同社は、ヤフー株式会社のグループ企業で、大規模データセンターの運用、ネットワークセキュリティや運用監視を含むデータセンターソリューション、クラウドコンピューティング、ストレージサービスなどを提供する。その法務業務は、契約実務、コンプライアンス対応、知的財産、債権回収業務、紛争対応、商業登記、労働法実務など。総務部長も兼務する木内宏幸氏が、法務担当として八面六臂の働きをしている。これまで木内氏一人で担当してきた法務だが、市場変化などの影響を受け、増員を計画している。その背景について、木内氏に聞いた。
「近年、当社はデータセンターだけでなく、クラウドコンピューティング事業に注力しています。クラウドは、仮想化の技術を用いて進めていく事業です。そのため、海外の大手IT企業や、ソフトベンダーとの契約が増えてきました。また、産学協同で行う技術開発に取り組むなど、単純なライセンス契約もあれば、まったく新しいカタチの業務提携を結ばねばならないケースもあります。当然、一つひとつの契約において、お客さまも当社も満足がいくような契約書作成の工夫が必要で、それらを一緒にやっていただける人材の確保が急務になっているということなのです」
クラウドの急速な普及により、不正利用やサイバー攻撃などから同社の顧客を守るための法的対応も増えてきたそうだ。法務を管轄するコーポレート管理本部・本部長の土屋麻美取締役も、「これからの法務にかける期待は、とても大きい」と言う。
「常に日進月歩のIT技術と対峙していますから、サービスが立ち上がる前にリスクを法務で見つけ、解消することが大事です。それが、お客さまへの最大の貢献となります。そして我々は、お客さまのパートナーとなって共に成長していくことを目標としていますので、契約書一つにしても、お客さまのために何ができるかという視点で進めていきたい。いわば〝守りの立場〞と、〝攻めの立場〞を同時に求めているわけですが、そこに当社の法務の難しさとやりがいがあると思います」