那須秀一弁護士も、「そうした損害賠償事件は、因果関係や過失の認定、法的な評価が難しい事件が多く、一つひとつの訴訟対応がオーダーメード。多くの難事件に取り組み、経験を積み上げてきたことが事務所の強みになっています」と付け加える。同事務所は、企業活動の複雑化に伴って生じた新法分野にも、いち早く挑んできた。独禁法分野では再販売価格維持に関する松下電器産業審決事件、知的財産分野ではパーカー万年筆事件、渉外分野では米国連邦最高裁判所まで争った松下対ゼニス事件を担当し、製造物責任紛争などにおいても法制定以前から取り組んだという素地がある。戦前・戦後と裁判手続を中心に行ってきたことで、裁判所からの信頼も篤い。「主張にしても立証にしても、決して防御のみに終始するのではなく、訴訟の審理においても〝審理の充実〞を重視した取り組み姿勢であることが特徴かもしれません。〝仕事の仕方が上品〞といわれることもあるんですよ」と笑う、小原弁護士だ。
ここでのやりがいを、那須弁護士と山本幸治弁護士に聞いた。
「一つは〝時間を贅沢に使う風土〞でしょうか。打ち合わせや準備書面の作成など時間をかけて丁寧に行うので、じっくり仕事に向き合えます。また各自が興味を持った分野で様々な経験をさせてもらえます。私は入所後、独禁法に興味を持ち、公正取引委員会に出向させてもらいました。加えて当事務所にはシニアカウンセルとして独禁法のエキスパートや元裁判官の弁護士も多数在籍していて、迷った時は気軽に相談させてもらえる環境です。そうやって知見を深められることもやりがいにつながっています」(那須弁護士)。