Vol.34
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ビジネス最前線で交渉することも多い法務部のメンバーたち。事業部からの信頼も厚い

ビジネス最前線で交渉することも多い法務部のメンバーたち。事業部からの信頼も厚い

THE LEGAL DEPARTMENT

#38

東レ株式会社 法務部

“利益とリスク”の知恵を蓄えて、事業部とともに最前線でビジネスに挑む「ホーガル集団」

ローテーションで会社全体を知る

東レ株式会社 法務部
受付には、東レの新素材が使われた製品が展示されている(写真は東レの炭素繊維が使用された競技用自転車)

同社は繊維、プラスチック・ケミカル、環境・エンジニアリング、情報通信材料・機器、炭素繊維複合材料、ライフサイエンスなどの分野で事業を展開している。法務部も各事業部ごとに担当を置くが、メンバーは2年ほどでローテーションする。

山本芳郎法務部長は「事業内容によって求められる法務サービスは違う。なるべく早くその現場を直接見て、東レという会社のすべてを知ってもらいたいのです」と狙いを語る。

法務部は現在、総勢14名の体制で、うち2名は日本の弁護士資格を持つ。訪れてまず気づくのが、6名という〝女性比率〞の高さだ。

「2005年に、育児のためにいったん退社した井上光美課長がカムバックし、08年には営業担当として海外を飛び回っていた篠原朝子さんを〝口説き落として〞来てもらいました。ほか3人も、法務に必要な人材だと判断して採用したわけで、意識的に女性を増やしたわけではありません」

同社の香港現地法人で採用されたキャシー・ホン課長は、本社への〝逆出向〞。そのほか弁護士として訴訟に携わる日々から、グローバルにビジネスを展開する東レでの企業法務に転身した宮川玲さん、新卒入社3年目の国崎はるかさんが活躍中だ。

〝未知〞のリスクを認識し、解決する

  • 東レ株式会社 法務部
    井上さんは「組織で仕事するのが性に合う」と出産・育児の9年のブランクを超えて職場復帰。
  • 東レ株式会社 法務部
    5カ国語を操るキャシーさんは「香港や英国で学んだことが、東京で生かせてうれしい」と話す。
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    4月に育児休暇から復帰したばかりの篠原さんは、「時短制度を利用しつつ事業に貢献できて、やりがいを感じる」

法務に求められるものは何か、山本部長に水を向けると、「できる限り現場の最前線に赴き、契約交渉、トラブル解決に参加する姿勢で業務に臨むこと」という答えが返ってきた。

「事業部とは、『こんなリスクが考えられますけど、どうしますか?』というかかわり方もあるでしょう。しかしそこから一歩進んで、利益とリスクについての自分の考えを持ち、むしろ全体をリードする法務たれ、ということです。会社はどんどん新しいビジネスにチャレンジしますから、前例から〝解〞を引き出せないことも多い。そんな時でもきちんとリスクを認識し、どう解決するかの道筋を示せる能力、それに取り組むのが面白いと感じられるセンスが大事だと思うのです」

センスを磨くため、個々の能力アップは欠かせない。同部では、若手を対象に1年半程度の「海外留学」を制度化している。

山本部長は、「従来は米国のロースクールに留学し、米国の弁護士資格を取るというパターンでしたが、一昨年初めて1名が中国での研修に出て、今年戻ってきました。6月には宮川さんが英国のロースクールに留学する予定です。今後もビジネス面で注目されているロシア、南米なども含めて、積極的に外に出てもらうつもりです」と話す。

ところで、法務部には独自の〝マスコット〞がいる。フクロウをモチーフにした「ホーガル君」だ。愛称は〝法〞と〝リーガル〞をかけたもの。「〝森の賢者〞といわれ、一方で猛々しい猛禽類でもあるフクロウのように、知恵を持ち、最前線まで飛んでいけ、というメッセージを込めました。みんながその思いを忘れないよう、部長席の周囲にはフクロウグッズがあふれているんですよ(笑)」

実はこの「ホーガル君」を考案したのも、井上さんと篠原さんの二人。「法務部の社内研修用資料などにもプリントして、私たちの姿勢をアピールするのに一役買ってもらっている」そうだ(井上課長)。

そんな彼女たちの働きぶりも目にしつつ、「出産や育児を理由に、優秀な女性が職場から去るのは、実にもったいない。法務の女性部員の力をそぐことなく、継続して能力を発揮してもらえるために、組織として何ができるのかを真剣に考えていきたい」と山本部長は言う。

最後に、若き読者向けに企業法務の魅力を語ってもらった。「最初の段階からビジネスの現場とかかわって仕事をすれば、それが『自分の案件』になって、愛着がわく。ビジネスを育て上げていく企業法務の仕事は、事務所弁護士の仕事とは違った面白さがある。そんな〝切り口〞を持って働くことに興味を持つ方は、ぜひ挑戦してみては」

  • 東レ株式会社 法務部
    山本部長を囲む女性法務部員。和気あいあいのなかにも、真剣な議論が続く
  • 東レ株式会社 法務部
    法務部の"初代"マスコット「オーガル君」のステンドグラスを掲げる、考案者の井上さん(右)と篠原さん。現在は2代目(同じくフクロウ)の「ホーガル君」に代替わりしている