弁護士の肖像:2020年1月号 Vol.71

弁護士の肖像

アトーニーズマガジン 弁護士の肖像

日本のリーガルサービスを牽引する、著名な弁護士の素顔や仕事観・人生観をご紹介。

※掲載記事の内容は取材当時のものです。

Human History

弁護士の肖像

IP FORWARDグループ グループ総代表 代表取締役社長CEO 弁護士/弁理士 分部悠介

子供の頃からゲームに没頭。 一つの巡り合わせから 司法試験を目指すように

 分部悠介のキャリアは異色だ。大学在学中に司法試験に合格しながらも、ストレートには弁護士の道に進まず、卒業後は電通に入社。コンテンツビジネスに携わった後、総合法律事務所や経済産業省への出向を経て2011年に中国で起業、今日に至っている。何かを選択する時、動く時、常にあるのは「人とは違うことをやる」という信条だ。だからこそ、分部の活動は弁護士の枠を超え、唯一無二ともいえる存在感を示している。現在率いる「IP FORWARD」は、コンサルティング会社と弁護士事務所を中核とするグループ企業で、中国や東南アジアにおける知財関連のサポートを主業務とする。躍動する中国のコンテンツビジネス市場に立つ分部は、自らの役割を、中国のシンボリックカラーに準えて「〝赤船〞の船長として日本を逞しくすること」だと語る。足場を変えながら様々に重ねた経験を糧に、分部は今、「自分にしかできない」ことに力の限りを尽くしている。

 商社マンだった父親の転勤に伴って、一家でアメリカのニュージャージー州に移ったのは小学5年生の時。まだ治安の悪い地域もある時代だったので、スクールバスで日本人学校に通い、中3までの5年間を過ごしました。なので、驚くほど環境が変わったわけじゃないんですけど、外国人とも接点を持とうと地元の野球チームに入ったり、スキーに出かけたり、それなりに海外生活を楽しんでいました。今思えば、私に新しい環境に対する抵抗感がないのは、この経験が基になっているのかもしれません。
 日本の高校受験に備えて、ニューヨークにある〝それ専用〞の塾で勉強し、入学したのが東京学芸大学附属高校。この時、日本に戻ったのは私一人で、神奈川県の日吉にある学生寮で一人暮らしを始めたんです。ここからですよ、…(以下略)

コンテンツビジネスに 携わった経験をベースに、 弁護士の道へ

「広く社会を知る」意味でも、ビジネスの現場を体験することが必要だと考えた分部は、一般企業への就職活動を始めた。周囲からは「何でお前が?」と言われたが、もとより、司法試験自体はチャレンジの意味合いが強く、法曹の道を急ぐつもりはなかった。ゲーム制作会社など、好きな領域でOB訪問をするなか、惹かれたのが電通である。折しもコンテンツビジネス部門が立ち上がった時期で、分部には好機となった。

 就職先として、いわゆるトラディショナルな法律事務所も考えなくはなかったんです。でもやっぱり、皆と同じレールに乗るのもなぁ……と思ったし、弁護士の道を進むにしても、何か専門領域を持たなければダメだとも感じていました。ちょうどエンターテインメント・ローヤーという言葉が出てきた頃で、著作権や知財関連は専門として面白そうだと思ったのですが、当時はまだ、リーガルマーケットとしてはあまりに未成熟で、よくわからなかったんですよ。
 時代としては、例えば『リング』『らせん』といった日本のホラーコンテンツが海外で映画化され始めた頃です。そんな背景の下、電通でも映画やテレビ、ゲームなどのコンテンツに製作出資するという動きを始めていたのです。ほかにもキャラクターライツの運用とか、…(以下略)

人生最大の転機となった経産省への出向。本拠を中国に移す

 中国を筆頭に、世界中に日本ブランドの模倣品が出回っている問題を背景に、経済産業省が「模倣品対策・通商室」を設けたのは04年。ミッションとしては、途上国の政府がどのように模倣品対策をしているかを調査・分析し、かつ、問題のある国の制度を改善させること。この組織に、分部は初代模倣対策専門官弁護士として出向。06年から09年までの3年間にわたって活躍した。事務所での仕事に脂が乗ってきた頃でもあり、出向に迷いがなかったわけではないが、やはりここでも「人とは違うことを」という思いが背中を押した。

