというパターンですが、事務所に戻る時には誰もが異口同音に『事業の現場と一緒になって仕事をするのは得がたい経験だった。大きなやりがいを感じた』とおしゃいますね」
昨年は法科大学院を修了したての司法試験合格者を2名、社員弁護士として初めて採用した。
「有資格者にこだわったわけではありませんし、入社後の“特別扱い”もありません。ただ、法務パーソンとしての彼らのポテンシャルには大いに期待しています。今後も当社の法務にふさわしい弁護士がいれば、ぜひ採用したいと思っています」