Vol.84
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コンプライアンス課、取引審査課、法務課で構成される。メンバーは約20名(うち日本法弁護士資格者2名)。銀行、保険、証券出身者や、大和証券からの転籍者も在籍。若手からベテランまで多様なバックグラウンドを持つメンバーが揃う

コンプライアンス課、取引審査課、法務課で構成される。メンバーは約20名(うち日本法弁護士資格者2名)。銀行、保険、証券出身者や、大和証券からの転籍者も在籍。若手からベテランまで多様なバックグラウンドを持つメンバーが揃う

THE LEGAL DEPARTMENT

#135

大和アセットマネジメント株式会社 法務コンプライアンス部

資産運用業界の法務コンプライアンスをリードするプロフェッショナル集団に!

ナビゲーターとガーディアンの役割

投資信託を中心とした金融商品の企画、組成・運用を行う大和アセットマネジメント株式会社。大和証券グループの資産運用ビジネスを担う中核会社であり、多様なアセットの運用実績と業界トップクラスの運用資産残高を有する。法務コンプライアンス部の永谷修一部長に、同部の役割を聞いた。

「当社は資産運用会社として、お客さまから託された資産を運用して最善の利益を追求しつつ、その活動を通じて、社会にどう貢献していくかが求められています。つまり、お客さまと社会から信頼されて初めて成り立つビジネスですが、目に見えない資産という商品を扱い、信頼を得ていくためには、リーガルとコンプライアンスに裏付けられた業務を遂行していることが非常に重要。その要となる役割を担っているのが、当部です」

ゆえに同部のミッションは、「経営戦略に沿った攻めの業務活動および、新規事業・新商品の開発などの推進をリーガル面からサポートするナビゲーターと、それらを取り巻くコンプライアンスリスクを適切に管理・コントロールするガーディアン。この2つの視点を持ち、バランスを取りつつ業務にあたること」と、永谷氏は言う。

同社は資産運用業界のなかでも、新たな投資対象や投資機会発掘の挑戦意欲が高いといわれる。一例が、米国株式のなかから企業の無形資産価値の高さに着目してポートフォリオを構築し、信託財産の成長を目指す投資信託だ。家門紋氏に、商品開発や新規事業分野における取り組み例をうかがった。

「ビジネス環境が急速に変化し続けるなか、競争力の源泉は、物理的な生産設備から、人々のアイデアや発想など、従来の財務諸表では把握できない源泉、つまり無形資産にシフトしつつあります。顧客満足、従業員エンゲージメント・人材開発、イノベーション、社会的責任など無形資産を評価するスコアを米国の研究機関と共同で作成し、そのスコアに基づいて運営していく、新しい投資信託です。当社の米国現地法人を介しつつ、我々が中心となって高度かつ複雑な契約交渉や契約書審査を行いました。ほかにも、これまで投資機会が限られていたベンチャーキャピタル・ファンドを投資対象とする投資信託を開発したり、お客さまの多様な投資ニーズに応えるため、商品数と事業領域は年々拡大しています。それに伴い、我々も、新たな投資対象・業務形態に対する法的課題の洗い出しと解決、内部管理態勢の構築・整備を行っており、法規制が追い付いていない新たな分野についても、プロアクティブに対応しています」

運用会社では、金融商品取引法で規制がかかる運用行為に対する取引審査課業務についても、ナビゲーター的な側面が期待される。取引審査課の嶋三裕氏は言う。

「我々は不公正取引の抑止・防止を担うガーディアンであることが第一義ですが、運用スタイルの多様化に伴い、ファンドマネージャーなど第一線からエンゲージメントやESGといった非財務情報に関する質問や相談も寄せられます。そのように誰も経験したことがない事案の場合でも、保守的になりすぎず、抑制しすぎず、実現のための方法を課内で議論し、結論を出す機会が増えました」

「日本経済活性化のために、資産運用会社自体が元気であることが重要だと考えます。意欲的に新たな挑戦を行う当社において、経営直轄の戦略部署ともいえる当部。社会的意義と、やりがいある仕事に携われる環境です」(永谷氏)

“メーカー”として顧客目線を重視

同部は、法務課、コンプライアンス課、取引審査課の3課で構成。全メンバーが、“ナビゲーターとガーディアンとしてバランスのとれた判断を行うこと”を肝に銘じて業務にあたっている。その背景を、家門氏は次のように語る。

