Vol.33
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旧新日鐵、住金の法務メンバーが"融合"して誕生した同社法務部

旧新日鐵、住金の法務メンバーが"融合"して誕生した同社法務部

THE LEGAL DEPARTMENT

#36

新日鐵住金株式会社 法務部

統合によるグローバル化進展を視野に、個々の能力アップをベースとし、世界第2位の鉄鋼メーカーを支える

絶妙のタイミングで経営統合

2012年10月、新日本製鐵と住友金属工業が経営統合し、世界第2位の鉄鋼メーカーが誕生した。スムーズな統合に向け中心的な役割を果たしたのが、旧新日鐵、住金それぞれの法務部門である。“大型合併”によるシェアアップが独禁法に抵触しないか、公正取引委員会の審査をクリアすることが、事の成否の鍵を握っていたからだ。

「両社それぞれが法律事務所を起用し、公取委には一昨年2月の統合検討開始の発表直後から、積極的に情報提供などを行いました」と前家洋彦法務部長。

最大のネックは、それまで公取委に対して行われていた“事前相談”。資料の提出について、スケジュールをあらかじめ定められないことなど、合併を進めるうえで必ずしも合理的に運用されていなかった。

「実際、大型合併の足かせになっているケースもあり、法律家や経済界から制度に対する改善要望が高まっていました。公取委としてもこうした要望を受け、事前相談制度の廃止に舵を切ったところで、そうした流れも踏まえ制度改正を先取りする形で申請ができたのです。短期間に資料を整えるため負担が大きかったのですが、それにふさわしい体制を構築して臨みました」

結果的には「公取委は非常に真摯に耳を傾け、検討してくれました。1、2年前だったらこうはいかず、統合自体がご破算になっていたかもしれません」

ただし、公取委など、クリアすべき独禁当局は日本だけではない。今回の統合では10カ国に審査を届け出て、承認を得た。

「タイトなスケジュールのなか、昨年の定時株主総会までにすべての承認を得るべく、両社の法務部門とも連日の残業で頑張りました。昨今の国際情勢や鉄鋼業をめぐる環境からすると、まさに絶妙のタイミングの経営統合だったといえます」

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有資格者のポテンシャルに期待

新日鐵住金株式会社 法務部
ここ数年、2名ずつ若手を採用。ミーティングも彼らにとっては大事な研修の場となる

現在、法務部は総勢30名の陣容。基本的に旧2社の法務のメンバーがそのまま“合体”した。部内は国内法務、国際法務、それにコーポレートガバナンス関連、総会などをフォローする法務企画に分かれている。

ところで前家氏は、住金の出身。「さすがに国内トップの新日鐵だけあって、海外案件も非常に多く、それを20名弱でこなしているのには驚いた」そうだ。

「当然、企業文化の違いなどはありましたが、統合に向けて2年間近く一緒に仕事をするなかで、部内は自然に融合できたと思っています。我々は法務パーソンである前にビジネスパーソン。法的なアドバイスのみならず、事業部門とともに考え行動する、という基本姿勢を最初から共有できたのが大きいですね」

経営統合の狙いの一つがグローバル化の一層の推進。法務にとっても、増加する海外案件への対応が急務だ。

「ここ数年、若手を積極的に採用しましたが、彼らも含めて“外で通じる”能力を身につけてもらいたい。今年は1名を米国ロースクール留学に出す予定ですが、これを続けていきたい。当社にとってアジアも重要ですから、中国などでも研修の仕組みをつくろうとしています」

何よりも「国内は国内、海外は海外という時代ではありません。国内、国際とセクションは分けていますが、できるだけ両者の垣根は低くし、ローテーションを活発にして、みんながどちらもできる法務が目標です」。

同部には法律事務所から出向中の弁護士4名が在籍している。

「即戦力として、旧新日鐵では7年ほど前から受け入れています。2年くらいで別の方にバトンタッチするというパターンですが、事務所に戻る時には誰もが異口同音に『事業の現場と一緒になって仕事をするのは得がたい経験だった。大きなやりがいを感じた』とおしゃいますね」

昨年は法科大学院を修了したての司法試験合格者を2名、社員弁護士として初めて採用した。

「有資格者にこだわったわけではありませんし、入社後の“特別扱い”もありません。ただ、法務パーソンとしての彼らのポテンシャルには大いに期待しています。今後も当社の法務にふさわしい弁護士がいれば、ぜひ採用したいと思っています」

新日鐵住金株式会社 法務部
東京・丸の内のオフィス街を見渡す13階のフロアには、明るく広々としたスペースに法務部と関係の深い知的財産部のほか、経営企画、財務、人事などの管理部門が同居する。法務部に寄せられる案件は、その都度チームを組んで対応。ベテランと若手のユニットが基本だ