Vol.32
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ニューヨーク州弁護士4名、日本の弁護士2名を含め、知識と経験を備えたメンバーが揃う

ニューヨーク州弁護士4名、日本の弁護士2名を含め、知識と経験を備えたメンバーが揃う

THE LEGAL DEPARTMENT

#35

エーザイ株式会社 法務部

「患者様のベネフィット向上のために」。掲げた企業理念を常に胸にし、グローバル化をサポートするプロ集団

何よりも企業理念を尊重

エーザイの法務は、日本本社のほか米国、欧州、中国に拠点を置く4極体制を敷く。本社法務部は高橋健太常務執行役法務部長以下、総勢13名の陣容で、うち6名はインハウスロイヤー(ニューヨーク州弁護士4名、日本の弁護士2名)である。

「ヒューマン・ヘルスケア」を掲げる同社は、2005年の株主総会で、定款の冒頭に「患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する(後略)」という企業理念を盛り込んだ。

高橋氏は「利益もさることながら、それ以上に大切なのは、医薬品を必要とする人の思いに応え、貢献すること。そうした理念を株主と共有したい、というトップの判断でした」と語る。

「逆に言えば、患者様やご家族のベネフィットに反する、例えば訴訟、不祥事などを起こせば、企業価値を最も毀損することになります。そうした事態を防ぐプロアクティブな活動こそ、私たち法務部が最重要視している仕事なのです」

そのうえで、「法務としての業務の基本は他社と変わらないものの、商品が医薬品という点に〝難しさ〞がある」と言う。

「例えば当社が海外のA社に、開発した医薬品をライセンスアウトしたとします。A社に契約違反があったら、普通の商品ならばすぐに契約を解除して自社の不利益を回避することも可能でしょう。しかし医薬品の場合、それを頼りにしている患者様がいます。A社のみがその国の規制当局の販売承認を得ている場合には、当該承認を得ていない当社が供給を肩代わりすることもできません」

結局、どんなに相手に非があろうとも契約そのものを切ることは難しく、話し合いを続けざるを得ない。

「そうしたことのないように、いろんなことを想定して契約書をつくる必要があります。ただそれ以上に、目先の儲けだけでなく、患者様への供給責任を自覚した相手なのかどうかを、最初に見極めることが大事。グローバル化が進めば進むほど、慎重な判断が求められるわけです」

  • エーザイ株式会社 法務部
    部内では案件ごとにフレキシブルに担当者を決め、必要に応じてディスカッションを行う
  • エーザイ株式会社 法務部
    本社のエントランスを入ると、明るく広々とした接客スペースが

法科大学院修了、有資格者を採用

  • 加藤 晋
    高橋部長の"右腕"としてマネジメントに携わる、加藤晋氏、矢畑勉氏、辻内孝之氏(いずれも課長)
  • 矢畑 勉
    矢畑勉氏
  • 辻内 孝之
    辻内孝之氏

同社の場合、営業などの他部署を経験してから法務部に配属するのが従来のプロセスだった。しかし「今後は変わってくるだろう」と高橋氏は話す。昨年は、ロースクールを出て弁護士資格を取得したばかりの若手を2名採用している。

「欧米の法務のメンバーは、みんなロイヤー。グローバル化の一層の進展を考えれば、ゆくゆくは本社もそういうかたちにしないと。できれば海外のロースクールに留学して、現地資格も取ってもらいたい。ただ1年の留学で資格取得を目指すには、法科大学院を修了していないと困難なのです。いきおい、これからはそういう人材を採用のターゲットにすることになるでしょう」

昨年、ロースクール卒業生を対象に開いた企業説明会には、30名ほどが集まったという。

「みんな企業への就職に前向きで、『御社の企業理念に感銘を受けました』と話す人もいました。何年か前にはなかった反応で、ロースクール生の意識がずいぶん変わってきた感じがします」と、採用を担当した加藤晋課長は手応えを口にする。

高橋氏も、「インハウスロイヤーには、企業の中に入って発生した問題の本質をとらえ、解決の道筋を示していくという、外部の弁護士では経験できない仕事があります。ただそのためにはビジネスを知らなければならないし、それを動かす〝人〞も知らなければなりません。実際の利害調整能力も問われる。そういう意味では、自分を成長させられる、すごくやりがいのある世界だと思いますよ。ビジネスに興味があるのなら、ぜひ挑戦してほしい」とエールを送る。最後に今後の法務部のあり方について聞いた。

「欧米の企業には、インハウスロイヤーからトップになった人がたくさんいます。法律家としてのキャリアを積むのもいいし、マネジメント能力を磨くのもいい。いずれにせよ、法務部をグローバルなリーダーを育てる組織にすることが目標です」

 

  • エーザイ株式会社 法務部
    中国、欧州(2)、米国(3)に広がる法務拠点。年1回のグローバルリーガルミーティングをはじめ、グローバル案件には組織的に対応するなど、関係は密だ
  • エーザイ株式会社 法務部
    (2)欧州
  • エーザイ株式会社 法務部
    (3)米国