Vol.29
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#4

SPECIAL REPORT

#4

中国律師(弁護士)、110名強が参加する法律面から日中両国の発展に貢献

在日中国律師連合会

「勉強の場」「交流の場」「息抜きの場」を会員に提供

在日中国律師連合会
税法を専門とする鄭林根会長の左が、会社法専門の廖爽理事(津上工作室勤務)、右が、海事法専門の張玉人理事(今村記念法律事務所勤務)

日本に長期間滞在する中国律師(弁護士)を主な会員とし、会員に対する学習の場や会員相互の親睦の場の提供および日中の弁護士界の交流の架け橋となるべく、2000年5月に設立された在日中国律師連合会。12年6月現在、同会に参加している会員数は116人にのぼる。

会員は全員司法試験に合格し、中国法律職業資格を有している。その多くは、日本の法律事務所や企業に所属し、アドバイザー的な立場で法務やビジネスに関与しているほか、大学で講師を務めたり、研究に従事しているそうだ。

同会設立の経緯や活動内容、役割などについて、会長の鄭林根氏にお話をうかがった。

「在日中国律師連合会が設立された00年当時、中国の国際社会における地位が高まり、WTO加盟も目前でした。必然的に日中間の経済、文化の交流がより活発化するなか、我々、在日中国律師が両国に果たせる役割はどこにあるのかという強い問題意識を持つようになりました。また当時、仕事や留学で来日する中国人が急増しており、日中間の法律の違いなどによるトラブルが目立ち始め、その対応に手間取っていた中国大使館からの支援要請もありました。それまでも個人的につながりのある在日中国律師が集まり勉強会を実施していましたが、同胞たちのトラブルサポートおよび、日中の法曹界の架け橋となる組織の確立を目指し、当会を設立することを決めたのです」

同会の活動としては、年1回の総会のほか、年4回ほどの勉強会や不定期の懇親会・交流会の開催が主なところだ。母国を離れて活動する会員へのサービス内容は、大きく「勉強の場」「交流の場」「息抜きの場」の3つに分かれるという。

  • 在日中国律師連合会
    2012年5月、母国中国の「金杜法律事務所」が訪日した際、勉強会と交流会を開催した。同連合会からは二十数名の会員が参加。テーマは「中国外貨管理及び税関の法実務」だったそう
  • 在日中国律師連合会
    毎年1回開催される年次総会では、1年の総括と、次年度の目標が発表される。写真は、2008年度の年次総会での一枚

まず「勉強の場」は、日中の法律について特定の専門分野に傾注している律師が、それぞれの専門分野の法改正や法律理論の進展について情報交換や研究を行う機会の提供が主。「中国の法律は毎日のように変わるといわれていて、専門外の分野はなかなか追いつけない。そこでお互いにキャッチアップし合う場が必要になる」わけである。また、総合商社の法務部長を招いて、日本企業の法務の現状を学ぶといったセミナー形式の勉強会も行っている。

次に「交流の場」。在日中国律師同士はもちろん、本国の律師会や日本の弁護士会との交流を取り持つ役割も果たしている。例えば、日本の弁護士会と共同で、「日中法律シンポジウム」を開催したり、中国法の現状について非会員向けに勉強会を開くなどの活動実績もある。また、本国で活動している律師たちが来日する折に、在日律師との交流の場をつくるといったサポートも実施している。

さらに、Webサイトを立ち上げ、会員限定の掲示板を設置。会員間で情報交換をスムーズに行える仕組みも用意した。

「法律用語を翻訳するのにふさわしい言葉がわからないといった時に教え合うなど、実務に即したコミュニケーションの場となっています」

昨今では、日本で仕事をしたいという中国律師に就業の場を紹介したり、逆に中国律師を求める日本企業、法律事務所などに会員を紹介するといったコーディネートサポートも増えているそう。

東日本大震災の発生後には、有志を募り、被災地である南相馬市で、がれき撤去のボランティア活動を行った。

「日本は第二の故郷です。日本で仕事をさせてもらっている恩返しと、被害状況をこの目で見ておきたいという気持ちがありました。被災地で実際に目にした想像以上の厳しい状況に、できる限り力になりたいという思いを強くしましたね」

そして、最後が「息抜きの場」。

「日本の弁護士と同様に、我々の仕事はハードでストレスがたまります(笑)。たまには同胞の皆で仕事を忘れてリフレッシュしようと、軽井沢や伊豆などのリゾートに出かけたり、花見や紅葉狩りを楽しんだりしています。もちろん、友人や家族の参加もOKです」と鄭氏は笑う。

日本における中国人の法律トラブルへの対応にも尽力を

  • 在日中国律師連合会
    東日本大震災後、会員有志で福島県南相馬市のがれき撤去ボランティアに参加。会員にとって、日本は第二の故郷。復興への思いは、日本人と変わらない
  • 在日中国律師連合会
    会員相互の親睦と日本の文化・自然体験を兼ねて、年に数回の旅行も企画。2010年は、『ミシュラン』旅行ガイド版で三ツ星を獲得した高尾山へ出かけた

10年以上に及ぶ活動により、同会の存在感と認知度が、日中両国で徐々に高まってきた。先にも述べたが、中国大使館から、日本における中国人の法律トラブルへの対応協力が、ますます求められるようになっている。

「卑近な例では、日本では1円の物品でも盗めば犯罪ですが、中国法では金額の大きさで犯罪になる・ならないが分かれます。こうした法律の違いや生活習慣の違いでトラブルとなり、大使館に駆け込む中国人は多く、大使館員に負荷がかかっている状況です。そうしたトラブルの解決を我々が受任することはもちろんできませんが、かかわりのある日本弁護士につないだり、通訳くらいは買って出ることができます。そういったリソースの提供を通じて、中国人の権利保護やイメージ向上に役立ちたいとも考えています」と鄭氏は力を込める。

本国の律師会や日本の弁護士会との定期的な交流会を実現させ、双方の人的交流をさらに活発化させることも同会の今後の目標として掲げている。

「これからも、日本の弁護士会や企業に、積極的なアプローチをしていきたいと考えています。そして、日本企業のお役に立てるよう、いろいろな企業法務の現状や問題点をもっと知りたい。私たち在日中国律師をもっと有効に使っていただくためにも、門戸を広く開けておいてくださいとお願いしたいです(笑)。この活動を継続しながら、当会を在日中国律師の活動プラットフォームとして、今以上に機能できる組織に育てていきたいと思っています」

と、流暢な日本語でインタビューを締めくくってくれた鄭氏。これからも、日中両国の友好、経済発展に、法律の分野で貢献するべく活動を続ける在日中国律師連合会の取り組みに注目していきたい。