2022年7月に、大野徹也弁護士が開設した霽月(せいげつ)法律事務所。前所属先であるプロアクト法律事務所では、最先端の企業のリスク管理業務に数多く携わった。だが50歳を前に「自分の事務所で挑戦したい」と考え、独立。24年には吉森大輔弁護士(66期)が参画し、新たなスタートを切った。大野弁護士は、事務所の特徴を次のように説明する。
「私たちは、①企業のコンプライアンス・リスク管理を高度化することで不祥事予防や危機管理を支援し、企業価値の維持・向上に貢献する、②組織犯罪・金融犯罪と戦う、③金融・保険業界にフォーカスする――特に、この3点がクロスする領域での業務で高い専門性を発揮できることが大きな強みとなっています」
大野弁護士は、弁護士6年目に外資系生命保険会社であるアフラックのインハウスローヤーに転身し、同社法務を“内側”から支えた経験がある。法律事務所勤務に戻ってからは、不正融資問題で金融庁がスルガ銀行に業務改善命令を発した際に設置された、コンプライアンス体制再構築委員会の委員や社外取締役・監査等委員を務めた。そして独立後は、KADOKAWAの贈賄事件に関する危機管理委員会委員・ガバナンス検証委員会調査担当や、上場子会社の医療機器メーカーによる贈賄事件に関する再発防止特別検討委員会委員を務めるなど有事の危機管理支援事案に数多くかかわってきた。
一方、吉森弁護士は、法律事務所で反社会的勢力対策(反社対策)を中心に経験を積んだ後、財務省や金融庁におけるマネー・ローンダリング対策(マネロン対策)を中心とした金融犯罪対策に従事。さらに日本郵政グループの持株会社では、子会社の不適正保険募集問題発覚後に設置された部署の室長として、グループガバナンスやリスク管理の強化に取り組んだ。“官民”いずれにおいても、コアな立場・業務を経験している。
つまり、それぞれが“当事者としての経験”を有するため、コンプライアンス・リスク管理や金融犯罪対策について、具体的な支援策の提示が行えるのだ。
「危機管理業務では、経営層の方々との関係構築が非常に大切です。弁護士としての知見や経験を踏まえながら、企業をとりまくステークホルダーの視座に立ち、経営層の方々に納得していただけるような説明をすることを心がけています。諒承のうえ、適切な危機管理を選択してくださったおかげで、企業価値の棄損が抑えられたり、早いスピードで信頼回復が図られた時は、やりがいを感じます」(大野弁護士)