東京に本店を置き、独占禁止法(以下「独禁法」)・消費者法・情報法に強みを持つ、弁護士法人池田・染谷法律事務所は、2022年5月に大阪オフィスを開設した。大阪に拠点を構えることになった背景と、東京・大阪間の連携などについて、大阪オフィスの代表を務める山本宗治弁護士と、弁護士法人池田・染谷法律事務所の東京オフィスを代表し、川﨑由理弁護士に話を伺った。
新型コロナ禍以前より、リモートワークを執務に取り入れていた同事務所。多様なビジネスのやり取り、コミュニケーション手段として、オンラインミーティングは一般化したが、あえて大阪に拠点を構えたことには理由がある。
「例えば、関西圏のお客さまが公正取引委員会(以下「公取委」)の立入調査を受けなければならなくなった時、すぐに駆けつけられるようになりました。東京から弁護士がお客さまの元に向かおうとすると3時間以上を要しますが、現地にオフィスがあれば、すぐに直接お会いすることができます。特に独禁法案件では、緊急対応やスピーディな判断が必要となることが多々ありますから。もちろん、関西圏のお客さまに相談をいただく際にも、来ていただきやすいという利便性もあります」(山本弁護士)
「リモートと対面どちらにも利点はありますが、やはり『お客さまがどこに一番困っていて、どうしたいのか』について、その場の空気感も読みながら適切にアドバイスできるのは、対面のほうに分があるように思います。お客さまも、弁護士と直接会って話すほうが、不安な気持ちを和らげていただけるように感じますね」(川﨑弁護士)
もう一つ、面白い理由もある。
「冗談のような話ですが、代表弁護士の池田が大阪出身で、ほかにも関西にゆかりのある弁護士が多くいることもあり、大阪オフィスを出すことは池田の悲願だったそうです(笑)」(山本弁護士)
同事務所の大阪オフィス周辺には、独禁法・消費者法・情報法に特化したブティックファームは、まだない。
「お問い合わせいただく時も、独禁法、下請法、景品表示法絡みのご相談が実際多いですし、当局から調査を受けたことを機に、お付き合いが始まることも少なからずあります。大阪オフィスは開設してこの5月で2年になりますが、独禁法や消費者法のブティックファームとしての認知が徐々に高まっていることを日々感じています」(山本弁護士)
大阪オフィスに常駐しているのは山本弁護士一人だが、同事務所の弁護士が東京から来阪した際は、大阪オフィスに必ず立ち寄るという。また、だいたい毎日2~3回は東京オフィスも含めたWeb会議を行っているため、「距離を感じることはまったくない」と山本弁護士は言う。