Vol.90
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左から、河原彬伸弁護士(71期)、竹内康博弁護士(68期)、今中秀雄弁護士(40期)、吉澤 尚弁護士(55期)、鈴木修平弁護士(63期)、三宮雅仁弁護士(55期)、臼田亮太弁護士(75期)。なお設立メンバーは、吉澤・三宮・鈴木・河原弁護士の4名

左から、河原彬伸弁護士(71期)、竹内康博弁護士(68期)、今中秀雄弁護士(40期)、吉澤 尚弁護士(55期)、鈴木修平弁護士(63期)、三宮雅仁弁護士(55期)、臼田亮太弁護士(75期)。なお設立メンバーは、吉澤・三宮・鈴木・河原弁護士の4名

STYLE OF WORK

#187

弁護士法人GRiT Partners法律事務所

法律問題への対応にとどまらない多様な視点で“価値連鎖”を促し、新たな産業創造に寄与

科学技術の産業実装を支援

2021年に設立された、GRiTPartners法律事務所。事務所を設立した思いを、所長の吉澤尚弁護士にうかがった。

「我々は法律のプロフェッショナルとして、客観的根拠を基に勇気と決断力を持ってお客さまの課題解決を成し遂げねばなりません。案件が複雑化している近年は、法律問題だけにとらわれず、事案解決に必要な関連領域まで目配りできること、時にはお客さまのビジネス構造を根本から変えるような新たな視点で提案が行えることも、弁護士に求められていると思います。そのためには”率先して提案する創造力”が必要ですから、それを強く意識しております」

吉澤弁護士は、「”事実への対応”を得意としてきた弁護士にとって、創造力を身につけることはなかなか難しい。しかし、混沌とした今の時代、法律上、正しい助言を行っただけでは、お客さまの期待に100%応えたとはいえない場合が多い。我々は、単なる助言ではなく、お客さまとともに新たな産業創造に挑戦するといった、新しいかたちの支援を提案していきたい。そんな”挑戦を止めない弁護士”の集まりでありたい」と語る。実際に同事務所では、IT・DX分野、医療ライフサイエンスといった科学技術分野に属する大手、スタートアップ企業の新規事業に関する案件の取り扱いが多い。

「関連士業や海外法律事務所との連携は当然として、そうした新規性と専門性が要求される案件においては、当該分野の研究者とチームを組成してサポートしています」

所外の専門家の一例は、吉澤弁護士が代表を務める別法人、Willsame株式会社に協力しているアドバイザーたちだ。同社には、ライフサイエンス、メディカルサイバーセキュリティ、グローバルビジネス、IPストラテジー、産学連携など、多様な分野の専門家が所属している。また、同社が運営事務局を務める「ライフサイエンスインキュベーション協議会」――健康医療分野のイノベーションやエコシステム構築の加速、研究シーズの産業実装とグローバル事業に成長させるためのサポートなどを行う機関――に参加する、大学研究機関や製薬・医療機器などの事業会社、VC/CVCなどとチームアップすることもあるという。

「例えば我々は、優れた研究シーズを持つ研究者と、その研究シーズを用いて社会課題を解決したいと考えるスタートアップをつなぐ役割を果たしています。単に共同研究契約のひな形を使ってアドバイスするのではなく、産業実装を見据え、共同研究のあるべき方向性を示唆したり、共同研究の範囲を決めるといった、契約業務において重要な”前さばき”の部分で、専門家ネットワークの力を借りています。知的財産・データ戦略を踏まえた研究開発の推進や、M&A・アライアンス戦略などの提供はもちろんですが、新技術による産業創出と、これを進める人たちを応援していきたいという思いが、我々の業務の根底にあります」

弁護士法人GRiT Partners法律事務所
今年、新たに参画した元裁判官の今中弁護士は、メンバーのよき師匠でもある。「裁判官の争点整理などを、身近で学べる機会は貴重です」(竹内・臼田両弁護士)

”価値連鎖”を生み出す場

同事務所がこれまで関与してきた案件について、吉澤弁護士にうかがった。

「”研究開発型スタートアップ”のための、J-KISS型ブリッジファイナンスの活用、米国版SAFEでの、日本法に基づく資金調達の検討案件、資本政策と事業計画を分析したうえでのエクイティファイナンスのストラクチャリングなどを手がけました。なお、バイオヘルスケア関連の案件では、事業の企画段階から関与することが多いですね」

一方で、従来型の弁護士業務として、複雑かつ高度な紛争対応や、事業再生などの案件も多く取り扱っている。

「当事務所には、元裁判官で倒産事件の経験豊富な今中秀雄弁護士、事業再生、倒産処理、事業承継、相続を得意とする竹内康博弁護士が所属しています。両弁護士は、近年急増している、経営者の高齢化を背景にした事業継続を目的とする相談に多数対応しています」
 
