2006年にトミーとタカラが合併し、新たな歩みを始めた同社。システム、フォーマット、データベースの管理など、あらゆる面で「違う」ところからのスタートだったが、「一番困ったのは、仕事のやり方」だった。
「急に融合させようとしても現場が混乱するだけだと考え、1年目は旧タカラの商品には旧タカラの法務部員を担当させ、2年目から旧トミーの法務部員を同席させたり、意図的にクロスさせた。そうやって3年たった頃には、垣根を感じることなく仕事ができるようになりました。ポイントは、〝相手〞の商品を担当した時に見くびられないよう(笑)、全員がよりファイトを燃やしてくれたこと」
合併後、安定的に業績を伸ばしてきた同社は、11年3月、米国の玩具メーカー「RC2」を買収した。少子化の影響で国内玩具市場がシュリンクする中、世界最大の玩具市場である米国を軸に、本格的なグローバル展開を加速させる意味合いを持った決断だ。
「経営がアクセルを踏んでいるわけですから、法務部も、全力でそれをフォローしなければならない。北米、欧州に関しては、体制をいったん白紙に戻し、スピード感を持ってカバーできる方法を、早急に固めるつもりです」
世界に打って出るための人材育成も急務だ。知的財産課の浅井亮八担当課長は、「異業種でも知財関連の人間が集まる会議などには、積極的に顔を出す。すでにグローバル企業として活躍している企業の知財管理の話は、本で読むのとは違い実務が見えるので、非常に参考になりますね」と話す。