Vol.62
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グループ法務部のメンバーは20名(うち中途採用4名)。若手、中堅、ベテランまでバランスよく人員が揃う

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THE LEGAL DEPARTMENT

#80

サッポロホールディングス株式会社 グループ法務部

創業150周年を見据え、長期経営ビジョンのもと、グローバル展開の推進と全事業の加速化に貢献

国際事業強化のため海外法務を新設

サッポロホールディングス株式会社
1876年、ビール製造に端を発するサッポログループ。グループのコア事業を「酒・食・飲」の3分野と位置付け、不動産事業と共にグループ保有のブランドを育成・強化する。経営理念は「潤いを創造し、豊かさに貢献する」。経営基本方針として、「ステークホルダーの信頼を高める誠実な企業活動を実践し、持続的な企業価値の向上を目指す」を掲げている

サッポロホールディングス株式会社は、国内酒類事業、国際事業、食品・飲料事業、外食事業、不動産事業を行う、5つの事業会社の持ち株会社だ。サッポロビール社やポッカサッポロ社など各事業会社には法務の専任組織を置かず、グループ法務部が事業会社をサポートする体制となっている。

2017年9月に組織再編が行われ、海外法務グループが新設された。その背景などを部長の久保猛氏に伺った。

「再編後、グループ法務部は、国内法務、海外法務、商標、ガバナンス、企画法務といった5つのグループで構成されることになりました。海外法務グループが新設されたのは、一言でいえば事業のグローバル展開の法的支援推進のため。当社では創業150周年を迎える2026年までに、進むべき方向性として、『サッポログループ長期経営ビジョン SPEED150』を策定しています。そこで、『国内酒類・飲料事業の収益力強靭化』『〝食〞分野の拡大加速』『グローバル展開の推進』という3つの成長戦略テーマを掲げています。このうちグローバル展開は、北米および東南アジアでのビール事業・飲料事業の展開を主軸とし、これを強化・拡大する方針です。今後はМ&Aや渉外案件も増えることが予想されるため、その対応力強化が、まずは我々の重点課題となっています。一方で、ガバナンスグループは、取締役会事務局や株主対応の主幹部署であるため、ステークホルダーに対するコミュニケーションをどう行っていくのかをしっかり考え、推進していかねばなりません。リスクマネジメントとのバランスをとりながら、各成長戦略テーマの実行推進に積極的に関与し得る組織となる――その第一歩を踏み出したところです」

同社では2017年9月、米国カリフォルニア州サンフランシスコの老舗ビールメーカー、アンカー・ブリューイング・カンパニー社を買収したばかり。事業部門、グループ法務部、国内および海外の法律事務所、ファイナンシャルアドバイザーなどとチームを組んで、成功させた案件だ。

「今後も発生するであろうМ&Aの推進では、ビジネスマインドを持って事業部門と視点を共有化し、そのうえで、リスクをマネジメントしながら、どうしたら加速度的にプロジェクトを成功させられるかが命題。それを試行錯誤できることが面白さであり、醍醐味ですね」と、久保氏は語ってくれた。

サッポロホールディングス株式会社
部内勉強会や外部セミナーで専門性を高め、社内に向けた下請法勉強会などにも役立てる。昨年秋から「働き方改革2020」として、「スーパーフレックス制度」「時間有休制度」、在宅勤務制度の条件を緩和した「テレワーク制度」が導入され、グループ法務部のメンバーの「働きがいと働きやすさ」が向上した

付加価値を提供し事業成長を加速化

同部の人員構成比としては、国内法務グループのメンバーが圧倒的に多く、国内酒類事業のサッポロビール社、食品・飲料事業のポッカサッポロ社の案件を中心に取り扱っている。契約書審査・作成、М&A、訴訟などの係争案件対応、法律相談を中心業務としている。今後は、海外法務に強い人材の採用も急務だ。どんな人材ならこの組織にフィットするのか伺った。

「我々は、サービス部門と管理部門、両方の役割を担っています。現有メンバーには日々、『サービス部門だということを忘れては、仕事は成り立たない』とよく話しています。各案件におけるリスクをきちんと踏まえたうえで、どうしたらリスク回避できるのか、事業スピードを緩めないためにどんな方法があるのかなど、付加価値のある提案を行える人材が望ましい。チームワークはもちろん大事ですが、リーダーシップを持って事業部門を含めたチームを牽引していけるくらいの気概のある人材を歓迎します。ビジネスが大好きな法務のプロフェッショナルに、興味を持っていただけたら嬉しいですね」

今後、久保氏は同部をどのような組織にしていきたいと考えているのか。

「体制としては、事業の海外展開を積極的にサポートできるよう、早急にグループ法務部の体制を整備すること。組織のあり方としては、〝頼りにされる存在〞になることです。サービス部門という側面を持つということは、自席にいて、ただ相談を待つのではなく、あるいはメール偏重の仕事をするのでもなく、自ら出向いて社内クライアントとコミュニケーションを深めることが大切です。『グループ法務部に相談したら頭の整理ができた』『解決の糸口を見つけることができた』など、『グループ法務部に頼めばうまくいく』と信頼されるメンバーが揃った部署であり続けたいと思います」

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    本社に近接する「ヱビスビール記念館」。ヱビスビールの誕生から今に至るまでを資料や映像で見学できる施設。久保氏やグループ法務部のメンバーも、顧客来社の際に案内することがあるそうだ
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