Vol.76-77
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#15

Legal Teamのメンバーはディレクターを含めて全10名(日本法弁護士、米国法弁護士資格者在籍)。Corporate LegalとBusiness Legalの2部署をワンチームとし、一体感を強化した

Legal Teamのメンバーはディレクターを含めて全10名(日本法弁護士、米国法弁護士資格者在籍)。Corporate LegalとBusiness Legalの2部署をワンチームとし、一体感を強化した

SPECIAL REPORT

#15

「創造性」を合言葉に、チームワークと自走力で突き進む

株式会社メルカリ Legal Team

国内“C to C EC”市場のフロントランナー、株式会社メルカリ。2021年3月には、米国ビジネス誌『Fast Company』の「世界で最も革新的な企業」に、アジア太平洋部門8位で選出されている。同社で「法律と創造性」を掲げ、様々なミッションに挑むのがLegal Teamだ。ディレクターの野見山一星氏、落合由佳氏、瀬谷絢子氏の3名が、近年の取り組みやメルカリならではのやりがいについて語り合った。

コーポレート系とビジネス系と分かれていたリーガルをワンチームに。クラウドサインをわずか3か月で導入・運用

――この2月に法務内の体制変更を行ったそうですね。

野見山:約4カ月の準備期間を経て、コーポレート系とビジネス系に分かれていたリーガルをワンチームにしました。社内におけるリーガルのプレゼンスを高める目的もありますが、メンバーが互いの業務領域を知り、コーポレート系・ビジネス系と区別せずに仕事ができるようになること。それがさらなる個々のスキルアップにつながると考えて行った統合です。

瀬谷:リーガルは即戦力が集まっているので、バックグラウンドを持つスペシャリストがそれぞれのキャリアを生かして“個”で動く感じでしたが、今はチームで業務にあたろう! という雰囲気です。

落合:互いの仕事を知れば新たな仕事ができるようになる。個々の仕事を属人化せず知見を共有していくことが、未来の私たちの大きな価値になると思っています。

――法務内だけでなく他部署との交流も盛んだとか。

瀬谷:社内交換留学制度のトライアルが、一部の部署で行われています。私も経理に留学しましたし、知財チームに行ったメンバーもいます。逆に経理からリーガルに留学してきた人も。

落合:当社には「韮人材」という考え方があります。韮という漢字になぞらえて、縦棒を専門性、横棒を専門領域以外の知見として、その両方を高めていこうというものです。私たちであればリーガルの専門性を深めながら、例えば財務やPR、事業についての知見を深めていこうと。瀬谷さんは他の新たなプロジェクトにも参加していますよね。

瀬谷:昨年からお客さまの声をもっと聞こうというプロジェクトが社内で立ち上がりまして。「メルカリステーション」という実店舗で、毎週決まった時間に店舗スタッフとして立ち、お客さまにアプリの使い方などをご説明しています。お客さまと直に接してご意見をお伺いする機会があるのは楽しいです。

――東証マザーズ上場以降、スマホ決済サービスの導入や暗号資産・ブロックチェーンに関するサービスの企画・開発会社設立などの取り組みも進行中ですね。

落合:上場以降、社会から業界リーダーとして見られるようになりました。ゆえに社会的責任が増しており、それを意識した施策が増えています。昨年設立した「マーケットプレイスのあり方に関する有識者会議」もそのひとつです。

瀬谷:社内でプロジェクトチームが立ち上がり、各部署から代表者を集め、企業倫理や経済学を専門とする大学教授などを招いた有識者会議を開き、「メルカリ」というマーケットはどうあるべきかの議論を重ね、ルールづくりの際のよりどころとなる「マーケットプレイスの基本原則(Principles)」を策定しました。新型コロナウイルス流行による禁止出品物追加の検討も、それをベースに行っています。

落合:様々なジャッジを下す際、違法か合法かのみならず、たとえ合法であっても、その判断が社会に受け入れられるかという観点を持ちながらジャッジしますね。

瀬谷:政策企画チームと協働で当社の見解を消費者庁などに提示するという活動も行っています。

野見山:当社のリーガルはビジネスにとても近いので、現場の声を政府に上げ、逆に法改正の動きなどを現場に伝え、政策企画チームと協働して調整したりすることも私たちの重要な機能の一つです。

