Vol.15
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それぞれの経験や得意分野を生かして活躍しているというキャリアも個性もユニークなリーガルのメンバー(一部)

それぞれの経験や得意分野を生かして活躍しているというキャリアも個性もユニークなリーガルのメンバー(一部)

THE LEGAL DEPARTMENT

#10

プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社 法務部

強みはグローバルとの連携 消費者と多くの接点をもつメーカーのビジネスをリードするリーガルチーム

世界中で使用されているブランドのビジネス構築を積極的にサポート

アリエール、パンパース、SK-Ⅱ、ジレットなど身の回りにあるブランド製品を販売するプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)。世界中の消費者が日々の暮らしの中でP&G製品に接する回数は1日40億回といわれている。洗剤、紙製品、化粧品、電化製品、ペットフードなど多様な製品群の多彩なブランド製品を日本で展開している企業で、幅広く同社の法務業務を担当しているリーガルチームを取材した。

「当社はマーケティングに強みがあり、リーガルでも強くそのサポートをしています。例を挙げれば、TV-CMやパッケージなどのマーケティングマテリアルやプロモーションプランの審査、流通戦略への法的アドバイスなどがあります。そのほか訴訟などの紛争解決、M&A、組織再編、多様な契約業務、独禁法、個人情報保護、会社法や労働法、PL、倒産対応などの一般的な法務業務もカバー。複数の製品群に対し、それぞれの業法や規約など幅広い法分野も見ています」

業務内容を端的に説明してくれたのはアソシエート・ディレクターの古山氏。体制についてはこう語る。

「組織が国をまたがって複雑に絡み合っていて、『リーガル担当がどこに何人いる』と表現しにくい会社です。現在、ジャパンリーガルのメンバーの一人はシンガポールの法人に出向していますし、どこまでが『日本の組織か』という線引きが難しいですね」

その複雑な組織の中で、いかに役割を分担し業務を行っているのだろうか。

「業務担当は製品カテゴリー・法律分野・社内クライアント(部署)で決めています。基本的にはファブリック&ホームケア、ヘアケア、スキンケアなどの製品カテゴリーと、営業、購買などの社内クライアントベースで自分の担当を持ち、そのほか各人の得意分野を考慮して、いくつかの法律分野で担当を分けています。組織が国をまたいでおり、海外のロイヤーと連携を取って仕事を進めることも多々あります。特に最近ではアジアでの連携を強めているため、アジア他国のロイヤーと協議して仕事を進めるケースが増えています。また、外資系企業なのでワールドワイドな取り組みは本国がリードすることが多いですが、ローカルへの責任移譲が進んでいて、ほとんどの業務は現地に一任されています」

他国との連携やチーム内分担について、野坂氏が補足説明してくれた。

「例えば日本とヨーロッパの一部で新製品を先行発売する場合は、当該国のリーガル同士で意見を交換し合うなど、案件によっていろいろなメンバーと連携を取って業務を進めます。個々のメンバーの主業務は年初のアクションプランで決めますが、案件の大きさや必要な法律分野などによって『一人でやる・チームで取り組む』など、フレキシブルに業務を分担。アクションプランは、『何をやりたいか』を問われ、上司と一緒に作ります。ちなみに私は、一時期希望して業務の約80%を会社法関連のプロジェクトにあてていましたが、このように個人の希望や自主性が重んじられることが特徴です」

海外とのやりとりや担当業務も多いなか、仕事を円滑に進める秘訣(ひけつ)は。

「全社的に業務のシンプリフィケーション(簡素化)に努めており、リーガルの業務内容の見直しも常に行っています。また、日々、案件のプライオリティー付けを行って、選択と集中に取り組んでいます」(渡部氏)

「効率化、シンプリフィケーションという観点では、リーガルレビューの基準や観点をまとめてアジア他国のリーガルに発信し、知識共有を図っています。先行するものが他地域であれば積極的に取り入れています」(太田氏)

P&Gでのリーガルの位置付け

P&Gらしさといえる特徴はどんな点だろうか。古山氏に伺った。

「アメリカ企業の文化としてリーガルの存在感が大きいことも特色です。トップ層をはじめ『当然リーガルの確認は必須』、『リーガルの意見を尊重』という意識が浸透していて、プロジェクトが立ち上がるときはメンバーに入るのが大前提となっています。企業文化として、部署の垣根を越えてリーダーシップを発揮することが推奨されており、法的観点からのアドバイスだけにとどまらず、プロジェクトをリーガルがリードすることも多々あります。さまざまな案件がリーガルに集まってくるので、類似案件での対処方法の再適用についてアドバイスを求められることも多いですね。また、海外とのつながりが強いため、英語力に対する要求が高いのもP&Gの特徴だと思います。いつどこの誰に転送されても良いようにメールは基本的に英語ですし、日本人同士の会話もなるべく英語で交わすようにしています。そのほかの特徴として、訴訟などは外部法律事務所に依頼しますが、日々の業務のほとんどは内部で処理します。アウトソースも相談レベルが多いです。インハウスならではのビジネスに対する深い理解をもとに、外部の専門家の意見をそしゃくして業務にあてはめています」

強みを生かして業務に取り組むメンバーの多彩なキャリア

多くの業務に対応しているメンバー数名を太田氏に紹介していただいた。

「リーガルの中では、私は新卒でP&Gに入りずっといるレアな存在(笑)。古山は日本企業勤務の後、米国で弁護士資格を取り、フランスに渡ってから再度帰国という経歴。海外から見た日本のビジネスもその逆もよく分かる貴重な存在です。渡部は日本企業で契約を中心に法務業務全般をこなしてきた人材。ニューヨーク州の弁護士資格も持っています。野坂は日本企業で裁判をたくさん担当し、訴訟に強みを持っています。キャリアも個性もユニークなメンバーが、それぞれの経験や得意分野を生かして業務を行うことが、P&Gリーガルチームの最大の特徴になっています」