 知財グループのトップから「経産省に出向しないか」と打診された時、最初は否定的な返事をしていたんです。この頃は模倣品や海賊版に詳しくなかったし、新設の組織だから何をするのか全然見えない。それに、官庁ってお堅いイメージがあるでしょう、当時の私は茶髪ロン毛でしたからね、「こんなのが行ってどうするんですか」って、(笑)。でも、事務所には「これからの弁護士はどんどん外に出るべきだ」という考えもあり、私に期待をかけてくれている。よくわからないけれど面白いかも...最終的には自分の直感を信じることにしました。わからないもので、ここから私の人生がぐわーっと変わっていくことになります。
 模倣品対策室での仕事は、日本企業から中国、その他新興国での被害状況を聞いて、それらの国の知財法制度を調査し、改善要請案を考え、さらに対象国政府との交渉にあたるというもの。当時の状況としては、…(以下略)

より大きな目標に向けて。すべての経験や知見を 集結し、邁進する日々

 現在のIP FORWARDグループは、広州や北京、瀋陽などの中国拠点に東京も加えた8拠点を擁し、従業員も60名を超えている。伴って業務内容も変化し、今は模倣対策・知財保護だけでなく、中国法務、日本企業に対する中国ビジネス支援など、多彩なサービスを提供する。16年には、日本コンテンツの中国展開をサポートする専門会社「JC FORWARD」、日中共同でアニメを制作する会社「Animation Forward」を設立するなど、その勢いはさらなる加速を見せている。

 業務が多様化したのは、ここ4、5年でしょうか。顕著なのはコンテンツビジネスです。その筆頭であるアニメの海賊版は以前から横行していましたが、ずっと〝やられっぱなし〞の状態だったんです。例えば自動車部品や電気製品などといった模倣品の場合は、最悪、製品事故につながって消費者を害する恐れがあるから危険ですし、かつ、ビジネスとしても成り立っていたから、多大な費用を払ってでも模倣対策をするインセンティブがあったわけです。対して、そういうインセンティブがないコンテンツビジネスは、半ばあきらめ状態。特に10年ほど前の中国では、海賊版アニメ『ワンピース』や『ドラゴンボール』などの動画が流れ放題で、とうてい権利者企業のビジネスが成り立つような状況ではなかったんです。だから、対策に積極的に費用を投じることができなくてもやむを得ないと。
 日本アニメ作品のライセンスが成立するようになったのは、12年あたりから。中国の大手動画サイト「Tudou」が『NARUTO -ナルト-』を買って、正規版を流したというのが契機になりました。面白いですよ、ライセンスを受けたTudouは「今日から俺が本物だ」と気勢を上げ、競合動画サイトに警告を発したんです。すると、乱立していた動画サイト間で競争が起き、…(以下略)

■プロフィール

  • IP FORWARDグループ
  • グループ総代表
  • 代表取締役社長CEO
  • 弁護士/弁理士
  • 分部悠介
  • 1977年1月15日東京都江戸川区生まれ
    1999年9月司法試験合格
    2000年3月東京大学
    経済学部卒業
    4月株式会社電通入社
    2003年10月司法修習修了
    11月弁護士登録(第一東京弁護士会・56期)長島・大野・常松法律事務所入所
    2006年4月経済産業省 製造産業局 模倣品対策・通商室出向
    2009年4月中国の模倣品対策専門調査会社、中国律師事務所に勤務
    2011年4月IP FORWARDグループ(中国・上海)創設
  • 定期購読のお申込みはこちら
  • いつかは転職したい方はこちら
  • 転職支援サービスに今すぐ申し込む

お電話でのお問い合わせはこちら 03-4550-0095

株式会社C&Rリーガル・エージェンシー社への
お問い合わせはこちら03-4550-0095
受付時間 9:30〜18:30(土日祝日除く)

C&Rグループのネットワークから得られる、独自求人をご紹介!

  • 独自求人含め、求人を多数閲覧可能
    会員登録をして求人を見る
  • 登録済みの形はこちらから
    弁護士や法務の転職・求人情報なら弁護士転職.jp

C&Rグループのネットワークから得られる、
独自求人をご紹介!

独自求人含め、求人を多数閲覧可能

会員登録をして求人を見る

独自求人含め、求人を多数閲覧可能

弁護士や法務の転職・求人情報なら弁護士転職.jp
ページTOP