Vol.80
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#18

社員7名(+アルバイト、業務委託)の陣容。武田氏は「当社はディスカッションベースで仕事を進めるため、法律事務所の頃と仕事の進め方にさほど違和感はない」と語る

社員7名(+アルバイト、業務委託)の陣容。武田氏は「当社はディスカッションベースで仕事を進めるため、法律事務所の頃と仕事の進め方にさほど違和感はない」と語る

SPECIAL REPORT

#18

“自由と責任”を胸に各自が事業にコミット。個人の成長こそが、自社成長のエネルギー

株式会社ユーザベース
Legal and Risk Management Division

「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」をパーパスに掲げ、経済情報プラットフォーム「SPEEDA(スピーダ)」、ソーシャル経済メディア「NewsPicks(ニューズピックス)」など、経済情報サービス事業を展開する、株式会社ユーザベース。新経営体制スタートに合わせて、法務から、森田岳史氏、吉田真実氏、武田彩香氏の3名が執行役員に就任した。3氏が、仕事のやりがいや“ユーザベースらしさ”などについて語り合った。

「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」をパーパスに掲げる

――皆さんは「事業一体型」のチーム構成と聞きました。

森田:当社事業のうち、SPEEDA事業を武田が、NewsPicks事業を吉田が、コーポレート部門を私が担当しています。現体制に落ち着いたのは約1年前ですが、それ以前から各事業・事業領域を、担当した者が全責任を持つ覚悟でいこうと私は考えていまして。というのも、当社は「自分を超えそうな人を採る」ことを採用の3つの誓いとして掲げています。それを踏まえて悩んだのが「優秀な人材が、どうしたら楽しく働けるか」ということでした。振り返ってみると、優秀な法務パーソンは「思考の自由を奪われるのは苦痛」「結論ありきの議論はイヤ」「自分のペースで働けない職場もイヤ」といったことが共通点かな、と。ならば担当した事業のリーガルについては担当者が裁量をもち、自らの責任で決断できる、それが魅力になると考えました。この点に共感して入社してくれたのが、吉田や武田など今いるメンバーです。

武田:私も、担当事業のメンバーから「独自に事業部内リーガルチームを立ち上げないか」と声をかけてもらい、当部を出て、ビジネスサイドのリーガルとして仕事をしたり、同時に営業管理のリーダーに挑戦したりもしました。まさに事業一体型ですね。

森田:うちの会社は、社内で“優秀な人材の取り合い”が多くて(笑)、今も1名、他事業部に籍を置いています。でもリーガルの仲間は、“いつもどこかでつながっている”といった感じで仕事をしていますね。

――印象深い仕事は?

武田:入社直後に担当した株式会社ミーミルの買収案件です。私はコーポレート案件やM&Aの経験がなく、最初は何から着手してよいかわからない状態でしたが、デューデリジェンスからクロージング、PMIまでの流れをひととおり、経営陣をはじめ関係各者と協働させてもらいました。また、その後、同社と共同で新規プロダクトをローンチすることになり、規約作成や管理体制構築などをわずか半年でやりきりました(笑)。途中で「特許はどうなっている?」と焦ったり。しかし、リーガルがプロジェクトマネジャーのような立場で全体を俯瞰して進められるのは、当社ならでは。リーガルが先頭に立つ面白い案件に携わる機会が、これからもたくさんあると思います。

吉田:私も入社してすぐ関与した案件が印象深いです。B2B事業向け顧客戦略プラットフォーム「FORCAS(フォーカス)」の関連プロジェクトに加わりました。リーガルの仕事は利用規約やプライバシーポリシーの作成など基本的なことでしたが、とにかくメンバーの熱量がすごく、その勢いにひっぱられるように、毎日ワクワクしながら仕事をすることができました。

――「この会社に来てよかった」と思うのは、どんな時?

