2018年に株式会社Legal Technologyを起業し、それから1年の開発期間を経て、19年12月、法律書籍を利用したクラウド型リサーチツール「LEGAL LIBRARY」を正式にリリースしました。法律書籍・雑誌、官公庁の資料、パブリックコメントなどをオンラインから“いつでもどこでも自由に検索・閲覧できる”サービスです。『会社法 第3版』『民事訴訟法[第7版]』『個人情報保護法コンメンタール』『ビジネス法務』『ジュリスト』といった法律書籍・雑誌などをデジタルデータ化し、弁護士や企業の法務部などの法律実務家にご利用いただいています。
この事業を始めた理由は、法律事務所勤務を経て参画したコンサルティングファームで多くのリサーチツールを使ううちに、法律業界におけるリサーチ業務の非効率を痛感したからです。弁護士時代、膨大な案件を抱えながら、案件処理のために法律書籍を買いあさり、事務所内にある図書室で夜遅くまで文献調査をすることが日常でした。時には弁護士会の図書館などに赴き、関係しそうな法律書籍を何冊も書棚から持ち出しては、目次・索引から該当箇所を探しました。この状況を打開するために、リサーチ業務の効率化に取り組み始めました。「LEGAL LIBRARY」を通じて、日本中の法律実務家がより本質的な業務に集中することができ、世の中に新たな価値を創出していきたいと考えています。
起業後は、弁護士としての案件は一切受任せず、目の前の事業に専念しました。弁護士の仕事は会社や個人の一大事を扱うものですから、生半可な気持ちで臨むわけにはいきません。自らのリソースをすべてこの事業に注ぎ込むことで、何が何でも成功させようと強く決意していました。周囲からは「せっかく司法試験に合格して弁護士になったのに、なぜ弁護士をしないのか」と聞かれましたが、目指すところは同じではないかと考えています。弁護士を続けていれば、目の前の多くの依頼者を助けることができたかもしれませんが、私一人の手の届く範囲には限界があります。しかし法律実務家のリサーチ業務を効率化できれば、それを通じて、その先にいるもっと多くの方々を助けることができると考えたのです。