Vol.89
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前列左から、島田康弘弁護士(61期)、角田邦洋弁護士(53期)、城所敦子弁護士(54期)。後列左から、田畑千絵弁護士(62期)、山田航大弁護士(73期)、土橋靖子弁護士(53期)、福田 匠弁護士(55期)

前列左から、島田康弘弁護士(61期)、角田邦洋弁護士(53期)、城所敦子弁護士(54期)。後列左から、田畑千絵弁護士(62期)、山田航大弁護士(73期)、土橋靖子弁護士(53期)、福田 匠弁護士(55期)

STYLE OF WORK

#185

燕総合法律事務所

ファイナンスとコーポレートのスペシャリストが、“フラットな組織”で高度な案件に対応

依頼者に寄り添った対応と機動性を重視

2021年5月、大手法律事務所出身の弁護士5名によって本格的に始動した、燕総合法律事務所。ファイナンスとコーポレートを中心に取り扱っており、特にファイナンスに関しては不動産流動化、コーポレートについてはクロスボーダー案件に強みを持つ。事務所及び所属弁護士の多くが『The Legal 500』『asialaw Rankings』『Best Lawyers』『IFLR 1000』などの海外ランキングリサーチで多数の受賞歴を有する。パートナーは全員、ファイナンス、労働、コンプライアンス、倒産法など各自の専門分野での実績を誇る。パートナーの一人である福田匠弁護士に、事務所の業務スタイルのこだわりをうかがった。

「ひとことで言えば、“各自が主導して依頼者に寄り添う業務遂行を”です。当事務所には50期台から70期台まで8名の弁護士が所属していますが、キャリアに関係なく、クライアントの課題に対して弁護士一人ひとりが依頼者と密接に連携し、機動性を発揮しつつ柔軟に協働し、解決していくことを最も重視しています。このような各自の意識を共有すべく、当事務所は組織としてもフラットなかたちを志向しており、平素から業務や事務所運営に関して立場を問わず気軽に意見交換できる雰囲気を維持しています」

パートナーは各自の得意に応じて、ファイナンス分野とコーポレート分野・紛争解決の大きく2チームに分かれて案件に対応している。例えば福田弁護士と城所敦子弁護士はファイナンスチーム、角田邦洋弁護士と田畑千絵弁護士がコーポレートチームという構成だ。福田弁護士は、事務所の強みを次のように話す。

「1つ目は、機動性です。当事務所はパートナー自身が“ハンズオン”で手を動かして対応するので、案件処理のスピードが非常に早いことが特徴です。2つ目は、依頼者に寄り添うこと。例えば、銀行の依頼者であれば、フロント(営業担当)、審査部門、法務部門と、様々な部門から相談をいただきます。どうしたら社内決裁を得やすいか、社内の利害関係のなかでスムーズに業務遂行できるかなどを、各当事者の立場ごとに考えながら、相談対応や契約書レビューを行っています。また、そのような依頼者との緊密な連携ゆえに、定型案件の処理より、むしろひねりのある案件を依頼者と一緒に解決していくことを得意とする、“変化球に強い事務所”だと思います」

角田弁護士が、特にコーポレート分野における顧客特性と強みについて説明してくれた。

「コーポレートチームは渉外分野の取り扱いが多く、クライアントはほぼ外資系企業です。当事務所のような少人数の法律事務所で、国際業務の比率が高いのはめずらしいかもしれません。我々が日頃やり取りするのは、裁量・決定権を持ち、協議に基づいてその場で大きな方向性を決めてしまえる立場の方々です。いわばビジネスのディシジョンメーカーに近いところで、リーガルサービスを提供していることになります。そうしたクライアントの相手先(日本企業)には、往々にして日本の五大法律事務所や外資系法律事務所がついています。我々は、彼らと伍する力があると自負していますが、アドバイスやサービスのクオリティと機動性(スピード)を維持するために、パートナーがハンズオンで対応しているわけです」

燕総合法律事務所
「それぞれの考え方を尊重できて、みんなで話し合い、協力し合うことを好む弁護士と一緒に仕事をしていきたいですね」(城所弁護士)

