Vol.25
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「相手を喜ばせ、仕事は楽しく」がモットー。本誌を購読しているメンバーがいる、学習意欲の高い職場。要求されるレベルは高く、語学は必須だ

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THE LEGAL DEPARTMENT

#23

株式会社タカラトミー 法務部

「外に出て」商品を知り、現場を知る。常に事業部との連係を念頭に世界の子供たちに「夢」を提供する

玩具業界ならではの法務の役割

トミカ、プラレール、ポケモン、リカちゃん……自身や子供が、この会社の製品のお世話になった経験がない日本人は、恐らくいないのではないか。

「例えばライセンスを取得して製品をつくる時、文房具のような〝2次元〞のものだったら、他社に対する権利侵害が発生する余地はほとんどないでしょう。でも、いろんな機能を付加した〝3次元〞のおもちゃの場合には、想像しない問題が起きる可能性が、けっこう高い。だから、われわれが企画段階から調査に入り、〝危い〞商品は担当者や弁護士と回避策を練りつつ、市場に送り出す必要があります」

石立孝裕法務部部長は、玩具メーカー法務部ならではの業務の一端を、そう語る。

今話に出たのは、知的財産課の仕事。同社法務部には、そのほかコーポレート関係の法務に携わる法務課と、ライセンス管理課があり、総勢24名が勤務している。平均年齢33歳の、伸び盛りの集団だ。「知財関連を中心に、仕事の専門性が極めて高い」ことから、部内でのジョブローテーションは行っていない。

「ただ、営業などの現場を知ることには大きな意味があります。私自身、かつて海外営業を3年ほど経験させてもらい、大変勉強になりました。部員に定期的に事業部を経験させたり、グループの関連会社に出向してもらったりという制度を、早急に具体化したいと考えています」

海外戦略を加速する経営をサポート

株式会社タカラトミー 法務部
左:法務部 知的財産課 担当課長 浅井 亮八さん

2006年にトミーとタカラが合併し、新たな歩みを始めた同社。システム、フォーマット、データベースの管理など、あらゆる面で「違う」ところからのスタートだったが、「一番困ったのは、仕事のやり方」だった。

「急に融合させようとしても現場が混乱するだけだと考え、1年目は旧タカラの商品には旧タカラの法務部員を担当させ、2年目から旧トミーの法務部員を同席させたり、意図的にクロスさせた。そうやって3年たった頃には、垣根を感じることなく仕事ができるようになりました。ポイントは、〝相手〞の商品を担当した時に見くびられないよう(笑)、全員がよりファイトを燃やしてくれたこと」

合併後、安定的に業績を伸ばしてきた同社は、11年3月、米国の玩具メーカー「RC2」を買収した。少子化の影響で国内玩具市場がシュリンクする中、世界最大の玩具市場である米国を軸に、本格的なグローバル展開を加速させる意味合いを持った決断だ。

「経営がアクセルを踏んでいるわけですから、法務部も、全力でそれをフォローしなければならない。北米、欧州に関しては、体制をいったん白紙に戻し、スピード感を持ってカバーできる方法を、早急に固めるつもりです」

世界に打って出るための人材育成も急務だ。知的財産課の浅井亮八担当課長は、「異業種でも知財関連の人間が集まる会議などには、積極的に顔を出す。すでにグローバル企業として活躍している企業の知財管理の話は、本で読むのとは違い実務が見えるので、非常に参考になりますね」と話す。

「〝メールベース〞の仕事はするな!」

株式会社タカラトミー 法務部
買いやすい値段にするために、あえて意匠登録をしないおもちゃもあるという

石立氏が旧トミーに中途入社したのは00年。当時の法務部の仕事は、もらった依頼書に従って粛々と、というスタイルだった。「同じ案件に取り組むのでも、情報の多寡でアウトカムに差が出る」と確信していた石立氏は、当初から「外に出て、事業部の人間に直接会って話そう。〝メールベース〞の仕事はしないこと」と言い続けてきた。

「自分がどういう人たちと仕事をしているのか知らないのでは、いいアドバイスもできない。われわれがやっているのはエンタメですから、お客さまを楽しませようと、事業部は時々無茶もする。そういう気持ちも汲みながら、言うべきことは言うというのが、この会社の法務のあるべき姿だと思うのです」

そんな「教育」の甲斐あって、今では「〝癒着〞しすぎじゃないか」というほどに、現場との関係性は強まったそうだ。

最後に、同社の法務部員に望む姿勢について聞いてみた。

「法律の知識や、それを実行する感性は当然の資質。加えて、グローバル化の加速という社の方針を考えるなら、語学力は必須です。でも、それ以上にコミュニケーション能力がないと、当社ではつらいでしょうね。メールで済まそうと思っても、いつの間にか担当者が隣に立っていたりしますから(笑)」