次に、その業務内容について、具体例を基に説明いただいた。
「例えばプライベートエクイティファンドから、『企業買収をするので、レバレッジを提供する』というご要望を受けることがあります。そうしたお客さまは、当行以外にも複数の金融機関に提案を要請し、比較検討しています。当然、当行としては迅速に、お客さまの問題状況を十分踏まえた提案書を作成しなくてはなりません。〝選んでいただくために提案する〞段階では結果が見えないため、外部弁護士に依頼して提案書をつくるとコスト倒れになる可能性も。その状況は競合他社も同じ。ここで我々が作成に関与することによって、提案書のクオリティでも作成スピードでも競合他社に優位に立つことを狙います」
外部弁護士作成レベルのドキュメンテーションの作成が、重要な業務ミッションの一つだ。
「またクロスボーダー取引も多数取り組んでおりますが、当行は国内基準行のため、基本的には他行の組成したシンジケートローンに参加します。この際、商慣行として、関与する法域(国)の法律意見書はすべからく提供されます。法律意見書は前提事項や留保事項が詳細に規定されているため、それを読み解き、解析する時に、やはり我々の力が求められます。ただ、全法域を網羅的に詳細に把握するのは、不可能なことです。そこで各メンバーに主要な法域を割り振って、当該法域の法制、規制、判例を研究させるなど、担当法域の専任として『この国のことはあの人に聞けばわかる』という体制を構築しました」