森田:基本的に、メンバーがやりたいと思う事業に手を上げて、担当を決めています。私の場合「ここだけは任せてほしい」と守ってきたのがガバナンス。株主は当社に資金を投資してくださっていますが、従業員も自分という人的資本を投資しているし、顧客は取引することを通じてユーザベースに投資してくだっています。投資がどんな価値に置き換わって世の中に還元されるのか、社会のなかで企業はどんな役割を果たすべきかといったことを想像し、実現するこの仕事が好きです。取締役会の事務局運営を通じて、経営陣の視座の違いや、厳しいものの見方などを知る機会も多々。会の終了後に議長から、「あの議論の私の真意はこうだった」「あの場ではこう発言したけれど、実はこんな考え方もあるのかもしれない」といった感想を聞き、それに対して意見を求められることもあります。長期的な視点で、どうしたら社会的インパクトが出せるか?を考え続けている代表や経営陣と議論をする時間は、毎回“思考の旅”をしているようで、最高に楽しいですね。

吉田:私は、リーガルはもちろん事業部も含めて“メンバーに恵まれている”ことに心から感謝しています。“オープンコミュニケーション”を大切にしながら、一つのゴールに向かってきちんと議論する。何か課題がある時は、「ここが問題です」とはっきり言える。そして、その意見をもとにさらに議論を深めて解決に持っていける。そうして働ける幸せな環境だと思います。

武田:私も同感。自由度の高さも気に入っています。「トップダウンで決まったからこれやって」は、基本的にありません。自分が「こうだ」と思ったことを、やれるし、言えるし、議論できる風土ですね。

吉田:チャンスを与えることに積極的、という風土でもありますね。

森田:私はリーガル、労務に加え、いわゆる“グローバルモビリティ(国際間人事異動)”領域を兼務しています。法務以外の領域の知識があまりない前提で始めましたから、税務、労務、人事、そして会社法など、様々な分野が絡まって大変! 取り組みはじめる前、当社代表の稲垣が「森田さん、どうしていこうか?」と、オンラインで5時間も、相談というか、思いを語ったり聞いたりしてくれまして。それだけ人の可能性に投資しようと思ってくれるトップがいるこの会社、すごくいいなと思いました。

吉田:日々の仕事を懸命にやっているなかで、例えば「チームリーダーをやってみませんか?」とか、武田や森田の例のように、「リーガル以外の領域で可能性を広げてみませんか?」という声をかけてくれるのはありがたいことですね。

武田:なおかつ当社の場合は、やってみてダメでも失敗をとがめられない、だから失敗を恐れずチャレンジできると思いますね。

森田:ただし、自由度が高いということは、正直、しんどいことです。自由には、やはり相応の責任が伴います。

吉田・武田:それはほんとにそう。

株式会社ユーザベース
同社には「チーム成果に責任をもつ」「自分から情報を取りに行く」など、「31の約束」という行動指針がある。この約束を守り、業務にあたる

――自由度という観点から。御社は複業OKですが、皆さんも?

森田:私は今も都内の法律事務所に在籍していて、スタートアップ企業の手伝いなどもしています。これから規模が大きくなるスタートアップは、まさに“夜明け前”という感じでエネルギッシュなんですよ。複業先でそんな刺激をもらいつつ、当社においても、そのような感覚を失いたくないと、思わせてくれます。

武田:私も、スタートアップの社外監査役をさせてもらっています。

吉田:ミーミルは、「経験知に価値を与える」を掲げた、“多様な業界・分野のエキスパート・ネットワークの知見を社会に生かす”という事業です。これもまさに多様な知見を持つ方々の複業を応援する挑戦ですしね。

森田:複業については、当社でも説明が人によって異なりますが、私自身は「会社が求める成果を出しているのであれば、会社は、その従業員のほかの活動や取り組み、その人の人生を応援する」という発想だと解釈しています。ゆえに、たとえば当社のOBやユーザーの方々の人生を応援し、新たな活躍の場を提供する、“その人の人生を応援する”ためのつながりも大切にする。当社はそもそも経済情報を扱う企業であり、日本経済の発展に寄与することが使命。そのためには、様々な人の可能性・働き方の多様性を広げていかないといけない。そんな当社が、従業員の発展的な働き方、自由度をブロックしていては説得力がないという考え方ですね。

――リーガルが抱える課題は?

吉田:メンバー全員、すべて全力でやる!という思いが強すぎるので(笑)、優先順位や緩急をつけて、バランスよく仕事をしていくことが必要。個人的にはそう思っています。

武田:まさに。私たちが80%しか力を出し切れていないと思っていることでも、あとで聞いたら実は100%の期待を超えていたことが多々ありますしね。

森田:私は、多様性の拡大を期待しています。今のメンバーはほぼ全員有資格者。どうしても同質的な集まりとなり、議論の限界があるのではという懸念を持っています。当社が本気で世界に出ていこう、変わっていこうという時だからこそ、発想や価値観が異なる人、まったく違う分野で経験を積んだ人などが集う、多様性ある組織にしていきたいと思います。

※取材に際しては撮影時のみマスクを外していただきました。