「当社は資産運用ビジネスでいうと“バイサイド”なので、組成した商品を販売する銀行・証券会社などの“セルサイド”と比べると、お客さまとの間に距離があります。しかし、当社はいうなれば“資産運用業界におけるメーカー”なので“顧客目線”で商品を組成していくことの重要性を認識しています。ですから我々も、商品組成の段階から顧客目線と投資家保護の両方をバランスよく判断し、第一線を支援していくというスタンスが身についているのだと思います」

コンプライアンス課の五島麻以氏も、「第一線の社員は顧客目線を持って、よりよいサービスを提供したいという思いで業務を遂行しています。私たちは“最後の砦”ですが、安易に保守的な判断はしません。第一線の思いに最大限寄り添って、会社の成長につながるような新しい答えを、一緒に探していくべく、日々試行錯誤しています」と語ってくれた。

“言うべき時は言い、全力で支える”ためには、経営層や他部署との社内コミュニケーションが円滑でなければならない。案件をとおしての交流はもちろんのこと、同部主体で行う情報発信・研修なども、その機会となっている。一つは、コンプライアンス研修だ。

「全社を対象としたコンプライアンス研修の企画立案・実施も、我々の重要な業務です。コンプライアンス・プログラムに基づき、四半期ごとに様々なコンプライアンス研修を実施しています。ほかに、例えば他社で相場操縦取引事案などの社会的に大きなニュースがあった場合は、タイムリーに情報共有を行うため、その内容を分析し、留意点をまとめた研修動画を制作し、社内のWebサイトで配信しています」(家門氏)

さらに、社内イントラネット上に「りーがるこんポータル」というポータルサイトを設置し、コンプライアンス関連情報を集約する仕組みも整備。約10年前から、歴代のメンバーが書き溜めてきた100本超の「コンプライアンスコラム」も同ポータルサイトに掲示。最近は、読む側の手軽さと執筆側のタイムリーな情報発信に鑑みて「コンプライアンス・ニュース」という、すぐに気軽に読めるコンテンツ配信もスタートしている。

「これらの取り組みは、全社社員の啓蒙活動はもちろんですが、当部のメンバー自身が身近な事象にアンテナを張り、その感度を高めてほしいということ、文字を綴ることで、自分のなかで知識・情報の整理をしてほしいということ、そして、それらのナレッジをそのまま部や会社の資産にしていくという狙いがあって行っているものです。外部研修や、部内の判例・業務事案などのケーススタディを用いた研修、金商法など法律基礎研修も実施していますが、この活動が幅広い知見を身につけるための訓練になっているのではないかと思います」(永谷氏)

大和アセットマネジメント株式会社
コンプライアンスを軸に社内の全部署とかかわる同部メンバー。「そんな我々がハブとなって、他部署同士の連携を促したり、社内コミュニケーションを円滑にする役割も担っていけたらと思っています」(家門氏)

業界スタンダードをつくり存在感を増す

同社は、資格取得支援制度、女性キャリア支援制度、フレックスタイム制・在宅勤務など、働きやすさを支援する制度の充実度が高い。ちなみに、トップレベルの子育てサポート企業の証、「プラチナくるみん認定」も受けている。

「当社グループで特徴的な制度は『19時前退社』で、ほとんどのメンバーが実行しています。また、有給休暇の取得率も高いですね。法務コンプライアンス部の我々が率先して、労働時間ありきではなく、効率よく仕事の質にこだわっていきたい」と、永谷氏。

永谷氏に、今後の組織の展望についてうかがった。

「資産運用業界全体の発展がこの国の発展につながるという大きな視点で見た時、当社は特に投資信託で60年以上の実績を持つ企業であり、業界をけん引している存在だと自負しています。それゆえに、我々のリーガルやコンプライアンスの見解が、社内だけでなく業界全体のスタンダードにもなり得ると考えます。そうした自負を持って未知の領域に挑み続け、業界内外から注目される組織に育てていきたいですね」

守りながらも攻めるために、顧客目線を持つ証券や銀行出身者も多く受け入れ、組織としての多様性を高めてきた同部。永谷氏は「法令規則を自由に使いこなせるプロフェッションの参加で、さらなる組織強化を図りたい」と言う。

「私自身弁護士なので、当業界のリーガルに特化して経験を積んできた弁護士が少ないことを知っています。それだけ、この業界は弁護士にとって未知数。言い換えれば、オフェンシブに新たな分野を開拓する機会と醍醐味がたくさんある場であると、私は考えます。法という武器を用い、新たなビジネスを創造し育てていく喜びを、ともに味わえる新たな仲間と出会えることを願います」(永谷氏)

※取材に際しては撮影時のみマスクを外していただきました。