法務最前線:2018年3月号 Vol.62

法務最前線

アトーニーズマガジン 法務最前線

経営そのものに深くかかわる企業法務部。現場からの相談に瞬時にかつ的確に判断することが求められる組織に必要なファクターとは、その精鋭が弁護士に期待することとは何か?各社の法務部長へ伺いました。

ストラクチャードファイナンス分野の先駆者は
“攻めの法務”で、収益を生み出す専門家集団

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株式会社あおぞら銀行 トランザクション マネジメントグループ

専門性を駆使して仕組みをつくり出す

 株式会社あおぞら銀行のトランザクションマネジメントグループは、組織上、事業ファイナンス部(法人営業グループ)に属する。ビジネス部門の前線で、ディールの推進を法的にサポートする役割で、国内のストラクチャードファイナンス分野における先駆的な存在だ。担当部長の田村茂義氏に設置の背景を聞いた。
「ストラクチャードファイナンス分野では、ビジネス部門に裁量が委ねられている案件でも、高度な法的専門性が求められる場合があります。また外部弁護士との間で不可避に発生してしまう利益相反を解消・軽減する必要性もあり、ビジネス部門の機動的な正しい判断を確保するため、法的ナレッジの集約や外部弁護士とのクリティカルな協働を目的に設置されました」

 では、その役割とは何か。
「銀行は、目に見えない金融商品を扱う業務であり、見えない商品をかたちづくるのが契約や法律。ゆえに新たな商品を開発する際、我々のような存在が必要になります。つまり銀行法務、特にその中でも我々が取り扱うトランザクションリーガルは、銀行の収益を構成するコア部門の役割を果たしています」

 次に、その業務内容について、具体例を基に説明いただいた。
「例えばプライベートエクイティファンドから、『企業買収をするので、レバレッジを提供する』というご要望を受けることがあります。そうしたお客さまは、当行以外にも複数の金融機関に提案を要請し、比較検討しています。当然、当行としては迅速に、お客さまの問題状況を十分踏まえた提案書を作成しなくてはなりません。〝選んでいただくために提案する〞段階では結果が見えないため、外部弁護士に依頼して提案書をつくるとコスト倒れになる可能性も。その状況は競合他社も同じ。ここで我々が作成に関与することによって、提案書のクオリティでも作成スピードでも競合他社に優位に立つことを狙います」
 外部弁護士作成レベルのドキュメンテーションの作成が、重要な業務ミッションの一つだ。
「またクロスボーダー取引も多数取り組んでおりますが、当行は国内基準行のため、基本的には他行の組成したシンジケートローンに参加します。この際、商慣行として、関与する法域(国)の法律意見書はすべからく提供されます。法律意見書は前提事項や留保事項が詳細に規定されているため、それを読み解き、解析する時に、やはり我々の力が求められます。ただ、全法域を網羅的に詳細に把握するのは、不可能なことです。そこで各メンバーに主要な法域を割り振って、当該法域の法制、規制、判例を研究させるなど、担当法域の専任として『この国のことはあの人に聞けばわかる』という体制を構築しました」

徹底した情報シェアリング

 ビジネス部門に属する唯一のリーガルサポートセクションとして、事業ファイナンス部以外からの難しい案件があれば基本的に受け入れる。他部署からの依頼は実績による信頼が最大の理由だが、もう一つ特有の風土とファンクションがあるためだ。
「従業員約2000名と、メガバンクに比べて大所帯ではないので、元々風通しは良いのです。また〝ビジネスイノベーションオフィス〞という部門横断的に専門知識をもつ行員が部店をサポートする機能があり、部門を超えて協働するケースも多くなっています。経営陣の『社内のナレッジ・リソースを余すところなく使い、風通し良く相互連携して進めよ』という方針もそれを後押ししています」

 田村氏は、今後について次のように説明してくれた。
「融資分野の業務が主ではありますが、様々な法域やファイナンス形態の案件への対応を求められる立場にあります。そうした立場を生かしながら、一つひとつの業務にこだわりをもって臨み、ナレッジを集積し、業界ナンバーワンのインハウスチームを目指します」

■企業概要

  • 株式会社あおぞら銀行
  • 設立 1957年4月
  • 資本金 1000億円
  • 総資産(連結) 4兆8162億円
  • 自己資本比率(連結) 10.86%
  • (バーゼルIII、国内基準)
  • 格付 S&P A-、JCR A-、R&I A-
  • 所在地 〒102 -8660 東京都千代田区麹町6-1-1
  • URL http://www.aozorabank.co.jp/