サッポロホールディングス株式会社は、国内酒類事業、国際事業、食品・飲料事業、外食事業、不動産事業を行う、5つの事業会社の持ち株会社だ。サッポロビール社やポッカサッポロ社など各事業会社には法務の専任組織を置かず、グループ法務部が事業会社をサポートする体制となっている。
2017年9月に組織再編が行われ、海外法務グループが新設された。その背景などを部長の久保猛氏に伺った。
「再編後、グループ法務部は、国内法務、海外法務、商標、ガバナンス、企画法務といった5つのグループで構成されることになりました。海外法務グループが新設されたのは、一言でいえば事業のグローバル展開の法的支援推進のため。当社では創業150周年を迎える2026年までに、進むべき方向性として、『サッポログループ長期経営ビジョン SPEED150』を策定しています。そこで、『国内酒類・飲料事業の収益力強靭化』『〝食〞分野の拡大加速』『グローバル展開の推進』という3つの成長戦略テーマを掲げています。このうちグローバル展開は、北米および東南アジアでのビール事業・飲料事業の展開を主軸とし、これを強化・拡大する方針です。今後はМ&Aや渉外案件も増えることが予想されるため、その対応力強化が、まずは我々の重点課題となっています。一方で、ガバナンスグループは、取締役会事務局や株主対応の主幹部署であるため、ステークホルダーに対するコミュニケーションをどう行っていくのかをしっかり考え、推進していかねばなりません。リスクマネジメントとのバランスをとりながら、各成長戦略テーマの実行推進に積極的に関与し得る組織となる――その第一歩を踏み出したところです」
同社では2017年9月、米国カリフォルニア州サンフランシスコの老舗ビールメーカー、アンカー・ブリューイング・カンパニー社を買収したばかり。事業部門、グループ法務部、国内および海外の法律事務所、ファイナンシャルアドバイザーなどとチームを組んで、成功させた案件だ。
「今後も発生するであろうМ&Aの推進では、ビジネスマインドを持って事業部門と視点を共有化し、そのうえで、リスクをマネジメントしながら、どうしたら加速度的にプロジェクトを成功させられるかが命題。それを試行錯誤できることが面白さであり、醍醐味ですね」と、久保氏は語ってくれた。