そんな同事務所の特色を表すのは、取材中に吉澤弁護士が語った”価値連鎖”という言葉だ。

「当事務所は、お客さまの問題解決においてはもちろんのこと、弁護士自身にとってのスキルアップにもつながるような、”価値連鎖”を起こせる事務所であると自負しています。各弁護士が有する専門・得意分野をどのように組み合わせれば当事務所らしいリーガルサービスを提案できるか――それを常に考えながらチームを組成しています。各弁護士は専門以外の法分野を複合的に学ぶことになりますし、これによって自身の価値も向上させていけるのです」

産業が融合する分野に切り込む

産業界や社会の動向にアンテナを張り、案件化する前の”シーズ”段階からアプローチし、法律問題に限らずビジネスソリューションの提案も行う同事務所。しかし「創造性を発揮した工夫を先行し、弁護士の仕事をおろそかにしては本末転倒」と、吉澤弁護士。

「我々の本業はコンサルティングではないし、やはり弁護士として成すべき本来の仕事のレベルをきちんと高めていくことが最も大切。それを前提に”工夫”を行い、その先(のビジネス)を見据えていこうという考え方です。訴訟や事業再生、一般企業法務の割合が多い大阪オフィスと、新規事業に関する案件が多い東京オフィス。2拠点の垣根なく協働で案件を進め、弁護士に必要な基礎力をしっかり身につけたうえで、創造力を発揮しながら複合的なスキルを育んでいく教育体制です」

具体的に、同事務所ならでは習得できるスキル・知見にはどのようなものがあるのか。

「法律を軸に、各産業・各事業分野のリスク管理、専門性を身につけることができます。当事務所における弁護士の専門性とは、法分野だけでは足りません。ヘルスケア産業や製造業、ジェネレーティブAIを含む最先端の産業セグメントごとに、新技術や新たなビジネスモデルが生まれた際、産業が融合していく”業際”をキャッチアップし、弁護士として提供できる法的課題を設定できる能力――これが我々の考える弁護士の専門性です。例えばIT×製造業ならば、製造業における製造工程のデジタル化とサプライチェーン管理について、IT×医療ならば、医療における医療実務の効率化と研究データの効率的な取得について、ITの新技術×企業のデータ問題ならば、LLMにおける社内実務の効率化と知的財産権、個人情報保護、サイバーセキュリティの問題について、など。”産業が融合していく分野”には、弁護士が活躍できる新たなフィールドが必ず生まれます。それに気づき、誰よりも早く取り組める環境が、当事務所にはあります。当事務所では、スキル強化のため、知的財産権やITに関連する資格の取得及び海外大学のオンラインプログラムの受講を奨励しております」

むしろこれからの弁護士は、「”産業セグメントごとの専門家”でなければクライアントのニーズには応えていけないだろう」とも語る、吉澤弁護士。今後どのような弁護士とともに事務所を拡大していきたいか、最後にうかがった。

「”価値連鎖”を起こすために様々な工夫をこらしていく過程で、私自身も初めて対峙するような、あるいは予測がつかないような問題が、増えているように感じます。そうした環境下ですから、『この法分野なら産業を問わず得意だ』『この事業領域の事情は熟知している』と、自信を持って言えるようになりたいと思う弁護士に来ていただき、相互に知見を高め合えるといいですね。また、当事務所の海外案件比率は、外資系スタートアップの支援をメインに10~15%ほど。この割合は今後、確実に増えていきますので、海外案件に興味がある方の力も必要です。現在の所属弁護士は8名ですが、なるべく早い段階で倍の規模にしたいと考えています。ただし、それ以上の規模の拡大は想定していません。まずは、当事務所のポリシーに共感して入所してくれた一人ひとりを丁寧に育成していく――そうしてしっかりとした組織体制を構築し、日本企業のグローバルな事業活動を支援していくためのインフラ強化を、我々の力で図っていきたいですね」

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省庁、事業会社、アカデミアとの交流のため、講演やイベント協力の機会が多い(写真は、厚生労働省主催イベントでの吉澤弁護士の講演の様子)

Editor's Focus!

若手に対して先輩弁護士が目配りし、”相談しやすい環境づくり”を心がける。東京・大阪オフィスの垣根なく協働で案件を遂行するため、一体感がある。ちなみに、国内外での研修を今年から実施。1人目は河原弁護士で、2024年の夏、米国で知的財産関連のプログラム履修、シリコンバレーの企業訪問などを行った

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