東京と大阪二拠点を構え多様なリーガルニーズに“チーム制”で取り組む

「当事務所は1963年の開設以来、『クライアント・ファースト』という理念のもと、あらゆるリーガルニーズに迅速かつ的確に応えるための事務所づくりに努めてきました。そこで重要になるのは、顧客の信頼に応えられる人材を育成し、定着させること。現在、弁護士45人、スタッフ46人の陣容ですが、現存の人数でも十分に使命を果たしていると自負しています」と語るのは、御堂筋法律事務所の植村公彦弁護士だ。
確かにこの数年、より多様化・複雑化するリーガルニーズに応えようと、急激に所属弁護士を増員する事務所が増えている。規模の大きさによるメリットも、優秀な人材が互いに刺激し合い相乗効果を上げることもあるだろう。だが、同事務所はそれとは一線を画し、独自の業務体制を確立。一つの案件に複数の弁護士が携わる「チーム制」を実践し、バランス感覚とコミュニケーション能力を備えた人材育成に力を注ぐ。
「取扱い分野は、個人の法律相談から企業法務関連まで多岐にわたりますが、M&A、知財、倒産処理、訴訟といった部門制はとっておらず、案件ごとにチームを編成しています。新人弁護士であっても、パートナーや他のメンバーと積極的なコミュニケーションを図りながら、自身の仕事として主体的に案件に関与。所内に蓄積された知識と経験の共有化を図りながら、若手の実務処理能力やリーガルセンスに役立つ教育体制を整えています」(植村弁護士)

また定期的に開催される案件報告検討会では、弁護士全員が盛んに意見交換を行いながら知識と情報を共有し、さらなるサービスの向上とスキルアップを図る。
「ほかにも、専門分野やテーマごとの勉強会、レクリエーションなど、皆が自由に意見を述べられる場は多くあります。おかげで、所内は和気あいあいとし、いつも活気であふれています。事務所の財産は、人です。クライアントはもちろん、弁護士やスタッフとは一生の付き合いをしていきたいと考えています」(植村弁護士)
そんな先輩弁護士や同僚と、プライベートでもゴルフや旅行をともにして親交を深めているという越本幸彦弁護士は、「どんな時でも基本理念を忘れず、誰からも『相談するなら、御堂筋』と言ってもらえる事務所の一員であり続けたい」と話す。
「事務所のイメージを別の言葉で表現すれば、『さわやかな泥臭さ』でしょうか。仕事ともなると、泥まみれになって勝ち抜くために奔走する。そんな気概のある弁護士の集団です(笑)」(植村弁護士)

ところで、2003年1月の法人化を機に開設された、東京事務所はどうだろう。川崎清隆弁護士(43期)を訪ねた。
「さわやかな泥臭さが、東京でも受けています。当初は、大阪事務所のサテライト的な存在と思われていたようですが、今では新規顧問先が50社を超え、確立した事務所として機能しています。M&Aや知財、ファイナンスなど、関西よりもスピード性と経済的効果が問われる案件も多い。今後、ますます大阪・東京のシナジー効果を高め、より力を発揮できる体制を整えます」
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パートナーの執務室は個室だが、ドアは通常開放されており、誰でも気軽に出入りできる。出入り口近くに置かれた大きな打ち合わせ机で、資料に目を通す弁護士の姿も -
会議室にはテレビ会議システムが備えられ、クライアント企業や大阪・東京事務所間での会議や打ち合わせに活用。大阪・東京間で複数担当制の執務体制をとる時などは、特にその機能が発揮される -
東京事務所は2008年10月時点で弁護士10人、スタッフ9人の体制。アソシエイトの執務フロアは開放的で余裕のある空間。窓からは、皇居や国会議事堂など緑豊かな眺望が広がる