チーム一体で取り組む案件が増加

各チームの弁護士に、近年取り扱いが増えている案件についてうかがった。

「ファイナンスチームでは、従来型の不動産流動化のファイナンス案件に加え、例えばセキュリティトークンを用いた不動産証券化のご相談が増えています。そうしたデジタル金融商品など、新たなトレンドの商品やスキームが出てきた際には、そこにどのような法的リスクが生じるかを念頭に置きつつ、クライアントのビジネスに活かせる有用なリーガルアドバイスができるよう、常に最新情報をキャッチアップし、我々も勉強しています」(城所弁護士)

「コーポレートチームでは、コロナが5類に移行後、外資系企業のインバウンド案件の増加を実感しています。例えば、東南アジア系のラグジュアリーホテルが日本に進出するタイミングで、ホテルマネジメント契約の“入り口の部分”から、社内規則の整備など運営上の課題を、海外本社と緊密にやり取りしながら進めていくといった業務です。ほかにアジアでホテルビジネスのコンサルティングを行っている会社からもご相談があり、『日本はビジネスチャンスが大きい』との声も多く、『日本でのファイナンスの付け方、基本的な仕組みを知りたい』といった要望を受けることもあります」(田畑弁護士)

福田弁護士は言う。

「実際、ファイナンスチームでも、ホテルへの投資などの案件が増えています。当事務所はファイナンスもコーポレートも紛争も対応できるので、今後はさらに2チーム協働で取り組むような案件が増えていくのではと考えています」

「まだ規模の小さい法律事務所ではありますが、紛争でいえば海外の法律事務所と一緒に訴訟を行うといった案件にも関与しています。福田弁護士経由で、海外の弁護士から『日本語で意見書を書いてほしい』という依頼を受けることもあります。所内の協働はいうまでもありませんが、これからはそういった海外の法律事務所との協働が増えていくのではと、予想しています」(角田弁護士)

昨年は倒産・企業再生分野が専門の弁護士も参画し、業務幅が拡大。同弁護士も、ファイナンス、コーポレート両分野の弁護士と協働し、案件に取り組んでいる。

全員が対等に議論し協力できる環境を!

同事務所の構成は、24年5月時点で、パートナー7名とアソシエイト1名。アソシエイトについては、本人の希望や業務量を丁寧に聞き取りつつ、OJTで育てている最中だ。

福田弁護士はアソシエイトについて、「まずはバッターボックスに立ってもらうことが大切。業務の中核部分に主体的に関与してもらう。加えて週1回程度、ファイナンスを中心とした勉強会を開催し、パートナー・アソシエイト関係なく最新のトピックの論点を探り、議論し合う。まだアソシエイトよりパートナーの数が圧倒的に多いので、我々がしっかり指導できる分、アソシエイトの習熟・成長は早いと思います」と語る。

「OJTは、先輩の経験値を、成功体験も失敗体験も含めて後輩につなげていくことが大事であると思っています。当事務所はヒエラルキーやセクショナリズムがまったくなく、全員が若手・ベテランに関係なく、一緒に考えたいと思っているので、臆することなく、多様な弁護士の仕事や経験値をたくさん吸収していけるのではないでしょうか」(田畑弁護士)

角田弁護士と城所弁護士に、事務所をどのように発展させていきたいかをうかがった。

「“フラットな組織”という理念を決して変えずに、まずは20名規模くらいまでの拡大を目指していきたい。しかし、人数が増えても、議論する時は全員対等な立場で、自分の考え・発言に責任を持って、きちんと述べられる環境を大切にしていきたいと思っています。なお、当事務所での議論は、司法修習を終えた方ならイメージしてもらいやすいと思いますが、“裁判所の合議体の合議”スタイルです。『アソシエイトの意見は疑ってかかる』とか『パートナーだから強くものを言っていい』といった悪弊は排除し、裁判所の合議のように、互いの意見を尊重し合える事務所でありたいということです。そのような事務所の風土を守り、私たちの経験を継承し、その価値を社会に還元していけるよう、永続性ある事務所づくりに挑戦していきたいと思います」

Editor's Focus!

事務所名は、燕が世界中で幸運の象徴とされ、毎年同じ場所に営巣することから、“依頼者に幸せを運び、長期的かつ強固な関係を結びたい”という思いから名付けた。なお、オフィスを構える紀尾井町ビルは、千代田区立清水谷公園の隣の緑豊かなエリアに位置している。

燕総合法律事務所