――上場企業ともなると、社会的責任が一層問われますね。

落合:私の主な担当業務領域はコーポレート系で、昨年来、株主総会や労務関連などガバナンス体制の強化に注力しているところです。当社のバリューに「Go Bold(世の中にインパクトを与えるイノベーションを生み出すため、全員が大胆にチャレンジし、数多くの失敗から学び、実践する)」がありますが、これとガバナンスは“車の両輪である”と考えています。つまり大胆に事業に挑戦しつつも、きちんとガバナンスを効かせるということですが、当社の場合、このガバナンスが先進的。例えば昨年、取締役の構成を見直しましたが、今、社内取締役より社外取締役の数が多くなっています。リスクをとる会社、大胆に事業に挑戦する会社だからこそ、“外の監視の目”を効かせて暴走しないようにするということです。そうした取締役会組織をつくる仕事や、それに合わせて指名・報酬委員会を立ち上げ、ルールづくりも行っています。当社の場合、社長の山田がガバナンスを重要視しており、彼自身がそのための施策・提案をします。そうしたトップのもとでガバナンス体制の強化に関与できる仕事に大きなやりがいを感じています。

野見山:株主総会といえば、初めてオンライン総会を行いました。

落合:会社法的に開催方法の問題はないかなど、顧問弁護士と調整しながらで。大変でしたが、達成感がありました。

瀬谷:クラウドサインも新たに導入しましたよね。

落合:以前から電子署名・捺印は検討課題でしたが、新型コロナの影響を受け、わずか3カ月の短期間で導入・運用を開始しました。

瀬谷:現在、取引先との電子契約率は半分を超えています。ビジネスサイドから見ると、契約のスピード化の後押しにもなりました。本件もリーガルチーム内に、強い気持ちで推進できる人材がいたことが大きかったですね。

落合:もともと彼女は人事で採用担当だったメンバー。ITにも明るかったので、社内のシステム系チームと連携し、法的な瑕疵がないかを弁護士であるメンバーにサポートしてもらいながら主導してくれました。抜群のチームワークでしたね。

瀬谷:社外の取引先への文書など、先回りして準備してくれて、とても頼もしかったです。

メルカリのAI社員・HISASHIくん
メルカリのAI社員・HISASHIくん(チャットボット)。社内のヘルプデスク業務をサポートする。Legal Teamにとっても、他チームからのよくある質問・定型質問への回答を任せられる頼れる存在

――あらためて、メルカリでのやりがいをお聞きします。

野見山:私は基本的に“インターネット(事業)は自由であるべき”と考えていますが、もっと事業者の方々などの要求に応えていくべきという人もいて、本当にそれぞれに違う考え方・意見がある。しかしそれを誰もが発信しやすい環境であることが素晴らしいと思います。上下関係なくお互いの意見を受け入れ、議論するという社風ですね。また、一つひとつの議論のレベルが高く、根拠もしっかりしていて、そこにリーガルという専門性をもって参加できることも仕事の醍醐味ですよね。

瀬谷:目指すところは同じでも、リーガルと事業部で異なる意見が出てくることはしょっちゅう。ただ、野見山が言うように、相手の意見を否定せず、議論してくれる。「こうしたほうがいい」と、事業部のディレクターなどに直接意見が言えることは当たり前。本当に仕事が楽しいんですよ。

落合:心理的安全性が高いんです。反対意見や異なる視点で意見することが奨励されますから。

瀬谷:本当にそう。議論できるから考えが深まるし、そんな視点もあるのかという発見もあります。

落合:私は、やはり個々人が裁量をもって仕事ができる環境に感謝しています。「やってみたい」と思ったことを否定されたことがないんですよ。例えば、私は部署横断型の勉強会を企画運営していますが、それも特段の承認は不要でした。瀬谷さんが参加している社内プロジェクトも、行きたければどんどん行ってよし、と。

瀬谷:ですね。自由勝手にやっています(笑)。メルカリステーションの運営チームをつかまえて、日程調整させてください、とか。

落合:個々人の裁量が大きく、かつ自走型の人間をよしとする社風です。本気でやりたいことをどんどん進めたい方には、とても働きやすい会社だと思います。

※取材に際しては撮影時のみマスクを外していただきました。

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    現在、全社で在宅ワークを実施中。また、多様な人材が働きやすい環境にと、山田社長自ら「D&Iカウンセル」を立ち上げ、ダイバーシティ&インクルージョンを推進
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