Vol.9
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THE LEGAL DEPARTMENT

#3

ソフトバンク株式会社 法務部

企業倫理を重視するオーナー経営者に、法務の見解と正しい情報を伝える少数精鋭のメンバーたち

日本のベンチャーの先駆けとして尊敬される企業トップが信頼する組織

携帯・固定電話、インターネットサービスを基幹とし、野球球団経営まで幅広い事業を展開するソフトバンクグループ。その持株会社であるソフトバンク株式会社の法務部について部長の須﨑將人氏に伺った。

「現在の陣容は担当者9名とアシスタント4名、アルバイト1名、英国法律事務所からの出向弁護士1名です。社員のうち日本の資格者は3名。比較的こじんまりした組織だと思います。法務部門が担当する業務を大別するとコンプライアンス、知財、一般法務で、それぞれ緩やかなチーム制を採用しています。さらに、M&Aなどのプロジェクト案件を扱う業務と、グループ企業のガバナンスなどの管理・支援を行う業務に担当を分けて、各担当者が複数の違ったタイプの業務を担当、経験できるようにもしています」

組織や業務の特長としてあげられるポイントはどのようなことだろう。

「年齢が20代・30代中心の若い組織です。女性社員の比率が高いのも特徴です。法務の業務として、重要契約の締結は全て社長(孫正義)に直接説明すること。この説明は短い時間で適格に説明することが要求され、かつ高度なレベルの質問を受けることがよくあります。これは法務の視点はもちろん、ビジネスの捉え方という点からも良いトレーニングになります。これを担当する若手は、数年経験すると視野が広がって驚くほどに成長します。また、グループ会社のコンプライアンス順守に関しては、社長は自らが体制の整備を指示するほどに、徹底して強化しています。これも特徴の一つでしょう」

持株会社として行う関連会社へのサポートには、どのようなものがあるのか。

「当社は持株会社で、グループ会社には各社夫々に法務部門があり、そこで法務業務を行っています。例えば、通信事業を行っているソフトバンクモバイル、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコムの3社には総勢で約70名の法務部隊がいますが、彼らとは業務上の交流があります。例えば、《法制改正について各社はどう考えているか》など意見交換を通じて、グループとしての見解を纏めていくなどです。持株会社としては、グループのビジネスの将来とグループ全体を展望するのが役割ですが、それには事業会社との連携が必須です。また、常に積極的に新しい事業を積極的に推進するグループですから、各種ベンチャー事業も多数あり、そうした事業へのサポートも法務としての大事な役割です」

スケールの大きいM&Aなど、ソフトバンクならではという事案も多いのでは…

「ボーダフォンの買収に代表されるような大型買収案件が幾つもありましたが、常にスピードが求められます。ただ、よく『M&Aなどの大型案件がやりたい』という法務希望者がいますが、知ってほしいのは日々の小さな案件をきっちりとやるのが法務本来の仕事であり、スキルを積み上げる源泉だということ。大型案件になれば外部の法律事務所などと協力して作業します。そこで若手が自らの判断を求められる状況というのはあまりないので、企業法務としての経験値がそれほど上がる機会にはならないのです。むしろ日々の仕事を通じてビジネスの現場を精通し、本質的なリスクを洗い出す、そのリスクへの対応策の検討などの経験を積む方が大事です。また、従来の企業法務は契約書作成がメイン業務でしたが、現在は《この契約は必要なのか》からジャッジすることを求められます。契約の前提となる取引のあり方や事業リスクを、法律を含め広くコンプライアンスの視点などから検討し、対応策を提案することが必要。法務担当者は、相談が来る以前に、ビジネス動向や各分野の商習慣、法の適用などを充分に把握しておいて、問題を事前に予測し準備することが大事です。そのためには、部下にも勤務時間の1/3は、ビジネスを含めた広い意味での勉強に使いなさいと言っています。実際には日々の案件が忙しくて実践はなかなか難しいですが、これは成長には必要なことです」

インハウスロイヤーが活躍できる場所が、ますます拡大していく

須﨑氏はインハウスロイヤーの存在意義をもっと理解してほしいという。

「弁護士を志した方のほとんどは社会正義を重んじ、《人権を守る》あるいは《社会的弱者を救いたい》などの想いでその道を選択したのだろうと思います。その一方で企業に対しては《企業は利益を追求するあまり、悪いことをする》と捉えている方がまだいるようです。しかし企業の社会的責任やコンプライアンスという観点で考えれば《企業の不祥事で被害を蒙る可能性のある潜在的な被害者を守る》ための社内弁護士の役割もあります。これは社会と企業の両方にとっても極めて有意義です。コンプライアンスの分野は今後ますます重要度が増すでしょうし、社内弁護士の活躍の場も広がります。また最近の若い法律家は、知財、労務に関心を持つ人が多いようですが、この分野も今後企業法務が力を入れる分野になると思います。労務問題はより個別問題として複雑化するでしょうし、知財の分野は著作権法の改正等によりコンテンツの利用が広がりますから、法的問題の処理に係わるニーズが高まります。これは、日本の産業が発展するためにより重要な分野になります。これらの分野で企業は弁護士の卵の皆さんに期待するところ大です」