二宮氏は「事業の現場の人たちが法務に求めているのは、ビジネスの法的側面のチェック。問題があるのならば、どう対処したらいいのか教えてほしいということ。その期待に応えるためには、統合で多角化した事業の中身を知り、現場と緊密な意思疎通を図る必要があります」と話す。
実は当初、「現場からは、何か問題があると同じ会社出身の部員に声がかかることが多かった」のだという。「でも、それでは統合した意味がない。あえて〝旧社〞の垣根は取り払って、仕事を割り振るようにしています」。
目下の悩みは、「規模の拡大があまりにも速く、そのスピードに人員数や業務効率化が追いついていない」ことだ。それもあり、中途採用、特に弁護士の採用を積極的に行っており、この1年間で7人が入社している。「資格にこだわるというよりも、即戦力として期待した」結果が現在の姿であるという。
そのうちの一人、鍵﨑亮一法務部主査は、「企業法務専門の法律事務所で、紛争に携わることが多かったのですが、〝事後〞にコストやエネルギーをかけるのは、ある意味もったいないなと感じていました。私自身、予防法務などもっと前の段階で仕事がしてみたいと思い立ったのが転職のきっかけです」と語る。
「依頼人が持ってきた難問を、時間をかけて解くのが法律事務所の仕事なら、事業会社では実際にビジネスが動いているところに機動的に対応し、問題があるかないかの設定から関与していく。そういうところに知恵を使うのが好きな人だったら、企業は向いていると思いますよ」。